花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

earth

2008-02-12 21:27:56 | Weblog
 「一生のうちで、オオカミに出会える人はほんのひとにぎりにすぎないかもしれない。だが、出会える、出会えないは別にして、同じ地球上のどこかにオオカミのすんでいる世界があるということ、また、それを意識できるということは、とても貴重なことのように思える。」 カムチャッカで非業の死を遂げた、写真家であり文章家であった星野道夫さんの言葉です。同じ地球上のどこかにある世界、自分がその世界を目にすることはおそらく無いだろうけれども、でも確かに存在するある世界を意識し、その貴重さを感じられる素晴らしさ、映画「earth」を観てそのことを思い返しました。earthは英国BBCのドキュメンタリー・フィルムを再構成して作られた映画で、北極を出発点としてはるか南極までの道のりの間、そこで繰り広げられるさまざまな動物たちの営みを迫力ある、そして詩情あふれるカメラワークで追い続けていきます。獲物を追いかけて森をさすらうアムール豹、熱帯雨林に住む極楽鳥の珍妙なダンス、水を求めて何週間にも及ぶ旅を行うアフリカ象の群れ、どれも実際に目にすることはなさそうですが、パソコンのキーボードをたたいている今この瞬間にも、地球のどこかでそれらの生きものが懸命に生きていることを想像出来ることは、確かに貴重なことだと思います。春の訪れとともに巣穴を這い出したホッキョクグマのコグマが1歳を迎えるのは、2頭に1頭の割合だそうです。母グマに抱かれたコグマがちょうど今頃、暗い巣の中から白銀の世界へ出て行くのを今か今かと待ちわびているのではないだろうか(生きるか死ぬかの厳しさがあることも知らずに)。そんなことを想像すると、何やら慈しみの感情が湧き起こってきます。ただし、このままのペースで地球温暖化が進めばホッキョクグマは猟場を失い、2030年には絶滅するかもしれないそうです。星野道夫さんのメッセージに共感できる人間がいない世界、そんな世界は想像したくありませんし、そんな世界を招くことに手を貸すわけにはいかないと思います。