4階と5階は激しく損傷しているのに鉛直度は比較的健全です。
なぜ倒れなかったのでしょうか?
地震波を調べてみましょう。
宇土市役所の敷地内にK-NET宇土観測点(KMM008)があります。
■ 本震
・ マグニチュード : Mj=7.3
・ 発生日時 : 2016年4月16日 01時25分
・ 気象庁震度階 : 計測震度= 6.26 震度6強
・ 地表面加速度波形
すこし液状化しているかもしれません。
■ 土質柱状図
深度3m~5mに液状化層があります。
■ 加速度応答スペクトル
加速度応答スペクトルを見てみます。
減衰定数 h=0.05 で計算しています。
■ なぜ倒れなかったか?
地震が起きる前からフラフラで建っているのがやっとの状態だったからだ、と思います。
意図したわけではないけれど柔構造になっていました。
はやりの用語で言えば免震構造ですね。
フラフラなので1次振動の固有周期は相当長いはずです。
仮に2秒だとすると水平震度は0.2~0.3です。
この程度なら倒れることはないでしょう。
4階と5階が潰れたのは、2次もしくは3次の振動モードが励起されたからでしょう。
耐震性能が劣っていたために倒壊を免れたとすると、何が幸いするかわかりませんね。
ラーメン構造なのは間違いないようですが、
どれがメインの柱で、どれが梁で、仕口はどうなっているのか、
さっぱりわかりません。