極個人的発言録Blog

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「メモリー・ラボへようこそ」梶尾真治

2010-03-18 08:05:18 | 読んだ本
人には誰しも「忘れてしまいたい思い出」「忘れたくない思い出」があると思う。
もちろん俺にも....。

このメモリーラボのシステムを使えば、自分の記憶はもとより、他人の記憶を自由に自分のものにすることができる。
地味に過ごしてきた人が、華やかな人生の記憶を得ることも、薄幸を悲しむ人が、幸福に満ち溢れた思い出を得ることさえ容易くできるのだ。
色々な人生を自由に味わうことができる、まさに夢のシステムだろう。


だけど、どうなんだろう。

俺の「俺」たる所以は、この、積み上げてきた思い出の中にこそあるんじゃないだろうか?

今まで経験してきたこと、味わってきた辛酸、体感してきた幸福。
それらの全てが混然一体となって、今の「俺」というパーソナリティを形成しているはずだと思うんだよね。
思い出したくもない記憶だって、きっと俺という人格の唯一無二の部品の一つのはず。



だから、別の記憶・別の人生から導かれる人格は、外見こそ同じくとも、やはりこの「俺」とは違うと思うんだよね。

確かに時々他人の人生を羨ましく思う時もあるけれど、それでもやっぱり俺が俺でいるためには今までの全ては必要な要素だったんだと思う。

自分の思い出・自分の記憶と正面から向き合い、受け入れ、反芻し、自分なりに消化していく。
それが自分自身を認めることにつながるんだと思うよ。

こんな俺だってさ、自分自身を認めてあげなきゃね。

でないと、そんな俺を必要としてくれている人に失礼だと思うからさ。うん。


この物語の中に登場するメモリーラボで記憶を操作した人達も、恣意的な記憶を「きっかけ」として、結局は本来の思い出を受け入れていく。

やはり自分は自分でしかいられないんだよね。



詳しく「メモリー・ラボへようこそ」をチェック!


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