昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

三鷹通信(159)第19回読書ミーティング(3)江戸川乱歩

2016-07-20 04:19:49 | 三鷹通信
 これから先はボクが別の会合に参加するため失礼したので、講師のまとめに添って記載します。       
 
 Aさんの推薦本、江戸川乱歩「D坂の殺人事件」
 
 江戸川乱歩の初期代表作。本作で、明智小五郎が初登場する。
 D坂で起きた密室殺人事件を<私>と素人探偵<明智小五郎>が追及していくという短編推理小説。

 江戸川乱歩
 
 乱歩は早稲田大学在学中から様々な仕事に手を染める。
 封筒貼りの内職、市立図書館の貸し出し係、英語の家庭教師、貿易商、タイプライターの販売、造船所、雑誌編集、支那ソバ屋(D坂に登場)、新聞記者、ポマード瓶の意匠宣伝、
 25歳の時には団子坂で弟とともに<三人書房>という古本屋を営む(D坂に登場)。

 1923年(大正12年)『新世界』に掲載された<二銭銅貨>でデビュー。
 
 黎明期の日本探偵小説界に大きな足跡を残した。
 衆道の少年愛・少女愛、男装・女装、人形愛、草双紙、サディズムやグロテスク、残虐趣味などの嗜好があり昭和期初期から一般大衆に歓迎された。
 (例)代表作の一つに登場する女悪人黒蜥蜴は「美男美女を大水槽で溺れて死なせ、その死体を剥製にして集めるのが大好き」という趣味を持つ。
 

 *少年向けとして、明智小五郎と小林少年や少年探偵団が活躍する「怪人二十面相」などがある。
 
 *推理小説では無理といわれていた日本家屋を舞台に話を作り上げている。
  密室を作り上げることが難しい家屋を逆に利用して考え出されたトリックは偉大なる功績といわれる。
 *江戸川乱歩作品には子どもの頃にポプラ社シリーズなどで親しんできたという人には、大人になって読む乱歩作品としてオススメ。
 
 色恋沙汰が事件の軸になっていることが多く、意外と<大人向け>であったことはちょっとした発見です。



三鷹通信(158)第19回読書ミーティング(2)利己的な遺伝子

2016-07-19 06:05:59 | 三鷹通信
 ボクの推薦本はリチャード・ドースキンの「利己的な遺伝子」
       
 イギリスでEU離脱が決まった時、「これでEUは崩壊に向かうのか」と思った。
 
 そして「ソ連邦の崩壊」を思い起こした。
   
 「やっぱり、人間の頭で考え出した理想の国家なんてありえないんだ」と。
 「我々はリチャード・ドースキンが提出した大発想『利己的な遺伝子』に繰られているのか」と。
 竹内久美子が「賭博と国家と男と女」の中で語っている。
 
 生命の主体は個体にあるのではなく、ドースキンが主張するように遺伝子の側にあるのだ。
 個体は悠久の時間を旅する遺伝子の乗り物<ヴィークル>に過ぎない。古くなれば打ち捨てられる。それが死というものだが、遺伝子には死というものがない。遺伝子のコピーは次々と新しい乗り物に移っていく。
 利己的な遺伝子の願いはひたすら自分のコピーを増やすことだ。
 そのために乗り物や乗り物どうしのふるまいを巧みに操作する。
 たとえば、新しい<子>に乗り移った利己的遺伝子は、古い乗り物<親>を繰り、新しい乗り物の保護や成長のために全力投球させる。
 親が子のためにどんな苦労も厭わないのはそのためだ。

 顔を覚えたり、個体を選別する能力を持つ動物(もちろん同種)が集まると、そこには自ずと順位が出来上がる。
 順位制は争いによる結果ではない。支配の論理でもない。
 そこにあるのは、実のところせめぎあう利己的遺伝子の損得勘定だけなのだ。
 君主と国民の関係は、領主と領民、大名と家臣、地主と小作人、老練の主人と奉公人など、あらゆる世襲されるリーダーとその配下の者との関係に置き換えることが可能だ。
 
