昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(218)レロレロ姫の警告・校正ゲラ

2014-09-10 02:36:31 | エッセイ
 自費出版<レロレロ姫の警告>がついに校正ゲラ確認の段階に入った。
 前回の修正に続く最終チェックだ。
 それにしても、チェック箇所の多いこと!
 前回、100か所以上あったのに、今回もまだ30か所ぐらいある。
 句読点の付け方、スペースの取り方から始まって、漢字にするのかひらがなにするのかが不統一、漢字の間違いなど。
 う~ん、こんなにもあるのかよ!

 さらに、商標登録されているくまモン、コナン、アンパンマンなどのキャラクターは無断使用できない。
   
 
 AKB48のヘビーローテーションの歌詞を引用する場面があるが、・・・アイウオンチュー、アイニジュー、アイラブユー、頭の中ガンガン鳴ってるミュージック・・・
 これも著作権に抵触するのでダメ!

 それどころか、三菱や住友、みずほなどの銀行名、そしてディズニーランドや東京スカイツリーまで使えない。
 
 
 ディズニーランドはともかく、東京スカイツリーは本作品では姫が最後に地球から離れる重要なシーンだ。
 削除するわけにはいかない。了解をとらなければ・・・。

 さらに、寺田寅彦の<天災と国防>からの引用は、一字一句確認を指摘されたので再度読み返してみる。
 
 改めて、現代にも通じる示唆に富んだ内容だ。

 それにしても、修正チェックの作業は頭が痛くなる。
 野川公園の出入り口の位置関係の描写で気になるところがあったので、気分を変えるために出かけることにした。
 幸い、このところの不順な天気も今日は晴れてすがすがしい。
 野川公園一之橋でバスを降りる。
 東八道路を挟んで、目指した入口と反対の方だ。
 
 橋を渡れると思ったが上り口がない。
 しばらく歩いて、反対側の野川公園に入った。
 
 こちらサイドは初めてだ。
 中之橋で目指す方へ渡る。

 自然公園に入る出入り口がある。
 
 中へは入らないで野川沿いを公園入口に向って歩く。
 風が爽やかだ。
 人は少ない。
 しかし、川遊びをしている小学生だろうか、先生に引率された子どもたちがたくさんいた。
 

 やっと目指していた入口から東八道路へ出る。
 

 
 東八道路から野川を見下ろすと、なんと大きな鳥がいる!
 グレイの色をしているが、青鷺か?
 
 大きくして見るとこんなヤツだ。
 10分ぐらい見ていたが身じろぎもしない。
 こんな街中の公園にこんな大きな鳥が来ているんだ・・・。
 なんか得したような気がした。

 <中秋の名月>文明の灯りを睥睨するかのよう。
 
 レロレロ姫はあの彼方からやってきたのだ!


なるほど!と思う日々(300)孫引き

2014-09-09 03:22:38 | なるほどと思う日々
 叔父さんにやさしい科学の本を頂いて以来、ボクは難しいことをやさしく書くことに興味を持つようになった。
 しかし想像力の乏しいボクにとって<書く>ということは、大海原に小舟で漕ぎ出すようなものでなかなか難しいことだ。
 
 
 そんなボクに目を開かせてくれたのが、荒俣 宏の<博物学から見た漢字>(朝日新聞・1989.10.11)だった。
 

 大学時代には翻訳を始め、仏、独、ラテン語にもぶつかり苦労した。
 言葉の範囲が広がると、自然に読書範囲も広がる。
 読み広げていくうちに、この世のぼう大な書物の多くは<孫引き>ではないかと思うようになった。
 書物は古代からあるものを取っ替え流用しているに過ぎず、それをどんどんさかのぼらなければ、真のオリジナルへはたどり着けないと悟った。

 ・・・記すためには当然文字を使う。
 だが文字は、自分の考えを伝えたり心にわき上がる思いを紙の上にたたきつけるようなものではない気がする。
 そういう目的なら、絵や図式の方がふさわしいだろう。
 文字はいってみれば、先人の仕事を効率よく孫引きするための便利なコピーメディアだ。
 つまり記すということは、毎日知らず知らず<写経>をしているようなものだ。
 

