花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

IT社会の光と影

2009-11-10 23:58:05 | Book
 8日の日曜日、朝日新聞の読書欄を読んでいたら、デイヴィッド・ハルバースタムの「ザ・コールデスト・ウィンター 朝鮮戦争」(文芸春秋社刊)が紹介されていました。「この本のことは知らなかったなぁ、新聞の書籍広告はいつもチェックしているのに、ハルバースタムのようなビッグ・ネームの新刊を見落としていたとは何たることか」と思いながら、書評を読みました。「朝鮮戦争では夥しい数の誤算が存在した」とか「(マッカーサーが)トルーマンが推進しようとした中国との交渉を露骨に妨害する様子も生々しく描かれている」とか「終戦間近との楽観的雰囲気の中で冬服もなく北朝鮮北部の雲山に送られたアメリカ軍が一挙に中国軍に壊滅させられる状況の描写は、迫力がある」といった評者の文章に、かつて「ベスト&ブライテスト」(朝日文庫)や「静かなる戦争」(PHP研究所刊)を夢中になって読んだ時のことが思い出され、「こいつは読まねばなるまい」と思いました。
 早速、近所の図書館の蔵書にあるかどうかをインターネットで調べてみたところ、既に20人の予約待ちの状況ではありませんか。20人と言えば、一人が2週間借りたとして40週です。「それまで待てないなぁ」とがっかりして、仕方がないのでAmazonで注文することにしました。注文した後、ふと思ったのですが、もし図書館の蔵書検索システムがなかったなら、「まだ誰か借りてるなぁ、早く返却してくれないかなぁ」なんて思いながら、足繁く図書館へ通ったことでしょう。そうすれば、足腰が強くなり、健康増進、やっと手にした本に感謝感激、の一石二鳥になったかもしれません。IT社会は便利だけれども、その便利さが仇となって、かえって有り難みが失われることがあるかもと、ふと思いました。
 Amazonで頼んだ翌日、上下巻で約1000頁の本が届きました。健康増進とはいきませんが、会社の行き帰りの電車の中で本を読みたいがために、足取り軽く駅へ向かう日々が続くことは請け合いです。それは、図書館だろうとAmazonだろうと変わりはなさそうです。