昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

小説「派遣社員 木村なつみ」①

2019-12-21 05:13:08 | 小説「派遣社員 木村なつみ」
 
「部長、お忙しそうね」
 気がつくと木村なつみが背後からボクの作業を見ていた。
 彼女も専務の受注した物件の事務処理で残っていたのだ。

「いつまでやっているの? ねえ、もういいかげんにして帰りません?」
 見回すと、いやに照明があかるくムダに隅々まで照らしている。
 ふたりきりだ。
 手が滑って在庫管理機に打ち込む数字を間違えた。
 
「ねえ、この発注書って、S社にファックスするんでしょう? わたし流してあげるわ」
 発注は在庫数、出荷傾向、今後の売れ行きを在庫管理機で確認しながら、毎日ボクが発注している。
 ・・・管理の女子社員に任すこともできるが、ムダを生じないため、日替わりの細かな配慮が必要なのでボク自身が行っている。

「よろしくお願いします。S社のファックス番号はわかりますか?」
「もちろん分かりますよ。いつも横目で見ているから・・・」
 彼女は弾むように立ち上がった。

「部長さんは車で帰っているんでしょう? 終わったら乗っけていただいていい?」
「・・・」
「部長さんって、たしか三鷹でしょう? わたしは高井戸だから途中よね・・・」
 最後の発注書をS社に送り込むと、彼女は言った。

「いいですよ・・・」
 いつもは専務に送ってもらうんだろうな、とふと思った。
「まあ、カワイイ車ね」
 サニーの助手席に乗り込むなり言った。
 ・・・そりゃ、専務の車とくらべりゃ・・・ 専務の車は三菱デボネアだ。

 彼女は本来ボクの補助で入社させた派遣社員だが、今は専務の受注したプラントの物件の処理が忙しいので手伝っている。

 しばらく会話がなかった。
 街のネオンが両脇を流れて行った。

部長、変なうわさがあるの知っている?」
 突然、なつみが口を開いた。
「専務とわたしのことよ。そんなことあるわけがないじゃない。バッカみたい!」
「・・・」
「何? 部長! 信じているの? まさかそんなことないわよね?」

 -続くー
          




エッセイ(643)恨み千年対克服力

2019-12-18 04:26:34 | エッセイ
 恨み千年に生きる韓国と日本の克服力。

 唯一の被爆国日本。
 ・・・しかし、日本はこれをアメリカに対する恨みとすることなく、克服力に変えた。

 見よ! なでしこジャパンは、韓国の地でチャンピオンシップを手にした。

  「克服力」こそ、真の力!          




エッセイ(642)イギリスの意地

2019-12-17 04:45:25 | エッセイ
 イギリスがEUを離脱することを決定!
 *そもそもEUのように人間の頭で創り出した国は、崩壊する運命にあるのだ。
  ・・・マルクスレーニン主義で創り出されたソ連邦のように・・・

 *その点、大英帝国は歴史が営々と積み重ねた産物だという自負がある。
          
 歴史的な重みを意識する




 
 
       




なるほど!と思う日々(643)金融政策の悲劇

2019-12-16 04:35:06 | なるほどと思う日々
 昨日、ボクのブログをよく見て下さる安永隆則さんの講義に誘われたので出かける。
 題して第53回三鷹雑学大学講義「金融政策の悲劇」       
 ・・・三鷹市消費者センターで開催された。
 講師は安永隆則さん。1977年日本銀行に入行。西ドイツフランクフルト駐在。国際収支課長、広報課長を経て、1999年福島支店長。その後静岡支店長、仙台支店長を歴任。
 現在は(株)TYK総合企画代表。

 集まって来られた方は、お役人、学者など錚々たる方々だということは質疑応答のレベルの高さで推測できる。(この後、続々と集まり、20名近く、満席状態になった)

 *グローバル化の中での経済空洞化と少子高齢化。
 *危機的な財政運営。金融の異次元緩和
 ・・・まさにワニの口状態だ。
 
 *出口戦略は? 日銀の財政の悪化など後遺症は不可避だ。

 *ビットコインとブロッキングチェーン、キャッシュレス決済、MMTの魔術など、話題は豊富だった。
 参考資料として中野剛志の「奇跡の経済教室」が披露された。

 まさに、金融政策の不可解!  




