「退職した取締役に対して退職慰労金を支給するに際して,会社所有の不動産の所有権を移転することによって実現したいというニーズがあり得る。この場合における不動産登記の登記原因は、何であろうか?」という疑問から,下記の記事がヒットし,お電話を頂戴することが重なったので,再掲しておく。
cf. 平成19年9月11日付「会社法第361条第1項第3号の規定による移転」
記事で取り上げてから,約4年が経つが,未だ確立した解釈は示されていないようである。
某地方法務局においては,「年月日退職慰労金の給付」という形で受理された例があり,また別の登記所においては,表題のとおり「年月日会社法第361条第1項第3号の規定による移転」で受理された例もあると聞く。
再考するに,設示における不動産の所有権の移転は,退職慰労金的性質を有する財産的利益としての移転行為であるから,「退職慰労金の給付」では,適切とは言えないであろう。「報酬等のうち金銭でないもの」であるので,「退職慰労金」ではおさまりが悪い。若干調整するとすれば,「年月日会社法第361条第1項第3号の報酬等としての給付」であろうか。
cf. 平成19年9月11日付「会社法第361条第1項第3号の規定による移転」
記事で取り上げてから,約4年が経つが,未だ確立した解釈は示されていないようである。
某地方法務局においては,「年月日退職慰労金の給付」という形で受理された例があり,また別の登記所においては,表題のとおり「年月日会社法第361条第1項第3号の規定による移転」で受理された例もあると聞く。
再考するに,設示における不動産の所有権の移転は,退職慰労金的性質を有する財産的利益としての移転行為であるから,「退職慰労金の給付」では,適切とは言えないであろう。「報酬等のうち金銭でないもの」であるので,「退職慰労金」ではおさまりが悪い。若干調整するとすれば,「年月日会社法第361条第1項第3号の報酬等としての給付」であろうか。
登記原因をぴったり表現しようと思えば,条文で明記せざるを得ない場合は,あり得るでしょう。
そういう実例があるらしいのは,記事にも記載したとおりですし,わかりやすさという意味ですぐれているのは,こちらかもしれませんが,私の考えは,記事に述べたとおりです。「退職慰労金」は,法令用語でもありませんしね。
なお,「質疑応答」も,採り得る一つの見解の披歴に過ぎず,そこに取り上げられたからと言って,絶対的に正しい錦の御旗ではない,というのが私の考えです。何の解説もなく,どこまで検討されているのか不分明ですから。
質疑応答で中途半端に「貴見のとおり」で御茶を濁さず,別途,解説付けで民事第2課の公式見解を示す方がよいと思うのですが。
とここまで書いたところで,当該「質疑応答」を直接目にすることができましたが,新参者さんは,当該質疑応答の質問者さんなのですね。
登記原因は先生の見解の方が一理あるのかなと感じております。
ところで、この原因日付は、決議があり、その受諾があった日のようですが、
それが退任前ならば、退任より先に所有権移転する事が可能と考えますが、いかがでしょうか。
特に合併による退任におけるケースだと、消滅会社からの移転(合併移転をせずに)になり登録免許税の面でもメリットがあると思われます。
また、本件による所有権移転は利益相反に該当しないとの事ですが、そもそも取引ではないからという解釈で良いのでしょうか。
ご教授いただけると幸いでございます。
必ずしも退任済である事は要件でないと思われます。
万が一、その後永遠に退任しなかったら、贈与等とみなされるのでしょうけど…。
仮に,退任前に所有権を移転してしまうと,税務上,役員賞与として取り扱われ,損金不算入とされることになると思います。
登記実務としても,退任前の日を登記原因日付とする所有権の移転の登記の申請は,受理されないと思われます。
後段については,会社法第361条の趣旨は,取締役のお手盛り防止です。正に「利益相反」の観点から置かれている規定です。登記実務の取扱いとして,法令上,株主総会議事録の添付を求められていないだけです。