〈春立つ日五色の砂利の世迷い言〉【久世樹】
季節は冬から春へ。西湘、小田原の酒匂川の河口で、丹沢から流れ着いた五色砂利を拾い集めて描いていたら、こんな小石らのひそひそ話しが聞こえてきました。
青石 :「地球46億年を1年に例えれば、ウイルス”Virus”(独語ヴィルス、英語ヴァィルス)は盛夏までには存在していたようだが、ヒト(ホモ・サピエンス)が現れたのはほんの20万年前、たかだか12月31日の午後11時37分に過ぎないそうだ!」
赤石 :「この新参者は、ようやく原始微生物生命体の脅威から逃れたというのに、自ら生み出した重火器、果ては核兵器による殺し合いの愚を、なぜ止めようとしないのか?『愚か者めが!このくだらん選択をした馬鹿者どもを絶対に忘れん』」
黄石 :「所詮は中島みゆきの『世迷い言』よ。上から読んでも下から読んでも、“ヨノナカバカナノヨ”。」
白石 :「禅に曰く『日々是好日』、世の倣い『日々是口実』」
緑石 :「〈菅島や答志の小石分け替へて黒白混ぜよ裏の浜風〉 伊勢の答志という島には白石ばかりの浜があり、向かいの菅島は黒石ばかりと知って、西行さんはこう歌ったそうな。儂らはもとより五色混ぜ混ぜ、平和に暮らしておるよ!」
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