耽美主義の芸術の系譜には、同性愛を扱ったものが多くあります。
文学ではジャン・ジュネ、ヴェルレーヌ、ランボー等。
映画では、古くは「モーリス」、その後「ブエノスアイレス」、「太陽と月に背いて」、最近では「ブロークバックマウンテン」等。邦画では、「二十歳の微熱」などがあります。
「モーリス」だけは、公開当時、私自身が紅顔の美少年であったため、邪まな目でこの名画を見に来るお姉さまたちの視線が怖く、劇場に足を踏み入れることができませんでした。
「モーリス」はビデオで観たのですが、衝撃を受けました。単純な耽美主義の同性愛映画ではなく、社会と個の関係、非社会的な愛を、美しい映像で鋭く描いていたからです。お姉さまたちがマニア的に劇場に殺到しなければ、この映画はもっと正当に評価されていただろうと思います。
私はもう1年以上、享楽主義の同性愛者の兄と、求道的な弟の葛藤を描く長い小説に取り組んでいます。
同性愛者を描くと、そこには必ず、差別の問題や、社会的常識に反して生きる者の生き様などが浮かび上がってきます。
物語を作る欲望に取りつかれた者にとって、たいへん魅力的な題材です。
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