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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「約束の夜」161

2019年07月23日 | 物語「約束の夜」

俺も母親似なんだ、と
耀が呟く。

「京子は幼かったから覚えて無いだろうけど
 俺はあいつの顔を知っている」
「………」
「京子は父親によく似ているよ」

顔立ちだけ、だがな。
そう言う。

「だから、まあ、
 あの谷一族の顔は、
 一周回って笑えるな」

マサシの事を言っているのだと
満樹は気がつく。
場所を変えたのは
そういう理由もあるのだろうか。

「耀は、マサシに会いたくないのか」
「そうだな、
 どうしたものか、とは思うが」

が、と耀は言う。

「一緒に行かないといけないのだろ」
「?」
「お前は俺を京子に会わせたい。
 それに、裏一族に狙われている者同士で
 集まって対策を練りたい、そうじゃないのか?」
「そう、だが」

待て待て、と
満樹は耀の言葉を遮る。
話が繋がらない。

それと、マサシに何の関係が。

気付いていないのか、と
耀が少し驚く。

「あの谷一族も
 このアザを持つ者、だ」

そうやって、
自分の手のひらを見せる。

京子と、ツイナと、満樹と同じ。
それがマサシにも?

耀は満樹達が知らない事を知っている。

「………待って、くれ」

「ここまで話が出そろっても
 まだ、分からないのか?」

それとも、理解することを拒否している?
少し哀れんだような笑みを
耀が見せる。

耀と京子、2人と同じ父親を持つかも知れないマサシ。
その3人に同じアザがある。

それに、マサシが言っていた。
西一族の血が混ざっているから
魔法が使えないのかもしれない、と。

「違う。
 俺にはきちんと東一族の父親が」

アザと、京子達とマサシの関係は別物だ、と。

「本当に、お前と血が繋がっているのか?」
「止めろ!!」

同じアザを持つツイナは
自分の親は誰だか分からないという。

ヨシノの母親のユキノは言っていた。
彼女の父親は西一族だと。

「まあ、ゆっくり理解すればいい」

俺も最初は混乱したさ、と
耀は満樹の肩を叩く。

「それにしても、
 あの谷一族、随分と遅いな」
「え?」
「合流地点にお前が居ないのに
 とうの昔に気付いているはずだが」

満樹が残した伝言に気付いていない。
それならば良い。
けれど、
マサシが同じくアザを持つ者ならば。

「………まさか、裏一族に!?」




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