tokyoonsen(件の映画と日々のこと)

主に映画鑑賞の記録を書いています。

『孤島の王』

2013-05-15 21:19:03 | 映画-か行
 面白かった。
 最初にたしか、島の遠景があったと思うんだけど、どうだったかしら。その後は島の全貌も分からないし、少年矯正施設の全体像もよく分からない。
 ただただ、白い雪と、白い息と、少年たちと、あとは少しの大人がうごめいていて、主人公が語るクジラの物語(未完)と、クジラの映像がところどころに差し挟まれる。
 DVDで観たけれど、映画館で観たかったな。

 1915年、ノルウェーのバストイ島というところの少年矯正施設で起こった、脱走事件を元にした映画だ。主人公が、某お笑い芸人に見えてきて、そういうのは本当にどうしようもないなと自分で自分にほとほと困ってしまう。

 いつ死人が出てもおかしくないような状況で、実際に死人が出てからの、憎しみと希望と、少年たちの恐れが静かに描かれる。孤島の王、というタイトルは淋しすぎないか。敗れ去ることを前提とした美学のようで、あまり好きじゃない(要するにハッピーエンドが好きなんだけど)。歴史はもう動かないかもしれないけど、物語なら動かせる。文盲の主人公の語るクジラの物語は、話すたびに現実を映し出すようになり、動いていった。

 マリウス・ホルスト監督、2010年、ノルウェー・フランス・スウェーデン・ポーランド。

 孤島の王 [DVD]

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