 リーダー側の人間が恐れるのは配下の者たちの信頼を失うこと。その恐れが彼らに裏切りや不誠実な行為を思いとどまらせるわけである。・・・
 我々は何となく由緒ある家柄を尊び、歴史の古いものには何となく敬意を表す。

 出自の分からない者は、どんな戦略者なのかもよくわからない。
 そんな人物が何かのはずみでリーダーの座に就いてしまったら、ひどい目に遭うのは自分たちなのだ。
 (ヒットラー、スターリン、チャウシェスク、毛沢東の例を見よ)
 
 
 

 君主制と階級制がなぜ優れているのか、その一番大きな理由は、これらのシステムが動物の社会化の中で自然発生したということ、さらには長い淘汰の試練をうけつつもいまだに残っていることである。
 それ以外の国家の形態・・・たとえば、社会主義や共和制・・・は、人間の頭の中から出てきた理想の産物である。
 そこでは遺伝子ではなく、個人が考えられる個人の尊重、個人の尊厳、個人の平等だ。
 裏を返せばこれは、遺伝子に対する挑戦であり、冒涜であり、差別である。
 そのような考えはあの「利己的遺伝子」にどうして太刀打ちできようか。
 実際、社会主義は1世紀にも満たないうちに滅亡した。
 EUの理想的存在も今や試練にさらされている。

 ・・・われわれは遺伝子という名の利己的な存在を生き残らせようと盲目的にプログラムされたロボットなのか?・・・
 動物界でも遺伝子が利己的なふるまいをする例が沢山ある。
 自分の子どもは作らず、女王蜂の世話をする働き蜂
 
 カマキリのメスはオスの頭を食べることによってオスの性行為を活発化することができる。 
 アザラシに自分の仲間を蹴落として捧げるペンギン。
 
 ・・・みんな遺伝子に繰られる乗り物に過ぎない・・・理屈でなく。 


なるほど!と思う日々(414)国立西洋美術館・世界文化遺産に登録!

2016-07-18 04:22:22 | なるほどと思う日々
 <読書ミーティング>ご紹介の間を割いて速報です!
 国立西洋美術館がわが国20個目の世界文化遺産として登録されました。
 
 台東区長、文化庁長官、美術館館長、お喜び爆発!
 
 トルコで開催された世界遺産委員会がクーデター騒ぎで一時中断されたりしたのでなおさらです。
 近代建築の巨匠ル・コルビユジェの17の作品の一つとして評価されました。
 
 
 フランスのジャンヌレ邸
 
 スイス。レマン湖畔の小さな家
 
 ドイツのワイセンホフ・ジードルングの住宅
 
 ベルギーのギエット邸
 
 アルゼンチンのクルチェット邸
 
 インドのチャンディガール・キャピトルコンプレックス
 


三鷹通信(157)第19回読書ミーティング(1)

2016-07-17 04:11:24 | 三鷹通信
 現役編集者が主催する読書ミーティングです。
 今回講師が取り上げたベストセラーは、アドラー心理学に関する本です。
 アドラーはフロイト、ユングと並び心理学の3大巨頭のひとりです。
 「嫌われる勇気」
 
「アドラー心理学は役に立たないのでは?」と食ってかかる青年と、アドラー心理学を研究する哲人との対話集です。
「どうすれば人は幸せに生きることができるか」という問いにきわめてシンプルかつ具体的な答えを提示する。
「人類の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と断言する。

 2013年12月発売以降ずっと読まれ続けて累計130万部。
 先月もベストセラー自己啓発本ジャンル1位。
 ちなみに韓国では去年115万部のベストセラー1位だそうです。
 
