昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

なるほど!と思う日々(363)人類は自縄自縛の文明から脱却できるか(3)アメリカの自由と民主主義

2016-02-24 09:11:21 | なるほどと思う日々
 先日、参議院憲法審議会での丸山和也参議員の発言が問題となった。
 
 黒人とか奴隷とかの差別言葉が不見識だというわけだ。
 
 その真意はともかく、オバマが黒人大統領として初めてアメリカの大統領に選出された時は世界中に新鮮な驚きであった。
 しかも「We can change!」という彼の政策は、世界のリーダー、アメリカの指導者の発言として世界から期待を込めて受け止められた。
 
 それまで「自由と民主主義」を旗印にパワーで戦後世界を牛耳って来たアメリカは、アジアのベトナム戦争に介入したり、中東イラクに世界の警察官として傲慢な姿勢で介入し顰蹙を買っていた。
 
 
 
 たしかにオバマの戦争をしない姿勢はそれなりに評価されたが、一方ではパワーポリティクスが支配する世界政治の中では彼の政策はレームダックという批判を受けた。
 もともとアメリカは人種的、民族的、文化的にも多様性を持つ、インディアンを別にすれば全て他からの移住者で成り立っている国家である。
 しかも、奴隷制という忌まわしくも傷深い歴史も包含している。
 それを束ねているのは自由と平等に基づく建国の精神の鑑である合衆国憲法であり、民主主義的な諸制度である。
 

 オバマは、彼の思い描いた「チェンジ」は叶えられないまま、今、世界のリーダーたる地位を去ろうとしている。
 何故不可能だったのか?
 それは彼が取り組んだ<銃規制問題>に象徴的に現れている。
 
「銃が人を殺すのではない。人が人を殺すのだ」 
 これが全米ライフル協会のスローガンである。
 合衆国憲法修正第二条に「規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、市民が武器を保有し、また携帯する権利は、これを侵してはならない」とある。
 さらにアメリカの歴史を紐解けば、先住民への攻撃、殺戮、簒奪の歴史である。
 
 自らの歴史を反省し謝罪することはアメリカ合衆国自体を否定することになりかねない。
 先住民を略奪してでき上った国家ではなく、自然の摂理たる生存競争に勝ち抜くことででき上った合衆国という国是なのである。