(※朝日新聞朝刊連載「折々のことば」風に)
「独立とは独立すべき勢力を指していうことなり」
家屋の堅牢さは風雨の中にあってこそ試される。穏やかな日の姿は堅牢さの証にはならない。同じく国家の独立は、独立しているように見えても安心せず、大風雨に耐える家屋の如く、諸外国との間にあって勢力を落とさないことにあると福沢諭吉は言う。文明は勢力を維持するための手段であり術である。目的に照らして術の軽重緩急を量り、用法をあやまたないのが肝要。そうすれば物事の見方は狭隘皮相から解き放たれ、昨日の怒りは今日の喜びとなり、怨敵が朋友に見えることもある。要は、惑溺を排し、日々工夫をめぐらし大目的を忘れないのが大事。一人ひとりのこの実践が国を独立に導くと説く。
福沢諭吉著「文明論之概略」(岩波文庫)から
「独立とは独立すべき勢力を指していうことなり」
家屋の堅牢さは風雨の中にあってこそ試される。穏やかな日の姿は
福沢諭吉著「文明論之概略」(岩波文庫)から