司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

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改正商業登記法による印鑑の提出義務の廃止(補遺)

2021-01-18 05:52:57 | 会社法(改正商法等)
 改正商業登記法(令和3年2月15日施行予定)により,会社等の代表者は,印鑑の提出を要しないことになる。

 しかし,これに伴う商業登記規則の改正により,登記の申請人又はその代表者が申請書に押印する場合には,登記所に提出している印鑑を押印しなければならないこと(改正規則案第35条の2第1項)及び委任による代理人の権限を証する書面には,同じく登記所に提出している印鑑を押印しなければならないこと(同条第2項)とされる見込みである。

 あり得ないとは思うが,書面等による申請の後,印鑑の廃止の届出(規則第9条第7項前段)をすれば,いつでも,改正により認められた「登記所に印鑑を提出した者がない」状態になることも可能である。要は,「登記所に印鑑を提出した者がない」会社等が,書面等による申請と同時に印鑑の提出をし,登記が完了すれば,印鑑の廃止の届出をして,「登記所に印鑑を提出した者がない」に戻ることを繰り返すこともできるのである。

 ところで,同じ商業登記規則の改正により,オンラインで登記を申請する場合において会社等の代表者が申請書情報に付する電子署名の電子証明書については,商業登記電子証明書に限られないものとされ,電子委任状に付する作成者の電子署名の電子証明書も同様とされる見込みである(現行商登規第102条第6項を削除)。公的個人認証サービスによる電子証明書の電子署名でよいのである。

 また,あらかじめ登記所に印鑑を提出していない外国人が登記の申請をする場合(会社の支店の所在地において登記の申請をする場合を除く。)には,当該登記の申請書又は委任状の署名が本人のものであることの本国官憲の証明が必要であるという取扱いである。
※ 外国人が代表者である場合,「外国人ノ署名捺印及無資力証明ニ関スル法律」(明治32年3月10日法律第50号)により,当該外国人は,申請書又は委任状に記名押印する必要はなく,署名するだけでよいので,印鑑を提出する必要はない。しかし,その場合は,申請の度ごとにその署名が本人のものであることを証明する必要がある(昭和48年1月29日民四第821号民事局長通達参照)。

 これらの理からすれば,改正規則案第35条の2において,会社等が書面による申請をし,又は代理人に対して書面による委任状を交付する場合にあっても,わざわざ代表者が印鑑の提出を要することとせず,申請書等に代表者がいわゆる個人実印を押印して,市町村長が作成した印鑑証明書を添付すれば足りることとしてもよいのではないか(改正規則案第61条第8項と同じパターンである。)。

 今更ながらではあるが。
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