なるほど!と思う日々(642)江戸川乱歩

2019-12-15 04:31:50 | なるほどと思う日々
 大久保喬樹東京女子大名誉教授が次に取り上げたのは、
 江戸川乱歩「屋根裏の散歩者」でした。
 ・・・わが郷田三郎は、(酒や女に生きがいを感じない)「こんな面白くない世の中に生き長らえているよりは、いっそ死んでしまった方がましだ」しかし、・・・「死ぬ死ぬ」といいながらつい死にきれずに生き長らえているのでした。
 ・・・さて、彼が今度移ったうちは東栄館という新築したばかりの新しい下宿屋でしたが、ここで彼はひとつのすばらしい楽しみを発見しました。
 ここで、明智小五郎という素人探偵と知り合うのです。
 *隣は誰が住んでいるか分からないといういわば、都市推理小説の誕生です。

 そして「パノラマ島奇譚」
 ・・・それは一見、非常に宏大な庭園に過ぎないのですが、ある人はそこから、何物か、途方もないある種の計画、若しくは芸術という様なものを感じないではゐられぬでありませう。それと同時に、その人は又、その辺一帯に漲る怨念といふか、鬼気といふか、兎も角も一種の戦慄に襲はれないではゐられぬでありませう。・・・

 *バーチャルリアリティを現実の島に実現。
 *文化の変容を先取りして、まさにディズニーランドの世界です。        

  リアリズムの終焉からポストモダンへ

なるほど!と思う日々(641)佐藤春夫と谷崎潤一郎

2019-12-14 06:21:02 | なるほどと思う日々
 昨日は大久保喬樹東京女子大学名誉教授の講義なので、早めに、15分前には教室に到着したが、既に小林克彦代表幹事とともに席についておられた。
 先生がボクの杖に目を留められ、「足は大丈夫ですか?」とおっしゃって下さった。
 お心遣いに恐縮・・・。

 取り上げるのは、佐藤春夫の「田園の憂鬱」 
 ・・・彼と彼の妻とは、その時、各(おのおの)この草屋根の上にさまようて居た彼らの瞳を、互いに相手のそれの上に向けて、瞳と瞳とで会話した。「いい家のような豫感がある」「ええ私もさう思ふの」・・・
 ・・・一筋の平坦な街道が東から西へ、また別の街道が北から南へ通じて居るあたりに、その道に沿うて一つの草深い農村があり、幾つかの卑下(へりくだ)つた草屋根があった。それは、TとYとH(東京、横浜、八王子のこと)との大きな都市をすぐ六七里の隣にして、譬へば三つの劇しい旋風の境目に出来た真空のやうに、世紀からは置きつ放しにされ、世界からは忘れ去られ、文明からは押流されて、しょんぼりと置かれて居るのであった。
 ・・・彼はただひとりぼんやりと、見るともなしに、あの丘を眺めて居た。・・・
 ・・・丘はいつもと違って見える・・・その丘は、彼には或るフェアリイ・ランドのやうに思はれた。
 ・・・さうして、彼は今、うっとりとなってフェアリイ・ランドの王であった。・・・
 ・・・やがて、いつまでも見えるやうに思って居た丘も見えなくなった・・・。

 *ストーリーらしきものはない。文学・映画に夢中になって遊び過ぎてノイローゼになった佐藤春夫が、イギリスの小説の田園風景に影響を受け、感覚的に書き連ねた作品のようだ。

 佐藤春夫は、大正期から始まるデカダンス的な感覚を「市民」という立場から表現する、谷崎潤一郎と共にこの時代を代表する文学者である。
 *映画が佐藤や谷崎にかなり影響を与えている。
 
 *谷崎も一時マジックリアリズムを実現するような小説を書いている。
 「金色の死」
 *「そんな谷崎が<陰翳礼讃>や<細雪>を書くようになったきっかけは何なのでしょう?」
  ボクは大久保先生にお伺いした。

 「京都という場所でしょう」
     




エッセイ(644)顔なじみとプライベート麻雀

2019-12-13 04:30:48 | エッセイ
 昨日はいつもの顔なじみと麻雀だ。
 結果は?
 
 6荘戦い、4荘までは勝っていた。
 しかし、最後の2荘でFくんの一人勝ち。

 「勝とう勝とうが負けのもと」
 先輩が言っていたのを思い出した。

 そもそも、麻雀で儲けようなんて根性がダメ!

 
        



エッセイ(643)筋肉を付ける日と称して 歩きに歩く。

2019-12-12 04:48:27 | エッセイ
 水曜日は筋肉育成日として、とにかく歩く。人見街道を歩く。
 ・・・Well Come to TOKYO
だって・・(自販機は既にオリンピックモード)

 図書館はクリスマスモード。 デンキチ かごの屋は、忘年会 酒屋と自遊空間は、いつでもOK!
 
 4218歩、歩きました。