司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

消費者金融会社の清算結了

2007-04-11 14:40:21 | 会社法(改正商法等)
 京都の中堅消費者金融会社が、先般株主総会で解散を決議し、最短コース(約2か月)で清算手続を終えたとして、清算結了登記を了している。しかし、多数の過払い金返還債務を抱えているはずなので、この清算結了は、疑問である。

 清算結了の登記は、単なる事実の公示に過ぎない。実際に清算事務が結了していないのであれば、法的には法人格は消滅していないわけであるから、清算結了の登記を抹消して清算事務を継続すべきこととなる。債権者サイドで動くのであれば、裁判所に清算人の選任を申し立てることになる。

 その上で、過払い債権を有する債権者は、「知れている債権者」であるのに各別の催告(会社法第499条第1項)を受けていないので、当該消費者金融会社に対して債権者として請求することができる、という構成が可能であろう。

 なお、当該消費者金融会社は、昨年他社に貸付債権の債権譲渡を行っており、譲受会社は、「過払い返還請求リスク等を勘案して簿価の約61%で譲受け」していながら、返還債務を承継するような契約は一切締結していない旨を主張しているようなので、債権譲渡が不当な対価で行われたものであるとして、詐害行為取消権を行使することも可能であろう。
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