昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

昭和のマロの考察(96)女と男(27)

2010-12-09 04:59:00 | 昭和のマロの考察
 <独裁者、毛沢東をめぐる女と男>⑩

 <アメリカ大統領ニクソンの訪中>このニュースは当時日本でも大変なショックだったことを思い出す。
 特に同盟国のアメリカが日本にひと言の断りもなく、敵対する中国に、しかも大統領が行った<頭越しの外交>として「何じゃこれ!」と信じられない衝撃だった。
 ニクソン訪中のきっかけは1971年3月名古屋で開催された世界卓球世界選手権大会にさかのぼる、と言われればなおさらである。

 当時日中両国間には外交関係がなかった。中国内でも選手団を派遣すべきかどうかかなり議論されたようだ。
 リチスイ主治医はその辺の経緯を書いている。

 選手権大会のおわり頃に、何人かのアメリカ選手が中国をおとずれたい、招待してもらえないだろうかと中国側にもちかけた。この申し入れはたちまち周恩来首相の注目するところとなり、周は主席あての報告に、そのような訪問は将来可能になるかもしれないと──外交的な言いまわしで丁重なお断りを──アメリカ選手団に伝えたらどうかという提案をつけくわえた。

 この報告に毛主席はいったん同意している。ところが、
 同日の深夜、毛は食事をすませて私の処方した睡眠薬をのんだあと、婦長の呉旭君を呼んでうとうととしながらも、ろれつのまわらない口ぶりで外務省の儀典長、王海容に電話してほしいと告げた。アメリカ選手団を即刻、中国に招待したいというのであった。

 周恩来は後日、この卓球選手権大会が世界の将来におよぼす影響に言及して、「小さな球が大きな球をゆさぶる」とコメントした。
 そして毛・ニクソン会談実現へとつながったのであった。

 毛沢東はニクソン訪中で上機嫌であった。・・・
 毛沢東はニクソンが気に入った。「あの男はホンネで話をする──もってまわった言い方をしない。ホンネとタテマエを使い分ける左派の連中とはわけがちがうな」
 ニクソンは毛沢東に対しアメリカの国益のために中国との関係を改善したいと言った。
「あの男の言いそうなことだ」と、毛沢東は言った。

「高い道徳的な原則を口にしながら邪悪な陰謀をたくらんでおる手合いよりずっとましだよ。アメリカとの関係を改善するのも、中国の国益にかなっておるのじゃないかね?」  毛沢東はそんな自分の考えに呵々大笑した。
 米中両国を結びつけた相互の利害とは、中国側からすれば<北極熊>の脅威にほかならなかったのである。/strong> 

 現実的な充実した首脳会談とは・・・、実に参考になるではないか。
 我が菅首相よ!


 ─続く─
 


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