昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(478)病床仲間(2)

2018-12-18 02:44:51 | エッセイ
 ・・・いつも同じような薄味の代わり映えしない朝食。
 
 ボクはむりやりお茶で流し込んだ。

 そのうち、ピンポーンと呼び鈴が鳴り響く。
「椅子に座らせてくれないかな・・・」
 向かい側のおっさんらしき声。
「はい、腰を上げて。そらよっこらしょ」
 看護師がやってきてサポートしている。
 からだの自由が効かない点では、ぼくより重症のようだ。

「だれか! トイレに連れてってよ!」
 他の病床のおばさんが怒鳴っている。
「誰かいないの? もれちゃうじゃないの!」
 なんの反応もない。
「お願いだから!」
 何べんもおばさんが怒鳴る。
 ・・・面倒見る看護師がいないのかな?・・・

 気にしたところで、
「さっき行ったばかりでしょ!」
 ぶっきらぼうな反応。
「でも、また行きたいんだから!」
「さっき行ったけど出なかったじゃない!」
 看護師にとって、面倒くさい患者もいるんだ。

 トイレに行くために通路に出たら、ナースセンターには人気(ひとけ)がない。
 呼び鈴の音が鳴り響き、赤いランプが何点も点滅していた。 
        






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