tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

主要国の経常黒字と赤字、日本の進路

2017年05月13日 11時48分52秒 | 経済
主要国の経常黒字と赤字、日本の進路
 いつもアメリカの経常収支は万年赤字と書いてきていますが、これは単純に言えば、アメリカは「所得以上に支出をしている」ということです。赤字の家庭と同じです。

 赤字幅を比べてみますとこんな具合です。絶対額では感じが解らないので、対GDP比で見てみます(2016年、資料:世界経済のネタ帳)。
・ドイツ +8.4%  
・日本 +3.87% 
・中国 +1.75%(前年は+2.71%) 
・アメリカ -2.59%
ということになっています。

 ところで、経常収支というのは、下の4つの収支の合計です。
「貿易収支」モノの輸出入
「サービス収支」旅行などのサービスの収支
「第一次所得収支」対外投資からの収益
「第二次所得収支」援助や贈与の収支

 黒字国では、ドイツと中国は貿易収支の黒字が圧倒的に多く、日本は第一次所得収支が大きく、この所貿易収支も次第に増えそうな様子です。そして、アメリカは貿易収支の赤字が圧倒的に大きいということになっています。

 そんな状況ですから、貿易赤字の大きいアメリカは「貿易不均衡」と主張するわけです。
 しかし最も貿易黒字幅の大きい(GDP比)ドイツは、EUの一員で、EUのほかの国の赤字を何とか支えている状態なので、アメリカとしても物が言いにくいのでしょうか。
 アメリカの当面の相手は中国と日本ということになるようです。

 中国は、対北朝鮮戦略の中で、為替操作国でないことになりました。日本は第一次所得収支は大幅黒字ですが、貿易収支は現状ではそれほど大きくありません。

 さてこれからのアメリカの貿易不均衡是正のための政策はどう展開するのでしょうか。
 日本にとっては、日米貿易交渉という問題と、大幅化する経常収支に対して、国際投機資本がどういう反応を示すかという2つの問題があるようです。

 対策の王道は日本自体が自分で、経済・金融政策の見直し、税・社会保障の一体改革、格差社会化の阻止、消費を中心にした内需拡大政策を進めることでしょうが、政権は何か別のことにかまけてしまっているようで心配です。

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