tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

2022年3月度「日銀短観」、世界情勢反映

2022年04月01日 15時54分56秒 | 経営

今朝、日本銀行から、3月調査の「日銀企業短期経済観測」が発表されました。
年初までは、回復基調の世界経済を受けて比較的強気だった企業の景気判断ですが、コロナのオミクロン株の予想外の感染力に加えて2月末に突発したロシアのウクライナ侵攻問題で混乱する世界経済を受け、日本企業も些か弱気に転じているようです。

代表的な景気指標である大企業全産業の景気判断を見ますと、DI(調査企業を100として景気が良いという企業の割合から悪いという企業割合を引いた数字)は、昨年12月期は14、今3月期は11、3か月後は8という事で今年に入っての景気は強気が凋んでいく状況です。

マスコミでは大企業製造業の数字の見出しが多いですが、大企業製造業では上の数字は前12月期が17、「今3月期が14」、3か月後が9で、この14が見出しになっています。

勿論、数字そのものプラスですから、景気が良いという企業の方が多いという事です。
ウクライナ情勢とコロナ問題の先行きによっては、コロナ問題の初期2020年の頃のように、DIがマイナス(景気が悪いという企業の方が多い)よりはまだいいのですが、それも世界経済情勢次第でしょう。

業種と規模について見ますと、製造業では機械関係は落ち込みは目立ちませんが造船重機、自動車のDIは2ケタのマイナスで、不振が目立ちます。自動車は3か月後には状況の改善を見込んでいるようですが、早期に情勢の好転が望まれる所です。

非製造業では、通信、情報サービスは比較的順調ですが、対個人サービス、宿泊飲食サービス(DIは‐56)の状況改善は容易ではないようです。

企業規模別の様子を見ますと、中堅企業では、昨年12月、今3月、3か月後の全産業のDIは、4と2と-1、中小企業では、-3、-6、-8で、次第にマイナス化が大きくなる状況で、コロナや国際情勢の変化は、中小企業への影響が特に厳しいことが解ります。

この所の世界経済も日本経済も、経済外の要因に振り回されてばかりのような気がしますが、これでは、経済対策もどうしても後追いが中心で、経済回復のためには、エピデミック対策や国際関係の正常化がまず必要ということになってしまっています。

企業としても、まさに先行きの見えない中での経営政策の展開となるわけで、攻防両様に構えながら、誤りない選択をしていくのはまさに至難の技でしょう。

日銀「短観」では、少し長期的の展望の必要なものもについていは年度ベースで、2022年度の見通しまで聞いていますが、そのあたりから、来年かけての企業の考えを覗いてみましょう。

以下は、全産業全規模の2021年度と2022年度の「対前年伸び率」の数字ですが、
売上高は、4.3%増から2.1%増へ、経常利益は32.0%増から-0.3%の減へ急落
設備投資(除土地)は、5.2%増から3.2%増へのかなりの鈍化
内、ソフトウェア投資は、8.8%増から7.4%増への多少の減少となって、慎重ながらも重要な物への手は打つという感じです。

雇用人員判断(この項はDIで「過剰-不足」)について見ますと、今年度末にかけては-22から-24へと不足と感じる企業の増加が見られます。これは中小ほど不足という企業が大きい傾向が見えます。

企業としては、1年後ぐらいには、コロナも国際情勢も次第に落ち着くと見ているのでしょうか。その日の早いことを願うところです。

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