司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

NPO法人の公告方法の変更

2017-05-12 16:05:32 | 法人制度
 平成28年改正特定非営利活動促進法の施行(施行期日は未定。ただし,平成30年10月1日が見込まれている。)を見据えて,定款で定める公告方法の変更を検討しているNPO法人も多いと思われる。

cf. 平成29年2月2日付け「NPO法の改正と決算公告~資産の総額の登記制度はなくなる」

内閣府HP
https://www.npo-homepage.go.jp/kaisei


 改正により新たに必要となる貸借対照表の公告方法については,内閣府推奨のモデルがあるようで,電子公告による場合には,単に「電子公告」では足りないようである。

 具体的に明示せよ,ということである。公告方法の変更については,「認証」は不要であり,本来お願いベースのはずであるが。

cf. 平成28年改正法に関するQ&A
https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/201703-kaisei-qa.pdf
※ 第4

貸借対照表の公告に関する定款例
https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/201702-kaisei-bs-koukoku-ex.pdf


 公告のコストを考えると,次のように変更することが考えられる。

A案
 (公告の方法)
第〇条 この法人の公告は,この法人のホームページに掲載して行う。

B案
 (公告の方法)
第〇条 この法人の公告は,この法人の主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示して行う。


 貸借対照表の公告は,内閣府NPO法人ポータルサイト(法人入力情報欄)に掲載する方法(「電子公告」に該当する。)によって行うこともできるので,次の案も考えられる。

C案
 (公告の方法)
第〇条 この法人の公告は,この法人のホームページに掲載して行う。ただし,貸借対照表の公告については,内閣府NPO法人ポータルサイト(法人入力情報欄)に掲載して行う。

 上記内閣府「定款例」によれば,「法第28条の2第1項に規定する」とあるが,改正法の施行前に定款変更手続を行う場合(後述の「特定貸借対照表」の公告の関係では,そうするNPO法人が大半であろう。)には,法文に未だ存しない条数を定めるわけにもいかないので,定款変更の効力発生日を施行日に合わせるか,このC案のような内容にすることになるであろう。


 余談ながら,内閣府NPO法人ポータルサイトには,所轄庁に提出した事業報告書等の一部として貸借対照表も掲載されるのだが,これは,新法第28条の2第1項に規定する「貸借対照表の公告」には該当しないのだとか。

cf. 内閣府NPO法人ポータルサイト
https://www.npo-homepage.go.jp/npoportal/


 なお,施行期日が仮に平成30年10月1日である場合,平成30年3月期決算について,資産の総額の変更の登記を申請する必要があるのはもちろんであるが,同決算の貸借対照表については,「特定貸借対照表」(改正附則第4条第2項,第3項)に該当し,公告をする必要があるので,注意を要する。

附則
 (貸借対照表の公告に関する経過措置)
第4条 新法第二十八条の二第一項の規定は、特定非営利活動法人(新法第二条第二項に規定する特定非営利活動法人をいう。以下同じ。)が附則第一条第二号に掲げる規定の施行の日(以下この条において「第二号施行日」という。)以後に新法第二十八条第一項の規定により作成する貸借対照表について適用する。
2 特定非営利活動法人が施行日前に旧法第二十八条第一項の規定により作成し、又は施行日から第二号施行日の前日までの間に新法第二十八条第一項の規定により作成した貸借対照表のうち直近の事業年度に係るもの(以下この項及び次項において「特定貸借対照表」という。)については、当該特定非営利活動法人が第二号施行日に同項の規定により作成したものとみなして新法第二十八条の二第一項の規定を適用する。ただし、特定貸借対照表を作成した後に当該特定非営利活動法人について合併があった場合は、この限りでない。
3 前項の規定は、第二号施行日までに定款で定める方法により特定貸借対照表を公告している特定非営利活動法人については、適用しない。
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「法務省は,相続登記の手続の見直しに取り組んでいます」

2017-05-12 11:39:54 | 不動産登記法その他
未来につなぐ相続登記 by 法務省
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00207.html

〇 法務省は,相続登記の手続の見直しに取り組んでいます

 平成28年3月,相続登記の申請をする際に提供する必要がある添付情報の見直しを行い,滅失等により除籍等の謄本を提供することができない場合には,その旨の市町村長の証明書を提供すれば,「他に相続人はない」旨の相続人全員による証明書(印鑑証明書添付)の提供を要しないこととしました。

cf. 平成28年3月16日付「「除籍等が滅失等している場合の相続登記について」(法務省民事局長通達)」

 また,平成29年3月にも,添付情報の見直しを行い,所有権の登記名義人である被相続人の登記記録上の住所が戸籍の謄本に記載された本籍と異なる場合において,被相続人の同一性を証する情報として住民票の写し(本籍及び登記記録上の住所が掲載されているものに限る。)又は所有権に関する被相続人名義の登記済証が提供されたときは,不在籍証明書及び不在住証明書など他の添付情報の提供を求めることなく被相続人の同一性を確認することができることとしました。

cf. 平成29年4月4日付け「被相続人の同一性を証する情報として住民票の写し等が提供された場合における相続による所有権の移転の登記の可否について(通知)」

 さらに,同月において,相続登記の手続きの簡素化を図るため,第一次相続の相続人による遺産分割が未了のまま第二次相続及び第三次相続が発生し,その遺産分割協議が第一相続及び第二次相続の各相続人の地位を承継した者並びに第三次相続人の相続人によって行われている場合において,遺産分割協議書に不動産を第三次相続の相続人の一人が単独で相続した旨の最終的な遺産分割協議の結果のみで掲載されているときであっても,「年月日B(第一次相続の相続人)相続,年月日C(第二次相続の相続人)相続,年月日相続」を登記原因とする所有権の移転の登記を申請することができることとしました。

cf. 平成29年4月6日付け「数次相続が生じている場合において最終的な遺産分割協議の結果のみが記載された遺産分割協議書を添付してされた相続による所有権の移転の登記の可否について(通知)」

 今後も,相続登記の手続の簡素化やその利便性の向上に取り組んでまいります。

cf. 「法定相続情報証明制度」が始まります! by 法務省
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00284.html
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