 そしてその続編
 
 人は幸せになるために生きているのに、なぜ「幸福な人間」は少ないのか?
 本書のテーマは、ほんとうの「自立」とほんとうの「愛」。
 そして、どうすれば人は幸せになれるか、を書いている。
 3年ぶりに哲人を訪ねた青年が語る衝撃の告白。
 アドラー哲学は机上の空論だとする彼に「あなたはアドラーを誤解している」と哲人は答える。
 誰もが幸せに生きるためにすべき「人生最大の選択」とは何か?
 気になりますね・・・。
 今年2月に出て現在37万部。 

 さらにアドラー心理学関連本も売れてます。

 
 あなたのお部屋がイライラしないで片づく本。
 じつは片づけのストレスは対人関係にある。
 夫が片づけない。子どもがちらかす。片づけない家族を見る姑の視線。
 ・・・もう自分を責めない。家族も怒らない・・・
     
 
 先生のためのアドラー心理学。
 生徒の生活行動の原因が家庭環境にある場合でも、学校に居場所を見つけさせ、良い人間関係を築けば救われる。
「誰かの役に立っている」という実感を持たすことができれば、多くの生徒が救われている。

 ボクは小学校の放課後の囲碁クラブの先生をしている。
 中に中国人の子どもがいる。
「囲碁はどこから伝わってきたのですか?」彼女はボクに質問した。
「中国からだよ」ボクが答えると、彼女はとてもうれしそうににっこりしました。

 
 ─明日に続く─



なるほど!と思う日々(413)女の口説き方

2016-07-16 04:14:15 | なるほどと思う日々
 櫻井式女の口説き方を伝授しましょう。
 その1.
 

 その2.
 
 レストランでお食事をするとき、さりげなく白いハンカチを渡しましょう。
 
 
 その3.
 
 相手の好みを聞き出し自分も同調する。
 
 
 
 
 その4.
 
 たとえば、ハンカチで相手の手の平を計る。
 
 その長さは顔の長さと同じですね。
 
 さらに耳と耳の間と同じ。
 
 危険な距離に接近、ついでにチュウ!
 
 その5.
 特別なサイコロを隠し持って、振ります。
 
 
 出た目は?
 
 これを並べると、なんか意味ありげな言葉が!
 こんなサイコロ売ってます。
 
 
      


なるほど!と思う日々(412)日本文化の父・足利尊氏

2016-07-15 05:47:26 | なるほどと思う日々
 織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の日本史3傑に比べると地味で目立たないが、彼らの先に日本史に登場した「足利尊氏」もなかなかの傑物ですぞ!
 
 史上初めての武家政権を樹立した頼朝は、公家社会のくびきを脱するために当時、蝦夷はびこる辺境の地と言われた関東の鎌倉に拠点を置いた。
 尊氏もそこに拠点を置く武士だったが、部下からは信望を集める人物だったようだ。
 
 一時は後醍醐天皇の意を受けて、動乱のあった鎌倉幕府を制圧し征夷将軍の称号も受けたが、鎌倉を拠点に独自に武家政権再建の動きをし、天皇の反感を買い、新田義貞軍を差し向けられる。しかし、箱根竹ノ下の戦いで新田軍を破る。
 
 その際、鎌倉に戻るべきか、勢いのまま京都に進軍すべきかの選択を迫られる。
 そして、決断する。
 
 その決断が京都を拠点とする室町幕府を開くことに繋がるのだ。
 武士を虫けらのように嫌っていた後醍醐天皇を廃し、光明天皇を擁立、室町幕府を開くことになる。
 
 
 
 まさに京都は豊かな<町衆>による経済力、情報力、文化力満てる街であった。
 
 そこに新たな文化が花開いた。
 
 茶道・華道・能という日本の文化の礎がここにある。
 
 
 

 日本を統一する拠点として京都を択んだ足利尊氏は「鳥の目で見て一番最適な着地するリーダーの資格があった」のだ。
 また、「日本文化の父」と評価される所以だ。




なるほど!と思う日々(411)公金流用疑惑

2016-07-14 06:23:31 | なるほどと思う日々
 奈良市のゴミ処理施設で職員の体力強化のためと称して、勝手に施設に筋トレコーナーを作っていたことが問題になっている。
 
