昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

昭和のマロの考察(18)官僚(5)

2010-08-13 05:32:57 | 昭和のマロの考察
 <証拠隠滅の官僚的手法>

 

 防衛庁が背任容疑事件の強制捜査前に、証拠隠滅を図ったとされる疑惑で、同庁は14日、庁内の調査委員会(委員長秋山昌広事務次官)の中間報告を発表した。 疑惑を招いたことにつき長官は陳謝するも、組織関与は否定。・・・

 調達実施本部を舞台にした背任容疑事件の捜査は昨秋に始まっていた。それ以来、東京地検特捜部は、装備品水増し請求をしていた東洋通商など4社に対する資料類などの任意提出を、調本に何度も求めてきた。

 調本の職員たちに戸惑いが広がった。
「どこまで提出すればいいんですか」水増し業者との契約ファイルを前に、ある職員が上司の課長に尋ねた。
 ファイルには、業者の伝票類のほか、代々の担当職員が作成した算定資料やメモ類が挟まれていた。
 課長は慎重に言葉を選んでこう答えた。
「それは個人の判断で頼む」

 職員は、問題にされそうな資料はすべて抜き取り、捜査部に提出した。
 ・・・会計検査院の検査に臨む時と同じ要領だな・・・
 課長の言葉の意味をこう受け止めたからだと、この職員は言った。
 調本は、会計検査院による定期検査を毎年受ける。
 契約内容に疑問をもたれないよう、不都合な資料類を抜き取ったり隠したり廃棄したりするというのだ。
 その際にも上司から明確な指示があるわけではない。
 今回も同じように組織的な資料隠しが実行された。(防衛庁証拠隠滅・朝日新聞1998年10月より)


 ─続く─