 既にあるものをどんどん書き写していく。
 その快楽と欲求のために人は字を<記す>のではないか。
 内容のオリジナリティや価値を追い求めるのではない。
 書き写すことによって、ある満足や納得に達しているのだろう。 
 生命体がDNAをコピーすることで繁殖していくように、人も自分のコピー、つまり子供を作るバーチャルな代替行為として、文字をコピーしているのかも知れない。
 生殖とコピー行為。
 二つの快楽は、どうも通じている気がする。
 <字>は家を表わす<うかんむり>の中に<子>を書く。
 
 これは、新しい一個の人間誕生の儀式を表わしているととれる。
 神は、人を存在物として認めたあかしに名前を授け、そして寿命を管理する天帝の台帳に文字で登録する。
 だから<字>を<あざな>とも読むのだろう。
 神に自分の存在を伝えるための最初のメディアが<字>だった。
 だから、字を書き写すことは、それだけで喜びを与えてくれる行為だった。

 ─続く─

 一度<貧困>を茶化しているとしてお蔵入りになった、鳥取県のゆるキャラ<かつ江さん>が黒鉄ひろしが連載漫画に登場させたことで、これからマスコミをいろいろな意味でにぎわすことになりそうだ。
 
 <かつ江さん>は鳥取城が秀吉による落城戦で多くの犠牲者を出したことのシンボルだ。
 

なるほど!と思う日々(299)イスラム国

2014-09-08 05:04:50 | なるほどと思う日々
 中東から衝撃の映像が世界に配信された。
 
 アメリカのジャーナリストが処刑されるシーンだ。
 しかも処刑しているのはイギリスから来た若者だという。
 もともとイラクに拠点を置き、アルカイダの流れをくむ組織がシリアの内戦に参加、力をつけイラクに逆流する形で勢力を強め、6月には<イスラム国>の樹立を宣言したISISなるイスラムスンニ派武装集団の兵士だ。
 

 その武装集団はアルカイダの流れをくむとは言いながら、かれらと決定的に異なるのは単にアメリカなどをテロ行為で脅すだけではなく、国家建設を目指していることだ。
 
 
 さらに特徴的なことは戦闘員として海外からも多数若者を集めている。
 その数、50か国から1万人を超えるという。
 
 イスラム教に改宗してまで、彼らの国家建設のための行動に参加している。
 
 

 彼らは<イスラム国>建設に賛同する富豪から援助を受け、さらに人質の身代金で金を集め、油田を略奪して勢力を築く。 
 
 
 
 
 「先進国の欧米の若者が中東へ行って人殺しをしている! 何が彼らをそうさせるのか?」
 
 マルクス主義を信奉した理想主義者サルトルに対立した、リアリスト哲学者フランスのレイモン・アロンの言葉を思い出す。

 世界の先進国で大学紛争が勃発していたころ、彼は言った。
「私は彼らに心から同情している、彼らがあんなに無為な騒ぎを起こさずにはいられない訳は実は私たちの責任なのだ。なぜなら、私たちは彼らから青春が正統な青春として在り得るために不可欠な条件を奪ってしまったんだから。その条件とは第一に若者たちの恐怖と早逝をもたらす戦争。第二はさまざまな願望と夢をはぐくむ貧困。第三は、命がけで戦いぶつかりたくなるような偉大な思想だ。それらはこの現代におおかた姿を消してしまったからね」
 

 なんという逆説的で、しかし現実を表現している言葉よ!
 それが人類の哀しい性だとすれば情けない! 
 
