ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

ロスト・ハイウェイ

2010年11月09日 | ホラー・サスペンス・SF等の映画

 デヴィット・リンチ監督「ロスト・ハイウェイ」をDVDで鑑賞しました。
 デヴィット・リンチ監督の作品といえば、難解なイメージがあります。
 「ブルー・ベルベット」「ワイルド・アット・ハート」など比較的分かりやすい作品(それでも敬遠する人は多いですが・・・)と、「イレイザーヘッド」などの極めて難解な作品があります。
 「エレファント・マン」はリンチ作品では異例の単純さですね。

 「ロスト・ハイウェイ」はやや難解といったところでしょうか。
 ストーリーはそれほど複雑なものではありません。
 転生というか、生霊の乗り移りというか、そういうことが起きているらしい、と気付けば、すんなりと腹に落ちます。

 妻を殺害した男が、その記憶もないまま逮捕され、死刑を言い渡されます。
 独房で、男は全く別の実在の青年へと転生というか、乗り移りというかが起きます。
 青年はそれが起こったときの記憶はありませんが、死刑囚が乗り移ってきたことに気付きません。
 青年は殺された妻と瓜二つの美女に誘惑されます。
 美女はポルノ映画界の大ボスの愛人でもあります。
 美女は青年に逃避行を持ちかけます。
 そして青年は、美女の本当の望みをかなえることになるのです。
 
 時系列の混乱や黒髪とブロンドという違いはありますが、同一人物としか思えない二人の美女の関係性などが、一瞬のイメージ映像でその答えを示唆します。
 巧妙に仕組まれた悪夢のような映像と場を盛り上げる音楽が、リンチ節全開で迫ってきます。

 思うにこの監督は、鮮烈な映像が湧き出してくるのではないでしょうか。
 そしてその映像に合うストーリーを作るのでは。
 作家でも、たった一つの文章を書きたいために、それが高い蓋然性を持つよう、1000ページもの小説を書く人がいます。
 デヴィット・リンチはそういうタイプなのではないでしょうか。 

ロスト・ハイウェイ [DVD]
デイヴィッド・リンチ,バリ・ギフォード
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ブルーベルベット (特別編) オリジナル無修正版 [DVD]
カイル・マクラクラン
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
ワイルド・アット・ハート [DVD]
ニコラス・ケイジ,ローラ・ダーン,ウィレム・デフォー,イザベラ・ロッセリーニ
ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
イレイザーヘッド 完全版 [DVD]
ジャック・ナンス,デヴィッド・リンチ
ハピネット・ピクチャーズ
エレファント・マン [DVD]
ジョン・ハート,アンソニー・ホプキンス,アン・バンクロフト,ジョン・ギールグッド
パイオニアLDC

 

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ベニシアさんの暮らし

2010年11月09日 | その他

 よく都会で生まれ育った人は、テレビで北海道や南の島などでの生活を見て、大自然と一体となった清らかな生活に憧れたりします。

 私はそれほど大それたことは思いませんでしたが、朝夕の電車のラッシュが嫌で、お隣千葉県の職場に職を得て東京を脱出しました。
 千葉市は田舎とは言い難いですが、それでも苦痛を感じるような人ごみに出くわすことは滅多にありません。
 そこそこ田舎でそこそこ都会。
 生活に不便はなく、人ごみもないということで、千葉市に引っ越して本当に良かったと思います。

 それでも、自然と共生している田舎の人々の暮らしをテレビなどで見ると、ああいう生活をしてみたいものだ、と悪い誘惑に駆られることがあります。

 しかし私がそういう話をすると、親しい友人は鼻で笑うのです。
 ミミズやゴカイに触れないから釣りもできないし、できたとしても釣り上がった魚に触れることもできないだろう、と言うのです。
 たしかにそうです。
 私は焼き魚が好きですが、秋刀魚の死体もアジの死体も触れません。
 また、カエルやへびが出たら飛んで逃げるだろうから畑仕事もできないだろう、と言うのです。
  じつは私は、カエルやへびどころか、犬や猫に触るのも嫌なのです。なんだか蚤がつきそうで。
 
 また、田舎はうるさい、と言うのです。
 セミやらカエルやらの鳴き声で、車の音よりうるさい、と。

 精神病を患ってから、静寂を好むようになったので、生き物の声は難しいところですねぇ。 

 結局大自然に包まれた暮らしを送ることはなさそうです。

 最近、ベニシアさんという英国人女性の生活を追った番組を見かけます。
 英国貴族に生まれ育ち、子どもの頃は部屋数が100もある立派な古城に住んでいたとか。
 しかし19歳のとき、社交界デヴューを拒否して放浪の旅に出、ヨーロッパ各地やインドを彷徨ったあげく、37年前に日本に入国、さらに日本各地を歩き回って結局京都大原の築100年という古民家に住みついたそうです。
 10歳ほども年の離れた若い日本人男性までゲットして。
 職業は英会話学校経営だそうですが、どうも仕事をしている風には見えません。
 ガーデニングに励んだり、お茶を飲んだり、香草を栽培したり。
 夏目漱石風に言うなら、高等遊民という感じでしょうか。

