おまえ手の皮がぼろぼろじゃないか
いつものことだよ
痛くないのか
痛いよ
わかったからおつかいに行ってくれ
今日もお母さんは遅いんだから
こっちはこっちでしておくから
鍵しめてな
石ころと雑草だらけの谷
あんな高いトタンのヘリを
ねこが器用に歩いてら
おれはこっそり
千円札を右と左のポケットに分ける
ねこじゃらしの草を抜いて
電柱のところまで王様みたいに歩く
とんかつ屋で待っていると
靴の左右がバラバラなことに気付いた
あっち向いたりそっち向いたり
そこできっとねこじゃらしを落としたんだろう
帰らなくちゃってその時は
そのことだけだったから