新・遊歩道

日常の中で気づいたこと、感じたこと、心を打ったこと、旅の記録などを写真入りで書く日記です。

奇想と独創の「ルドルフ2世」像

2017年11月10日 | 美術館&博物館

野菜と果物を緻密に組み合わせた奇怪な絵。豊穣の秋にもぴったりの絵です。この「驚異の世界展」が福岡市博物館で開催されています。

今回の目玉は《ウェルトゥムヌスとしての皇帝ルドルフ2世像》です。 
      

左が神聖ローマ帝国皇帝ルドルフ2世の肖像画、右が野菜と果物と花でルドルフ2世の顔に見立てた合成人面像です。作者はアルチンボルド。
ウェルトゥムヌスとはめぐる季節を司る植物の神。季節の移ろいという変身能力で、ウェルトゥムヌスがルドルフに姿を変えた瞬間を寓意をちりばめて描いています。

ルドルフ2世は、ハプスブルグ家きっての変わり者、奇人として評価は高くなかったようですが、近年「奇人ながらも当時最高の知性を備えた教養人」と評価が真逆になっているようです。
新世界からの珍奇なものばかりでなく、確かな審美眼で集めた絵画、工芸品、天文学者ケプラーを庇護し、錬金術、魔術などに夢中になり、それが後世の博物学への先駆になったようです。
ハプスブルグの歴史を書いた本を何冊か読みましたが、血族結婚を繰り返し他を排したために、異様なほどに血を凝縮させて結局は自滅の道をたどりました。それでも650年続いたという事は江戸時代の2倍以上です。
その歴史も面白く、オーストリアもチェコもハンガリーも領土だった事で、その地の旅行もまた面白く味わい深いものがあります。

途中、学芸員さんのギャラリーガイドもあり、立ちっぱなしで4時間以上もかかってしまいました。初秋の戸外はすでに薄暗く・・・。

夕食はイタリアンで美味しくいただきました。
  

   

最後の写真は夫の合成人面像です。美術館の体験コーナーで、額縁の前に立つとその人物を野菜や果物で合成した像が出来上がります。雰囲気が似ているのでビックリ!アルチンボルドもビックリでしょう。

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