 
 同じ施設では収集したゴミを転売したということでも問題を起こしている。
 
 さらに、奈良市と言えば5年間長期病欠の職員が給料2700万円を支給され、ポルシェを乗り回していた事件でも有名である。
 
 
 東京都でも舛添元知事が公金流用で辞職した。
 
 今日公示となる都知事選で有力3候補(宇都宮氏は寸前で辞退した)は、この汚職体質の改善をいずれも第一のテーマとしているが・・・。
 


エッセイ(292)現代大国・中国・ロシアの横暴

2016-07-13 01:28:19 | エッセイ
 中国の主張する南シナ海の権益について国際仲裁裁判所の裁定が下った。
 
 
 中国の主張する歴史的権利主張の法的証拠なんかない!と言うのだ。
 
 むしろフィリピンの排他的水域に属する、と。
 
 だいたい島なんて言っているが
 
 
 しかし、中国は「中国の夢」を実現するためにも「核心的利益」を手放すわけにはいかないと、裁定を受け入れず無視し承認しないと宣言。
 
 ここで明白になったのは、「力に基づく外交」は、かつての植民地時代の帝国主義と本質的にはなんら変わっていないということ。
 ロシアのクリミヤ併合にも見れるように、わが領土だと認識したら手段を択ばずだ。
 
 核兵器だって使用しかねない。
 
 現実の世界では、あいかわらず「力による外交」がまかり通るってことだ。
 その点、日本は平和だね。





なるほど!と思う日々(410)ソーシャルインパクト

2016-07-12 06:22:53 | なるほどと思う日々
 今や、グローバリズム経済のもと、マネーは膨張し続け、投機的手段で大半は特定の富裕層の下に集まり、貧富の格差を増大させている。
 
 その格差を埋めるための手段として、最近「ソーシャルインパクトボンド」が注目されている。
 
 
 カネがカネを生むマネーゲームから社会的投資へと新たな方向づけが模索されている。
 
 富裕層のマネーと、公的資金を活用するものと二通りある。
 
 多数存在する廃屋などを活性化させるのだ。
 
 
 
 仕事がなかった人も生き生きと生活できる場が蘇った。
 
 投資家も潤う。
 
 大金融機関も着目するようになった。
 
 
 日本では、昨年、横須賀で特別養子縁組の推進支援事業が始まった。資金は日本財団が出資している。
 
 マネーゲーム経済では先の見通しが立たない。
 
 
 
 ただ、リーマンショックのようなリスクを回避するための工夫も必要だ。
 
 



なるほど!と思う日々(409)参院選・自民勝利の要因

2016-07-11 07:00:36 | なるほどと思う日々
 参院選の結果が出た。
 マスコミの期待を裏切って自民党の勝利だった。
 
 改憲派が2/3を超える勢いだ。
 
 2005年の総選挙で小泉純一郎が「自民党をぶっ潰す!」というパフォーマンスで圧勝した総選挙を思い出す。    
    
 今回はその息子小泉進次郎のパフォーマンスに着目した。
 
 彼は、今回初めて選挙権を得た18歳、19歳世代に焦点を合わせた。
 
 その街頭演説の若者にも伝わる分かりやすさとユニークなパフォーマンスで彼らを取りこんだことは間違いない。
 
 彼の街頭演説を聞きに来た聴衆の中からそれら若者を見つけ、壇上に上がらせるパフォーマンスで若者たちの親近感を手繰り寄せた。
 
 彼はオヤジさんとは違う形で劇場型パフォーマンスを演出したのだ。
 
 

 その点、野党は共闘はともかく、「改憲阻止」の大義だけで闘った選挙戦略がどうだったか。<親近感>という庶民のハートから遊離していたかもしれない。