 
 

なるほど!と思う日々(298)文明(11)

2014-09-07 04:34:16 | なるほどと思う日々
 山本夏彦が群ようことの対談で人間は欲張りで、そのためには悪知恵も厭わないと言っている。
 
 
 馬は生まれたらすぐ足を踏みしめ踏みしめ立ちます。
 人間は立つまで、口をきくまで何年かかるでしょう。
 人類は誕生直後にどうして滅びなかったか、不思議ですよ。

 
 襲われる可能性だってあったでしょうにね
 火を使うようになったら、勝てたのはわかるけど、火を発見する前になぜ滅びなかったんでしょう。
 
 だから火をつかうことを覚える前に、どうしてほろびなかったのかまだわからないけれども僕は知っている。
 人間が生き延びたのは悪知恵のおかげなんですよ。
 悪知恵?

 僕は、<日本共産党宣言>の向こうを張って<日本植物党宣言>を起草したことがあるんです。・・・
 <日本植物党宣言>には、どういうことをお書きになったんですか
 陰に陽に人間の悪口を書いたんですよ。
 獣はお腹がいっぱいなら貪ることがない。今、お腹がいっぱいなら、目の前にシマウマが通っていようと、何が通っていようと、飛びかかることはないんです。
 ええ。
 だから、まず蓄えるということがいけないんです。これが人間が生き延びた一つですよ。
 人間は貪り蓄えるからいけない。

 そう。それから<諸悪の根源は移動することにあり>
 動くからいけない。植物はスクッと立っているでしょう。あれは見上げたもんです。
 だから、長年僕は見上げています。
 そうでしたか。
 イチョウなんて一里ぐらい先に同じく立っているイチョウに、ある風が吹く日、花粉が飛んで受粉して、ちゃんと実がなる。
 
 だから、人類みたいに醜骸相擁するようなことをしないで済む。

 ─続く─

 アンビリーバブル! 錦織 圭がついにランク1位のジョコビッチを撃破!
 
 全米テニス決勝へ進出!
「誰にも負ける気がしない」彼が言っていたのは本当だったんだ!
 

 

有名人(54)女の魅力(32)中園ミホ

2014-09-06 03:33:57 | 女の魅力
 今、テレビ番組の人気ランキング常に上位の<花子とアン>の脚本家、中園ミホが<あさイチ>に出演した。
 
「ヤラセだと思っていたけれど、事前に見てなかったんですね。私が話しかけても二人とも上の空で・・・」
 ボクも常々気になっていた<あさイチ>の有働と井ノ原が朝ドラを見ている冒頭のシーン。
 この作品の脚本家、中園ミホも<あさドラ>まで巻き込んでしてやったりと満足のご様子。

「大森閣下なんて、考証の大家がいらっしゃったり、NHKってスタッフもすばらしいわね」
 彼女はスタッフや役者との交流をしながらの当て書きの才がおありのようだ。
 花子に恋する朝市も、有働アナの予想通りこの番組から採ったらしい。
 有働アナご執心の嘉納伝助には中園ご自身も思い入れがあるようだ。
 
「お前の華族という身分と顔しかないだろう!」
 白蓮に「私の何処に惚れたの?」と問われて応える伝助の男っぽさの魅力。

 <腹心の友>花子と白蓮。
 
 中園も、全てを削ぎ落して核だけになった頃から、それまで信じなかった<女の友情>を信じるようになったという。
 有働アナと同じ年頃、つまり40才を超えてからだそうだ。

 そんな彼女には、10代で親を亡くし波乱に富んだ人生があった。
 中学生の頃覚えた四柱推命の腕を活かして、占いやギャンブルで稼いだりした20代。
 その時の、有名な政治家や企業家の裏側のほころびた顔に魅力を感じ、この時の経験が脚本家としての今に生きていると言う。
 30代でシングルマザーとなり、息子と対面した瞬間にご自身は変わったと告白している。
 

 つまり、それまでは世の中をなめていたが、この時以来他人の助けを素直に求めるようになったそうだ。身近な人たちが助けてくれた。ご自身は自転車の運転ができないのだが、息子はご近所のオジサンに教えてもらっていた。
 この時以来、脚本家としてやっていこうという覚悟ができた。
 子どものアンパンマンの歌をバックグラウンドミュージックにして、愛憎ドラマを書いた。

