日司連の「司法書士論叢会報THINK第111号」の64頁に次のようなQ&Aが掲載されており,若干物議を醸しているようだ。なお,このQ&Aは,司法書士総合研究所のプライバシー関係研究部会の研究報告の一部である。
Q3.相続登記で,依頼者の要請によって職務上請求書にて取得した戸籍・除籍を,依頼者に返却することは問題ないか?また,双方代理の登記書類を一方に返却する場合,個人情報の保護について問題はないか?
A3.職務上請求書によって取得した戸籍等は,本来その登記に使用するために取得したものであって,還付は予定されていないのであるから,むやみに還付すべきではない。他人の個人情報が記載されている場合には特に注意を要する。なお,預貯金の名義書換等登記以外の用途に使用する場合には,その目的に応じて再度依頼者本人から取得するのが望ましいと考えられる。
(引用おわり)
司法書士が職務上請求用紙を使用することができるのは,司法書士法第3条業務の依頼を受けた場合である。
例えば,相続登記の場合,嘱託人は,戸籍法に基づいて,相続登記の申請に必要な範囲の戸籍謄本等を自ら取得することができる。司法書士が職務上請求用紙を使用して取得することができるのは,嘱託人が取得することができる範囲のものであって,それを超えるものではない。
また,不動産登記の実務において,登記申請書に添付した戸籍謄本等は,原本還付請求をすることができる取扱いであり,「還付は予定されていない」という論は,不可解である。
確かに,戸籍謄本等は,プライバシー情報の固まりであるから,返却方につき注意すべきは当然であるが,嘱託人が法律上自ら取得することができるものを,嘱託に基づいて取得したからには,手続完了後は,嘱託人等にすべて返却すべきであろう。これは,嘱託人が債権者代位による相続登記を嘱託する「債権者」であっても同じである。
登記申請前に嘱託が中止された場合に返却すべきでないのは,もちろんであるが,嘱託に基づく相続登記が完了した後に,戸籍謄本等を返却する段になって,「これは返却すべきでない」と判断すべき特権的立場に司法書士はないはずである。
司法書士が職務上請求用紙を使用することができるのは,「特権」のようであるが,これを使用して取得することができるのは,嘱託人が取得することができる範囲のものに限られており,それを超える「特権」が付与されているわけではないからである。
返却すべきでないと考えられるケースが想定されるのであれば,具体的事例を示すべきであろう。中途半端な「NO」は,実務に混乱を招く。
Q3.相続登記で,依頼者の要請によって職務上請求書にて取得した戸籍・除籍を,依頼者に返却することは問題ないか?また,双方代理の登記書類を一方に返却する場合,個人情報の保護について問題はないか?
A3.職務上請求書によって取得した戸籍等は,本来その登記に使用するために取得したものであって,還付は予定されていないのであるから,むやみに還付すべきではない。他人の個人情報が記載されている場合には特に注意を要する。なお,預貯金の名義書換等登記以外の用途に使用する場合には,その目的に応じて再度依頼者本人から取得するのが望ましいと考えられる。
(引用おわり)
司法書士が職務上請求用紙を使用することができるのは,司法書士法第3条業務の依頼を受けた場合である。
例えば,相続登記の場合,嘱託人は,戸籍法に基づいて,相続登記の申請に必要な範囲の戸籍謄本等を自ら取得することができる。司法書士が職務上請求用紙を使用して取得することができるのは,嘱託人が取得することができる範囲のものであって,それを超えるものではない。
また,不動産登記の実務において,登記申請書に添付した戸籍謄本等は,原本還付請求をすることができる取扱いであり,「還付は予定されていない」という論は,不可解である。
確かに,戸籍謄本等は,プライバシー情報の固まりであるから,返却方につき注意すべきは当然であるが,嘱託人が法律上自ら取得することができるものを,嘱託に基づいて取得したからには,手続完了後は,嘱託人等にすべて返却すべきであろう。これは,嘱託人が債権者代位による相続登記を嘱託する「債権者」であっても同じである。
登記申請前に嘱託が中止された場合に返却すべきでないのは,もちろんであるが,嘱託に基づく相続登記が完了した後に,戸籍謄本等を返却する段になって,「これは返却すべきでない」と判断すべき特権的立場に司法書士はないはずである。
司法書士が職務上請求用紙を使用することができるのは,「特権」のようであるが,これを使用して取得することができるのは,嘱託人が取得することができる範囲のものに限られており,それを超える「特権」が付与されているわけではないからである。
返却すべきでないと考えられるケースが想定されるのであれば,具体的事例を示すべきであろう。中途半端な「NO」は,実務に混乱を招く。