 私が面白いと思ったのは、日本の伝統文化やポップカルチャーにさして愛情を感じていないように見えることです。
 英国貴族が京都に住みついたなんていうと、柔道や剣道、あるいは書道や茶道、はたまた日本建築や日本の芸術・文化に強い愛着を持ってしまったのかな、と想像しますが、彼女の場合は大原の里山にある古民家に住んでいるというだけで、暮らし向きはまるっきり英国風なのです。
 食い物はパンや芋ばかりだし、緑茶は飲まず紅茶ばっかり飲んでるし、酒といったらシャンパンだし。
 ということは、日本の核とでもいうべき伝統的精神文化や今世界を席捲しているポップカルチャーではなく、大原そのものが気に入ったということなんでしょうか。
 
 縁は異なもの味なもの。
 
 男女の出会いばかりではなく、土地や職業との出会いもまた、不思議なものです。
 そんな風にはるか異国の里山に出会うとはうらやましいかぎりです。
 
 それとも、悪縁契り深し、のほうでしょうか。

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ベニシアの京都里山暮らし ―大原に安住の地を求めて Venetia's Kyoto Country Living
写真家=梶山 正(かじやま ただし)
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やんちゃ坊主

2010年11月09日 | その他

 柔道金メダリストの石井選手が総合格闘家に転向して日本で初めて一本勝ちしましたね。
 期待が大きかっただけにほっとしたのではないでしょうか。
 ビッグ・マウスで、ジョーク好き。
 口ではやんちゃ坊主ですが、真面目に競技に取り組まなければ金メダリストにはなれないということは、自明の理です。
 
 相撲の朝青龍、軽量級格闘技では神の子、山本・キッド。
 大口をたたき、実績も残す立派なアスリートがいます。
 私は謙虚で真面目で誠実に見えるアスリートをあまり信用していません。
 なんだかロボットのように見えてしまうのです。
 
 多分やんちゃ坊主に見えてしまうのは、大真面目に話をするのが恥ずかしいからなんじゃないでしょうか。
 ビートたけしが還暦を過ぎて、大物映画監督になった今も、トーク番組にきぐるみを着たり鬼瓦権三の扮装で現れたりするのと似た心性なのだろうと想像します。
 ビートたけしも極端な照れ屋で知られていますね。
 
 照れ屋ゆえの偽悪。

 また、照れ屋のやんちゃ坊主とは種類が違いますが、どこか不真面目に見られがちなタイプの人気者がいます。
 アオレンジャータイプ。

 熱血で正義感に燃えるタイプのアカレンジャーと、冷静沈着で斜に構え、ときには冷酷にさえ見える、しかしじつは意外に誠実なタイプのアオレンジャー。
 私はこれを子どもの頃リアルタイムで観ていましたが、断然アオレンジャーが好きでした。
 このタイプのヒーローに眠狂四郎や木枯らし紋次郎がいますね。
 黒澤映画で三船敏郎が演じた数々のヒーローや「ラスト・サムライ」の渡辺謙なんかはアカレンジャータイプでしょう。
 若大将シリーズの加山雄三なんかもアカレンジャーの部類と言っていいかもしれません。

 私が小学校6年生の頃、Y君というアカレンジャータイプの男子がいて、1学期は彼が学級委員でした。
 そして2学期はW君というアオレンジャータイプの男子。
 女子児童からの人気もこの二人がダントツでした。
 3学期はどうなるかというと、クールなW君の子分ともいうべきD君が傀儡として学級委員になるのです。

 しかしだからと言って、熱血Y君とクールW君の仲が悪かったわけではありません。
 この他に、ガキ大将タイプのT君がいて、裏社会のようなものを作っていました。
 小さな世界である小学校のクラスも、社会の縮図だったのですね。
 大人になってもやってることは子どもと同じです。
 
私はといえば、カテゴライズ不能の変人として扱われていたと思います。
 そうかと言っていじめられていたということもありません。
 なぜなら私は、普段は大人しいですが、攻撃を受けたと思ったら、誰よりも凶暴に反撃していたからです。

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石ノ森章太郎
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木枯し紋次郎 DVD-BOX II
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ハピネット・ピクチャーズ
眠狂四郎 DVD-BOX
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角川映画

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