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今日は帝劇 明日は日劇 はたまた国技館に後楽園ホール さらには落語家の追っ掛け 遊び回る日常を描きます。

連日の旧作鑑賞 成瀬巳喜男「旅役者」

2017-05-13 11:34:53 | 日記
再び神保町シアターへ。「映画監督 成瀬巳喜男初期傑作選」より「旅役者」観てきました。私、こういうタイトル好きなんです。なんか、郷愁を誘います。といっても、生まれも育ちも東京ですから、ま、そういうものには縁遠いんですけどね。「旅役者」的なもの観たとしたら、今から30年近く前「梅沢冨美男」観に行ったくらいでしょうか。
さて、この映画 まず登場する一座が「中村菊五郎一座」 まともじゃありません。村の人も「あれ、おかしいんじゃない?」と訝しい様子で眺めております。この一座で「馬の脚」それも前脚を担当するのが、俵六という役者。俵六さん なかなか自負心の強い人で、日本一の馬の脚役者をもって任じています。なにしろ、馬の脚一筋に15年。まさに「人に歴史あり」です。さて、この胡散臭い一座に怒りの声を上げた土地の者がいます。本物の「菊五郎一座」が来ると思って金を出したという男。怒って、殴り込み。馬の頭を踏み潰してしまいます。馬がいなけりゃ興行はできない。「座長急病」で休演に。が、いつまでも休演しているわけにはいかない。馬の頭を修理に出しますが、直ってきたのは、どう見ても狐の顔。誇り高き俵六さん、「これじゃ舞台にあがれない」と、出演拒否。なにしろ、一座の得意狂言は「塩原多助一代記」馬は必要不可欠です。で、困り果てた菊五郎座長 本物の馬を手配し、舞台へ上げたところが、これが大人気。とうとう俵六 職を失ってしまいます。ラストは、本物の馬と俵六が前脚の馬が田舎の町並みを追っかけっこ。なんとも珍妙なシーンでエンドマークとなります。
一昨日は、コメディが得意のルビッチ監督の人間ドラマ 昨夜は「女性映画」で名を成した成瀬監督の ちょっとコメディタッチの作品と、一風毛色の変わった作品観ましたが、やはり、一流の監督は、なにを題材に撮っても一流と思った次第です。