司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

法務大臣「所有者不明土地問題研究会(試算公表)に関する質疑」等

2017-11-07 17:59:14 | 不動産登記法その他
法務大臣閣議後記者会見の概要(平成29年10月27日(金))
http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00942.html


〇 所有者不明土地問題研究会(試算公表)に関する質疑について

【記者】
 昨日,所有者不明土地問題で有識者の研究会が,所有者不明土地が2040年には720万ヘクタールに上るという試算を公表していますが,法務省として,例えば相続登記の義務化や登記の簡略化など,今までの制度を大きく変更するような対策が必要とお考えでしょうか。

【大臣】
 今回,所有者不明土地問題研究会が,いわゆる所有者不明土地の面積の将来推計や経済的損失に係る試算を公表したことは承知しています。かねがねこれからの土地の所有,あるいは利活用について大きな問題提起がされてきたものです。法務省としても,この試算をしっかりと踏まえながら,民事基本法制及び民事法務行政を所管する立場から,関係府省としっかりと連携をし,この問題への対応の検討を加速化してまいりたいと考えています。具体的な内容については,これから今回公表された推計試算,あるいは検討の結果をしっかりと踏まえてまいりたいと思います。


〇 民事裁判のIT化に関する質疑について

【記者】
 民事裁判のIT化についてお伺いしたいのですが,近く,内閣官房に有識者検討会が設置されるなどと報じられています。国際競争力を付けるためにも民事裁判のIT化は経済界からも求められており,有識者検討会に法務省も関わっていくと思いますが,大臣の期待するところ,どういったことを望まれるかお聞かせください。

【大臣】
 行政機関におけるITの利活用については,政府を挙げて,どの省庁も取り組むべき大変大きな課題として推進をしてきました。法務省においてもIT活用については,様々な取組をしているところですが,民事法制,裁判における取組についても例外ではありませんので,そうした要請があることを十分に踏まえて,どのように対応できるかしっかりと考えてまいりたいと思っています。私自身,法務大臣として先般,インドネシアとシンガポールに視察に行きましたが,シンガポールの裁判所において電子化が進められていました。これから国際的な紛争処理についても,様々な国が取り組んでいる実態を把握しながら,また,日本国内でどのように取り組むことができるか検討を進めていきたいと思っています。
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法制審議会会社法制(企業統治等関係)部会第7回会議(平成29年11月1日開催)

2017-11-07 17:52:53 | 会社法(改正商法等)
法制審議会会社法制(企業統治等関係)部会第7回会議(平成29年11月1日開催)
http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900888899.html

 第7回では,「役員に適切なインセンティブを付与するための規律の整備に関する論点のうち,会社補償に関する規律の整備に関する論点」「社債の管理の在り方の見直しに関する論点」「その他の規律の見直しに関する論点」について審議されているようである。

 部会資料12によれば,株式交換類似の制度として,「他の会社の株式等の取得と引換えにする株式の交付」制度が検討されているようである。

「株式会社(以下「株式交付親株式会社」という。)は,他の会社(外国会社を含み,当該株式会社の子会社を除く。以下「株式交付子会社」という。)の株式その他の持分(以下単に「株式」という。)の取得により株式交付子会社をその子会社としようとする場合には,会社法第199条第1項の募集によらずに,当該株式を取得するのと引換えに当該株式を有する者に対して株式交付親株式会社の株式を交付すること(以下「株式交付」という。)ができるものとすることについて,どのように考えるか。」
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成りすまし事案で,買主にも売主の本人確認義務があるとして,過失相殺4割

2017-11-07 08:15:29 | 不動産登記法その他
判例時報2017年11月1日号
http://hanreijiho.co.jp/wordpress/book/%E5%88%A4%E4%BE%8B%E6%99%82%E5%A0%B1-no-2343/

不動産の所有権移転登記申請にあたり、売主の本人確認情報を提供した弁護士が、本人確認義務を怠り、成りすましを看過したことに過失があるとされた事例(過失相殺四割)(東京地判平28・11・29)

 地面師による詐欺事件として,大きく報じられていた事件である。
https://kamakurasite.com/2017/06/08/%E5%9C%B0%E9%9D%A2%E5%B8%AB%E3%81%A8%E7%B5%90%E8%A8%97%E3%81%99%E3%82%8B%E5%BC%81%E8%AD%B7%E5%A3%AB%E3%80%80%E4%B8%AD%E6%9D%91%E7%BE%8E%E4%BD%90%E6%B1%9F%E5%AE%B9%E7%96%91%E8%80%85%E3%82%89%EF%BC%93/


 この弁護士は,当初売買契約の締結の立会(弁護士事務所での契約締結)を依頼され,その後,登記識別情報通知書の紛失を理由として,本人確認情報の作成の依頼を受け,いわゆる「売渡し」の売主側代理人として,買主側代理人の司法書士と共に,共同申請で登記の申請を行った,という経緯であるようだ。

 ある意味,弁護士の業務というよりも,司法書士のような立ち位置で関与していたわけである。

 ところで,買主にも売主の本人確認義務があるとして,過失相殺4割らしい。高額の不動産を購入するにしては,そのスタンスに問題あり,とされたようだ。


 本件は,司法書士界にとっても,重要な裁判例となりますね・・。なお,控訴審中。

 「ビジネス法務の部屋」の山口利昭弁護士がさすがの鋭い分析。
http://yamaguchi-law-office.way-nifty.com/weblog/2017/11/post-f152.html
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