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TOBA2人のイラストと物語な毎日
現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「約束の夜」218

2020年04月24日 | 物語「約束の夜」
今日の洗濯当番。

日が傾き、干した洗濯を取る。
適当に畳む。

所定の場所に置いておけば、必要な者が各自取りに来る。

ナタはやれやれと、洗濯物を置く。
今日の当番はおわりだ。

「お疲れー」
「じゃあ、また明日」

手を挙げて、ナタは訊く。

「今日はどこに泊まる?」
「あ~、あいつのところかな」
「ふぅん」

持ち家もあるんだか、ないんだか。
皆、適当に夜を過ごす。

「そいつ、見張り当番じゃなかった?」
「当番交代じゃない? どこかにいるよ」
「そっかー」

一緒に泊まろうと思ったが、別の者のところに行くなら、悪い。
遠慮しないと。

「じゃあね」
「はーい」

ナタはひとり、歩き出す。

ポツポツと人通り。
どこに泊まろうか。
意外と最近、友だちは組み合わせが出来ている。

「あーあ」

本当に人通りがなくなって、ナタは伸びをする。
ひとりで、朝まで過ごすのも淋しい。

「あれ?」

ナタは、誰かに気付く。

知ってる。

この前の

「ねぇ!」

ナタは走り寄る。

「まだ、砂一族の村にいたのね!」
「ああ」

いわゆる、一晩の彼、だ。

彼は首を傾げる。

「えっと、・・・会ったことあった?」
「はぁ、もう忘れちゃったの?」

私よ、私!
と、ナタは云うが、彼はいまいち、ピンときていないようだ。

「まあ、いいわ」
ナタは云う。
「今夜も一緒にどう?」
「いいよ」
「なら行きましょう。どこか空いているわ」

彼の手を引き、ナタは泊まる場所を探す。

「また会えるなんて、ね!」
「そうだな」
「ねぇ、他一族さん。あなた、どこの一族?」

その言葉に彼は笑う。

「一族? まずは名まえじゃなく?」

あはは、と、ナタも笑う。

「どの一族の人、なんて、悪い癖ね」
ナタは改めて訊く。
「名まえは何?」

「翼、だよ」

「そう、ツバサ」

ナタは頷く。

「で、何一族なの?」
「西一族だ」
「西!?」

西一族と云えば、砂漠の遥か先の
水辺のさらに先の

遠い遠い一族ではないですか。

「め、珍しい・・・」

云いながら
いけないいけない、と、ナタは口元を拭う。

「ねぇ、ツバサ。今夜も相手してよね」
「恋人はいないのか?」
「今はツバサが恋人」

ナタは、ツバサの腕をとり、にこりとする。





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