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日本初のプロバスケリーグ
「bjリーグ」と日本のバスケを
それとなく応援するブログ。

セルジオさんに斬ってもらうには

2008-02-08 15:09:51 | Weblog
日本サッカー界の論客・セルジオ越後氏が、
朝日新聞紙上で一連のハンドボール問題を斬っている。

「中東の笛」で五輪アジア予選がやり直しになり、日本で無名なスポーツだった
ハンドボールが思わぬ形で脚光を浴びた。
クウェートの王族がアジアハンドボール連盟を牛耳っていると言われるが、
もともとスポーツは、「権力」と切り離せない関係にある。
バレーボールの五輪出場権をかけた大会が、
日本という固定された国で開催されるのも、興行的な力がそうさせており、
これも一種の「権力」と言えるのかもしれない。

今回はジャッジ(審判)の問題なので大ごとになったが、
ジャッジミスはスポーツの世界ではよくあることだ。
サッカーの日韓ワールドカップで、
ベスト4に進んだ韓国に有利な笛があったのは有名な話である。

「中東の笛」は、たまたまではなく、長年の常識と言われているが、
負けた側がジャッジを問題にしても、説得力がない。
この間、韓国は何度も五輪に出場している。
問題の本質は「日本はなぜ勝てなかったのか」ということにある。
ジャッジミスがあっても負けないほどの実力をつけるべきで、
そのために何をしてきたのか、ということが本来問われるべきである。

ハンドボールが無名スポーツに甘んじてきたのは、
企業スポーツというアマチュアのままだったからではないだろうか。
プロとアマの違いは「けじめ」にある。
負ければ関係者が責任を取るのがプロの世界だ。プロ化すれば発言力もついてくる。
今回の騒ぎは、日本のハンドボールを変えていく大きなチャンスである。
このエネルギーを利用し、協会が先頭に立って新たな運動を始めるべきなのに、
ハンドボールをどう育てたいのか、という理念が伝わってこないのは残念だ。

メディアにも責任がある。
やり直しの日韓決戦をあれだけ盛り上げておきながら、
その後の国内リーグの扱いはわずかだけ。
ワイドショー的にハンドボールを利用した、と批判されても仕方ないだろう。
今回の事態は、日本のスポーツ文化の問題点も映し出した。
私は06年夏から、アイスホッケー・アジアリーグの日光アイスバックスの
シニアディレクターをしている。
資金難で撤退した企業チームを受け継ぎ、プロチームとして存続させるために、
スポンサー獲得などを無償で手伝っている。
スポーツ記者からは「なんでアイスホッケー?」とびっくりされたが、
そんなに不思議なことなのだろうか。

日本には「種目文化」の後遺症があると思う。
学校での部活動は、「自由にスポーツを楽しむ」ことが許されず、
一種目しかできない「貧しさ」がある。
学校以外でスポーツを楽しむ機会もまだ少ない。
だから、やったことのあるスポーツしか興味を持てなくなり、
違う種目は敵とさえ思ってしまう。
ハンドボールもアイスホッケーも、スポーツはみんなおもしろい。
そうした当たり前のことを気づかせてくれるような
スポーツ文化を育てないといけない。

「日本は縦割り社会」と言われるが、スポーツこそ横につながるべきだと思う。
大企業に頼る企業スポーツでは、横へのつながりは生まれない。
その役割を果たす組織として、地域でクラブを育てていくべきだ。
地域がスポーツでつながり、みんなで助け合って苦労していけば、
すそ野は自然と広がるだろう。

「宿題」がいっぱいあることがわかったことが、今回の一番の収穫ではないか。
中東の王族の力の大きさを嘆くよりも、
自分たちの努力不足をまず問い直すべきである。


セルジオさんが「中東の笛」の試合を見ていないであろうことはともかく、
これは、かなり厳しい警鐘ではあるまいか。
JBLに読み替えても全く違和感がない。

正直、プロ化すれば現状が改善されるのか、と問われると、
私は、はいそうですとは言えない。
でも、現状のままでは確実に緩慢な自殺を遂げると確信しています。
誰か力ある関係者、日本バスケ界を斬ってくれまいか!