 そして次々と高視聴率のドラマを生み出していく。
 <取材力の中園ミホ>と呼ばれるように、マーケティングリサーチが得意だ。
 <ハケンの品格>の時は数多くの派遣社員の生の実態を取材した。
 
 だから、「派遣社員は幸せである」と言った派遣会社社長には反発した。
  
 <ドクターX>ではヒーローの外科医に「私は絶対失敗しないので」と言わせている。
 
 これはロンドンオリンピックで松本薫の「私ミスしないので」という言葉に触発されたそうだ。
 

 <あさイチ>のプレミアムトークの中で、「なぜ、純粋で美しい魅力的な有働有美子さんが結婚できないのか?」を中園が占うことになった。
 
「本当はイノッチみたいな男性がいいんだけど、彼は彼女を選ばない」
「・・・」
「男性の趣味が悪い! 華やかで女にもてる男に惚れやすい!」
 そして、「でも、2020年、嘉納伝助みたいな男と結婚する」と断言。
 思わずドヤ顔で足を組んだ。
「つい、勝ち誇っちゃった気になって・・・」
 中園ミホは魅力的な女だ。
 
 アギーレ・ジャパン、初戦ウルグアイに敗れる。
 
 守備のミスから0対2。
 相手と比較して、守りに余裕がない。
 パスミスが多い。
 次回に期待しよう。
 
  
  

なるほど!と思う日々(297)文明(10)

2014-09-05 03:12:19 | なるほどと思う日々
 大林宣彦は続ける。

 便利ということは、知恵や工夫がなくなりますから。
 不便さの中から人間はいかに便利で快適になろうかと工夫して、それで心が一緒に育ってくるわけですから。

 私は戦後五十年は第三時世界大戦ともいうべき経済戦争だったと位置づけています。
 日本がその戦いに勝つための戦略は<二分法>だったと思うんです。
 コンピューター的発想による効率主義。
 ゼロか一か、いいか悪いか、右か左か、学校主義は○×主義。
 
 
 ○×主義では心の行間が見えてこない。
 百人の生徒がいれば百通りの喜怒哀楽がある。
 本来はそれぞれの生徒の違いを知った上で向き合うことが教育だったはず。
 でも、それは不便で非効率的ですね



 ─続く─

 ・・・<便利>を追い求める文明に<心>は育たない・・・
 確かに!
 しかし、だからこそ! というべきか。
 こんな人たちもいます。

 <テレビ拾い見>
 福井放送の二木あつ子さん。
 ラジオ放送のアナウンサーなのにコスプレでやっている。
 
 
 有名になっちゃって、最近テレビでもひっぱりだこだ!

 門司の高校生丸尾龍一くん。
 <トラック野郎>に影響を受けて、自前で<デコチャリ>を作っちゃった。
 
 今専門学校で勉強していて、将来は<トラック野郎>になるのが夢だそうだ。
 

 


なるほど!と思う日々(296)文明(9)

2014-09-04 03:36:04 | なるほどと思う日々
 映画監督大林宣彦は、<私の描いた安倍定>の中で、<文明>について、手足は便利になるけれど、心にはちっともかかわってこない、と嘆いている。
 

 人間というものは米を研いで排泄して、朝を迎えて、寒さがあって暑さがあって、その中でともかく一所懸命、肉体を動かして生きている。
 
 そして肉体の中に心なるものがあるんだけど、見えはしない。
 その心の住んでいるところが、おかしくも哀しくもある。
 けれども、ともかく自分で行動することに生きる意味も実感もある。
 命の有効性、実用性というのか。・・・
 生活実感を持つということは、自分が限りなく不透明な存在になるということですよね。
 だけど、いまの時代はみんな透明になりたがっている。
 自分の存在を消したがっている。・・・
 
 
 現代の殺人はほとんどとばっちりみたいなものですよ。
 
 
 定の場合はね、確かにここに<私>がいて、確かにそこに<あなた>がいた。
 そして、<私>と<あなた>との関係を、より強く深く結びつけようとすることが殺人につながったという意味で、同じ殺人でもまったく意味が違いますね。
 
