花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

平等院

2015-04-24 20:28:55 | Weblog
 京都では宇治の平等院も楽しみでした。十円玉に刻まれているのをずっと見てきて、いつかは本物を見たいものだと思っていました。訪れた日は金閣寺の時とは違って、ポツポツと雨が降っていました。平等院の前には池が広がり、池の表に映された平等院が雨滴の波紋で微妙に揺れています。京都府木津川にある浄瑠璃寺は池越しに本堂の阿弥陀如来像を見るようになっていて、その構図は平等院と同じで、両者の極楽浄土イメージは共通しているように感じました。もっとも極楽浄土を模したと言われる割には、平等院に幽遠さはなく、アピールポイントに欠ける中途半端な印象を受け、建物だけなら佐賀県鹿島市の祐徳稲荷神社の方が立派だがなぁ、とつぶやきたくなりました。でも、ミュージアムや鳳凰堂内の雲中供養菩薩は幽遠さがあり、一見の、いやそれ以上の価値があると思いました。平等院内には、平家との戦いの中、平知盛に攻め立てられて逃げ込み、自刃した源頼政のお墓があります。そこに、「埋もれ木の花咲くこともなかりしに 身のなる果てぞ悲しかりける」の辞世の句が掲げられていました。無念の思いは伝わりますが、「身のなる果てぞ悲しかりける」と言うあたりは未練がましく思われ、浄土思想の平等院にそぐわないと思いました。
(画像は宇治川に掛かる朝霧橋から見た鳳凰堂)