昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

三鷹通信(267)日本文化のルーツは自然崇拝

2018-06-09 07:04:06 | 三鷹通信
 昨日の三鷹市民大学「日本の文化」は企画委員の小林克彦氏が講演された。
 題目は「現代に息づく古代からの思想・文化」
 この講演を通して日本文化のルーツは<自然崇拝>だとボクは感じたが・・・。
 奈良県桜井市に三つ鳥居を通して山そのものを拝する古代日本の<自然崇拝>の信仰形態が今に残る<三輪山>がある。
 大神神社には本殿がなく山そのものを信仰するのだ。
 西洋のキリスト教やイスラム教などの一神教と異なり、日本人はあらゆる自然に神が宿るという<八百万の神々>を信仰する。
 6世紀半ば、仏教が伝来、<国家鎮護>から<祖先崇拝>と結びついて、庶民にも広がり我々の生活に深く溶け込んだ。

 小林氏は他国と異なる<日本文化>の特質の代表例として日本のいけばなとフラワーアレンジメントの違いを指摘された。
 *フラワーアレンジメント
  今を盛りと咲き誇る満開の花をできるだけたくさん集める。「足し算」の美であり「面の芸術」だ。
  濃厚なソースを加えて素材を圧倒するフレンチみたい。
 *いけばな         素材となる花の個性を引き出すために、枝葉を削ぎ落し、一輪の花の輪郭を際立たせる。
  いけばなの本質は「移ろい」としての枝ぶりを強調する「引き算」の美であり「線の芸術」である。
  いかに素材の味を引き出すかを重視する日本料理のようだ。
  *生け花のルーツとして平安末期高山寺「鳥獣戯画」に<供花(くげ)>、生け花のルーツが見られる。

 <日本文化>のルーツは一つではなく、様々な信仰や習俗を背景として生まれた。
 *現在日本文化と呼ばれているもの多くは室町時代に生まれた。
 当時は絶対中央権力が喪失している時代であり、将軍家の周辺の同朋衆が活躍、相争い、腹の探り合いの中から生まれた。
 *能、茶の湯、生け花、和歌、香等々。
 *精神性を大切にする傾向は日本特有のもので、いけばなや茶の湯に限らず体を動かすスポーツでも同じだ。
 *日本の武術は「礼に始まり礼に終わる」精神的な鍛練を重要視する。<剣道><柔道>。
 *日本ではこれらに<道>という字を添えて表記する。<華道><茶道><香道><床の間><盆栽>・・・。

 <陰陽思想>もともと6世紀頃に中国から伝来した<陰陽五行説>(占星術・天文学・暦など、実用的な技術)から由来している。
 *日本では陰・受動的(夜)、陽・能動的(昼)の二つの気が世界を支配していると考えられてきた。
 *西洋的な二元論(文明と野蛮)とは異なりいずれかが優れていて他方が劣っているというものではない。
 *すべてのものは、陰と陽、両方の性質を内に秘めている。
 *この世のあらゆるすべてのものは、陰から陽へ、そして陰から陽へと移っていく。
 *<左右が異なる>雛飾りが東京と京都では内裏様の位置が異なる。 
  

 <不完全なものを尊ぶ>
 *吉田兼好「徒然草」
 「すべて、何も皆、事のととのほりたるは悪しきことなり。し残したるを、さてうち置きたるは、おもしろく、生き延ぶるわざなり」
 *<くずしの美>日光の東照宮の陽明門には、一本だけ彫刻の模様が逆向きになっている<逆さ柱>が使われている。
 完璧に創り上げず、わざと不完全をねらっている。
 *<余白の美>

 <左右非対称への志向>
 *世界最古の木造建築である法隆寺の西院伽藍、金堂と塔を並べて配置(左右非対称のデザイン)
 *中国では原則、永遠性を重んじる宗教協建築は左右対称。
 *<くずしの美>、あえて不完全を狙い、左右非対称を好む。
  (自然界に存在するものは、山、川、森、石、草木など、どれも幾何学的な整った形体ではない。
 *さらに<移ろいを愛でる>
  <西洋庭園>
  整然と並んだ幾何学的な構成。
  <日本庭園>
  自然を手本としており、時とともに植物が成長することを予め考慮してデザインする。

 他にもたくさんな例示があったが、頭がパニックになって書き留めきれなかった。
 小林氏は専門家ではないと思われるが(間違っていたらゴメンナサイ)、この該博な知識に拍手!

 その後、久しぶりで三鷹市立第一小学校の<スマイルクラブ>囲碁教室に参加した。
 前回3人しか参加していないと聞いていたので心配していたが7人に増えていた。
 「礼に始まり礼に終わる」子どもたちとの囲碁教室は楽しい。
「大澤先生と対局したい人!」と言ったら「はいっ!」と元気な女の子が手を挙げてくれてジジイ感激!
 

   






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