 殺人の中にも人間の心があり、人間の顔が見えていた。

 生活実感がなくなったのは、まず春夏秋冬という季節感を失い、明るさと暗さという一日のメリハリも失いました。
 また、<文化>という意味での生活体系をまったく失ってしまって、私たちは<文明>という生活体系だけを手に入れましたね。
 <文明>によって手足は便利になるけれども、心にはちっともかかわてこない。
 
 だから人間関係も希薄になり、<私>が<私>である理由もない。
 美しさとはね、<私>と<誰か><何か>との関係から生まれるものですから。・・・
 
 ─続く─
 
 一旦掲載を拒否した池上彰氏のコラムを朝日新聞は、今日おわびの言葉とともに掲載した。
 
 こてんぱんに批判している週刊新潮の広告も黒塗りすることなく掲載している。
 
 池上氏は「過ちてあらたむるに憚ることなかれ」という言葉を思い出して掲載に同意した旨コメントしている。
 
 しかし<従軍慰安婦>問題で池上氏が求めた<謝罪>は行っていない。
 アメリカ人の弁護士、ケント・ギルバート氏も言っているが、「騙された。韓国も騙されて慰安婦像なんかつくっちゃった。韓国にもお詫びすべきだ」と言っている。
 朝日新聞にとっては、まだまだ決着がついていないようだ。
 ・・・寂しい・・・  

なるほど!と思う日々(295)文明(8)

2014-09-03 02:35:08 | なるほどと思う日々
 我々人類が拠って立つべき、そんな文明社会について夏目漱石は、100年前既にその危うさについて警告を発している。
 

 愈現実世界へ引きずり出された。
 汽車の見える所を現実世界と言う。
 汽車程二十世紀の文明を代表するものはあるまい。
 何百と云う人間を同じ箱に詰めて轟と走る。
 

 情け容赦はない。
 詰め込まれた人間は皆同程度の速力で、同一の停車場へとまってそうして、同様に蒸気の恩沢に浴さねばならぬ。
 人は汽車へ乗ると云う。余は詰め込まれると云う。
 人は汽車で行くと云う。余は運搬されると云う。
 汽車ほど個性を軽蔑したものはない。

 文明はあらゆる限りの手段をつくして、個性を発達せしめたる後、あらゆる限りの方法によって此個性を踏み付け様とする。
 一人前何坪かの地面を与えて、此地面のうちでは寝るとも起きるとも勝手にせよと云うのが現今の文明である。
 同時に何坪何合の周囲に鉄柵を設けて、これより先へは一歩も出てはならぬぞと威嚇するのが、現今の文明である。
 

 何坪何合のうちで自由を壇にしたものが、此鉄柵外にも自由を壇にしたくなるのは自然の勢いである。
 憐れむべき文明の国民は日夜に此鉄柵に噛み付いて咆哮して居る。
 文明は個人に自由を与えて虎のごとく猛からしめたる後、之を陥穽の内に投げ込んで、天下の平和を維持しつゝある。
 此平和は真の平和ではない。

 動物園の虎が見物人を睨めて寝転んでいる居ると同様な平和である。
 
 檻の鉄棒が一本でも抜けたら・・・世は滅茶ゝゝになる。
 第二の仏蘭西革命は此時に起こるであろう。
 個人の革命は今既に日夜におこりつゝある。
 北欧の偉人イプセンは此革命の起こるべき状態について具にその例証を吾人に与えた。

 余は汽車の猛烈に、見界なく、凡ての人を貨物同様に心得て走る様を見る度に、客車のうちに閉じ籠められたる個人と、個人の個性に寸毫の注意をだに払はざる此鉄車と比較して、─ あぶない、あぶない。
 気を付けねばあぶないと思う。
 現代の文明は此あぶないで鼻を衝かれる位充満している。
 おさき真闇に盲動する汽車はあぶない標本の一つである。


