花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

現代社会はどこに向かうか

2014-02-17 21:22:25 | Book
 先々週の土曜日、東京は20年ぶりの大雪でした。その日の朝、私は飛行機の中で一冊の本、ページ数にして60ページ足らずなので正しくはブックレットを読んでいました。著者は見田宗介さん、タイトルは「現代社会はどこに向かうか」(弦書房刊)です。このブックレットの要旨を箇条書き風にまとめると次のようになるでしょうか。
1.ロジスティック曲線を描いて近代に経済活動は飛躍的に拡大した
2.やがて生産力が消費力を上回るようになったが、情報により付加価値をつけることで、消費力の限界を大きく引き上げることになった
3.情報が占めるウェイトが増すに従ってだんだんバーチャルな世の中になってきた
4.バーチャルな世の中になりリアリティが失われてくると、逆に人々はリアリティを求めるようになった
5.地球の有限性によりロジスティック曲線が定常局面に入る中、リアリティをどう摑まえていくかが問われる

 この「現代社会はどこに向かうか」は福岡ユネスコ協会で行った講演を文章化したもので、具体的な事例と論理的な分析がかみ合って非常に分かりやすい内容になっています。ただ、惜しむらくは、「現代社会はどこから来たのか」の説明が主で、タイトルの「現代社会はどこに向かうか」にある「どこに向かうか」の部分が薄いと思いました。けれども、それはこのブックレットを読んだ個々人が考えるべきことなのでしょう。
 「現代社会はどこに向かうか」を読み終わった頃、飛行機は降下を始めました。飛行場へ着陸した時はまだ雪が舞う程度でしたが、それから見る間に降り方が激しくなり、程なく欠航が相次いだようです。中身のある文章が読めたこと、飛行機が予定通り到着したこと、私にとってはふたつの意味でラッキーな土曜日でした。