司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

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遺贈による所有権の移転の登記の簡略化

2023-02-20 16:33:11 | 不動産登記法その他
 令和5年4月1日施行の改正不動産登記法により,遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)による所有権の移転の登記は,不動産登記法第60条の規定にかかわらず,登記権利者が単独で申請することができるようになる。

「遺贈」については,本来は,登記権利者(受遺者)と登記義務者(相続人全員)の共同申請であるが,改正法により,受遺者が相続人である場合には,その単独申請が可能となるものである。

 経過措置は,「施行日以後にされる登記の申請について適用」(改正附則第5条第1項)とあるだけで,相続の開始時期を問わない。

 したがって,改正法施行後は,登記義務者である相続人全員の協力を得るのが困難で塩漬けになっていた件も,単独申請をすることができるようになる。

不動産登記法
 (判決による登記等)
第六十三条 第六十条、第六十五条又は第八十九条第一項(同条第二項(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)及び第九十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、これらの規定により申請を共同してしなければならない者の一方に登記手続をすべきことを命ずる確定判決による登記は、当該申請を共同してしなければならない者の他方が単独で申請することができる。
2 相続又は法人の合併による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。
3 遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)による所有権の移転の登記は、第六十条の規定にかかわらず、登記権利者が単独で申請することができる。

附則
 (不動産登記法の一部改正に伴う経過措置)
第五条 第二条の規定(附則第一条各号に掲げる改正規定を除く。)による改正後の不動産登記法(以下「新不動産登記法」という。)第六十三条第三項、第六十九条の二及び第七十条の二の規定は、施行日以後にされる登記の申請について適用する。
2 新不動産登記法第七十条第二項の規定は、施行日以後に申し立てられる公示催告の申立てに係る事件について適用する。
3 新不動産登記法第百二十一条第二項から第五項までの規定は、施行日以後にされる登記簿の附属書類の閲覧請求について適用し、施行日前にされた登記簿の附属書類の閲覧請求については、なお従前の例による。
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