「むしゃくしゃするので、誰でもいいから殺したかった」
 
 そんな人間が最近ニュースをにぎわしているが、こいつらも鉄檻に入れられてイライラしている虎のようなものか・・・。
 漱石先生は、こういう事態がいずれ生じることをお見通しだったのだ。 

 ─続く─
 


なるほど!と思う日々(294)文明(7)

2014-09-02 04:48:26 | なるほどと思う日々
 伊藤 整が<組織と人間>の中で、やはり人間は自由を嫌うと述べているのを思い出した。
 

 家庭を持つもの、妻をもつものは、その家族、その妻が、その幸福を社会組織の中にはめ込まれることに見ているから、決して自由であることはできない。
 我々は家族によって、即ち性と肉親間の組織を好むという危険な本能によって離れがたく、社会や政治の組織にハメこまれる根本傾向を持っている。

 心理学者フロムは我々が自由を恐れて、自由から逃走すると言っているけれども、それは我々の疫病ではなくして、我々の正常な本能である

 
 
 社会というものを作る本能を持っていた人間は、初めから自由を嫌った。
 多分原始林の生存競争の中に居た時、キバも爪も持たない人類は、組織を持つことによって敵と戦い、自己を保存することが出来たのであろう。
 そして、我々がその中に安全さを見出したこの組織なるものは、我々が蟻のような生物たらしめる運命を早くから決めていたのであろう。

 

 ─続く─ 

 <テレビ拾い見>
 Jリーグの村井 満、第5代目チェアマンが<Jリーグが取り組むべき3つの課題>と題して熱く語っているのに惹きつけられた。
   
 W杯でザックジャパンが期待外れだったので、今年のJリーグに賭ける彼の意気込みは期待してみたいね。
 
 要するに①簡単に倒れるようなヤワなプレイをするな!
     ②具体的に何メーター走ったのか、スピードは? データーサッカーを!
     ③子どもの時から世界で経験させろ! そのための金は出す!
 うん! 力強いね! 期待しているよ!
  

なるほど!ち思う日々(293)文明(6)

2014-09-01 04:30:43 | なるほどと思う日々
「いろいろとお世話になりました」
 ボクは叔父さんに最後の言葉をかけた。
 ボクがまだ小学校の頃、戦後間もない、食べることにも事欠く、ましてや子どもの好奇心を満たすテレビはもちろん、遊ぶ道具など何もない時代だった。
 
 そんな時、叔父さんから我が故郷の先輩、中谷宇吉郎の<雪の研究>などたくさんの本をいただいた。
  
 科学のことを平易に書いた本が多かったと思う。
 

 ボクにとって、優しいインテリおじさんだった。

 ご長男が親族を代表して挨拶した。

 
 今や新進気鋭のIT関連企業の社長である。
 しかし、彼はしばらく声が出なかった。顔を赤くして涙を流した。
 孫たちも優しいおじいさんのことを想い、涙を浮かべていたが奥さんは冷静に
ご主人にバイバイと手を振ってお別れした。
 
 ボクらには計り知れない長い闘病生活に終止符を打って、奥さんにとってはホッとした気持ちがすべてだったのだろう。

 葬儀が終わって、火葬場へ回り、精進落としにも参加してくださいと言われたが、夕方には仕事があるので、とお断りして直ちに式場を後にした。

 帰りの新幹線の中で、ふたたび<海辺のカフカ>を手に取り、そこでいうところの不自由な<文明>について思いを巡らした。

 ─続く─

 <色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年>の英訳が完成し、ロンドンでの発売に長い行列ができたという。
 
 
 アメリカでも<女のいない男たち>が発売された時、やはり徹夜で長い行列ができたそうだ。
 
 なぜ、村上春樹は海外でもこんなにもてるのだろう。
 「やり場のない若者の喪失感がある意味自分のライフスタイルを持った若者の姿を、彼は比喩やメタファーを駆使した美しい文体で表現し、共感を覚える読者を誘う」
 ・・・読書ミーティングの講師の解説を思い出した