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少年の調書漏出、精神科医の上告棄却 有罪確定へ

2012-02-16 | 日記
 最高裁第二小法廷(古田佑紀裁判長)は、奈良県で母子3人が焼死した事件で放火した長男(当時16)=中等少年院送致=の供述調書などを外部に漏らしたとして、刑法の秘密漏示罪に問われた長男の元鑑定人で精神科医・崎浜盛三被告(54)の上告を棄却する決定をした。13日付。懲役4カ月執行猶予3年とした一、二審判決が確定する。

 ジャーナリストの草薙厚子氏が2007年、医師から入手した調書などを引用して「僕はパパを殺すことに決めた」(講談社)を出版。草薙氏は「社会通念を逸脱した取材行為がない」として不起訴処分(嫌疑不十分)になった。

 同罪は、医師や弁護士らが業務で知った秘密を正当な理由がなく漏らした責任を問うもの。弁護側は「鑑定人としての情報提供で、罪に問われる医師としての行為ではない」と主張したが、第二小法廷は「鑑定は医師が業務として行うもの。その過程で知り得た人の秘密を漏らす行為は罪にあたる」と退けた。秘密の範囲についても「鑑定を受けた人だけでなく、鑑定の過程で知り得た他の人も含まれる」と判断した。

 裁判官4人全員一致の意見。裁判官出身の千葉勝美裁判官は補足意見で「医師の仕事は、患者が医師を信頼してこそ成り立つ。同罪は、人の秘密を漏らすような反倫理的な行為は慎むべきだ、との考えを基礎にしている」と述べた。

 医師側は「発達障害の専門家として、長男に殺意がなかったと社会に知ってほしくて取材に応じた。正当な理由があってのことだ」と主張し、「表現の自由」も争点にしようとしたが、最高裁は決定で憲法判断に踏み込まなかった。

 一、二審判決によると、崎浜医師はこの放火殺人事件で逮捕された長男の精神鑑定を担当。06年10月、草薙氏の取材依頼に応じ、京都市の自宅やホテルで計3回、長男らの供述調書のコピーを見せたり、精神鑑定の結果を渡したりした。

■「間違っていない」

 最高裁決定を受け、崎浜盛三医師は、「主張が受け入れられなくて残念。裁判としては終わったが、私の行為は間違っていなかったと現在も思っている」と弁護人を通じてコメント。弁護人は「憲法にかかわる論点について一切触れていないのは極めて残念だ」との談話を出した。

 草薙厚子氏も「崎浜先生の行為は正当だったと今でも確信している。上告が認められなかったことは大変残念」とコメントした。

 草薙氏の本を出版した講談社は「メディアへの情報提供者を萎縮させる目的でなされた(検察の)介入であり、裁判所も同調してしまった。知る権利という民主社会の根幹が崩壊してしまうことを危惧する」との見解を公表した。


難しい問題ですね。