碧空の下で

人生の第四コーナーをまわって

普通の店

2017-12-26 11:55:03 | 日記風雑感
ワシの住居の近くに「普通の店」と書かれたレストランがある。わざわざ日本語で書かれた看板が出ている。ちょっとのぞくと小奇麗なレストランで確かに外から見れば「普通の店」です。なんでこんな看板をわざわざ掲げているのか、想像たくましくして考えた。日本語で書いてあるところを見ると、やはり日本人をターゲットにしているので、日本人の習性を考えて、普通の店と書いておけば、安心して入るのではないかとか、いやいやこれはこの看板を作るにあたって、タイ人が日本人に店の感想をたずねたら、普通ですと言われたをよい方に解釈して看板にしたのかもしれないとか、いつも行くなじみの店、普段の店、が普通の店に誤訳されたのではないかとかいろいろ考えてしまった。タイ人の日本食の店の名前はとてつもない名前があって驚くのです。例えばサムライキッチンや忍者ラーメンはそれなりに許せるが、TUNAMIとなると津波ですから、気か引けます。愛巴と書いてあいともです。巴は巴御前の意味だそうです。これはチャオ誌に載っていました。こんなの知るか。その普通の店の近くにElefantという店があって、外から見ると面白い作りになっていて、壁面が象の形をして、門の上にはタイ式の飾り塔がありカフェみたいな雰囲気なのです。ちょっとのぞいたら、部屋の壁面には大きな絵が飾られ、テーブルやいすなど調度品も凝ったものを使っている。3部屋から4部屋の仕切りがあって、それぞれの部屋の雰囲気が大きく違い、日本式に言うなら、なんとかの間と言うように壁の色やかけてある絵画が大きく違うのです。結構絵画好きの人がオーナーでしょうか、他の場所では見れない絵が多く展示され、画廊に近い雰囲気なのです。興味を引いたので店に入ってみると、ここはフランス料理店でした。メニューを見ると結構なお値段で、日本の高級店と変わらないくらいの価格設定におどろいたのですが、料理の品種はそんなに多くはないところを見ると、ご自慢の料理を食べてもらいたいと言うか、これだけしか作れないのだというか、無駄なメニューはないのだ。家内は明らかに間違えた店に入ってしまったという風に、オロオロして、お金は持ってないからねと予防線を張ってくる。ワシは部屋に飾ってある絵画を見たさに、ワインの一杯ぐらい頼んですますつもりになっていてワクワクしていた。絵画につられたお客の代表みたいな感じで、オーナーの作戦にぴったりと照準があってしまった。怪しげな蜘蛛の巣に引っかかったあわれな蝶だ。やっぱ芸術家(ワシ)はそういうものに飢えていたのだ。創作の泉のもとになるかもという期待が料理の値段をはねのけたのだった。美しいものを見なくて何の人生だ。めくるめく美の為にはこの命も差し出そう。プシュケPsycheのように蝶になって魂は羽ばたくのだ。例えここが悪魔の洞窟でも喜んで入って行こう。今宵はサタンとも手を握ろう・・ひっひっひ・・
かくして、Elefantの体内を巡って、すべての絵画を鑑賞し、タイの芸術家のテクニックと情熱と志を思いめぐらし堪能し、嘆息と慰安と快感の夜が更けていった。そしてテーブルには手長エビ一尾とチーズのひとかけらと一杯のワインが二人の晩餐であった。 ・・ つづく

            





















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