おねがい

デジャビュのような感覚に襲われて

それがあまりにもそっくりで

鼓動が速くなる

ひとは過ちを繰り返さない

絶対に繰り返したりしない

ねえ　どうして時は止まらないの

ねえ　どうして同じ経験が必要なの

どうか　どうかお願いです

平穏でありますように

ぼくの大好きなあの人が

大丈夫でありますように

ときはとまらず

かつて着ていた制服姿の女子高生が隣に座ってる

「人生こんなはずじゃなかった」なんて思わない

働けていることに満足してる

「今の仕事に就くとは思わなかった」なんて言わないで

その言葉が忘れられないの

高みを目指さなければならないのもわかってる

時間がないのも知ってる

処理能力の低さに凹んでこんなこと言ってる

抱きしめられたら力が湧くかしら

なんてね

きっと制服のせい

ねがい

帰るなりもたらされた情報に耳を疑った

それは本当のことなの

考えなくても想像できる悲しさに　一気に気持が引っ張られる

ぼくの大好きなあの子は大丈夫かしら

ぼくはなんて言葉を掛けたらいいの

なんとなくわかっていたことが現実になってしまった

今のぼくなら耐えられない　

きっとあの子も同じ気持ち

だから　どうか　どうか

あの子が幸せになれますように

この先も元気でいられますように

オレンジの光

扉を開けると別世界

ふらっと入ったカフェは

たくさんのクリスマスイルミネーションとオレンジの光がいっぱいで

いやなことを忘れさせてくれる

スプーンに映る逆さまの光は

幼い頃の思い出を甦らせて

きみが近くにいるような気分にさせる

今年もクリスマスが来たよ

毎日想いを馳せても

この時季はとくに強くなる

だから夢に逢いにきて

あの時の空へ

思い悩んでいるきみを見るのは悲しくて

いつもみたいに笑って欲しくて

いろんな言葉を掛けるけど

きみがぼくを救ってくれたみたいに

上手に出来ているのかな

伝わっているのかな

別れたあとに届くメールは

優しい言葉がいっぱいで

さらに切なくなるんだ

またのんびりお散歩しよう

笑っておしゃべりしてお寺でかき氷食べて

ぼくはいつでも祈ってる

きみにいいことが起こりますように

あの時間が戻ってくるようにって

うらはら

ありがとう

痛いほど身に染みた

考えるほど苦しくて

悲しくないのに涙が出る

刄のような言葉たちは

僕の中身を見透かして

厳しく強く胸を打つ

僕が進んで行けるように

厳しく優しく胸を打つ

海を越える

「2分しか話せないから」

突然の君からの国際電話

ずっと待っていた

話したいことはたくさんあった筈なのに　

なにも言えなくなってしまう

「元気？」「お天気はどう？」

他愛のない話題で大切な時間はどんどん過ぎていく

「そのまま話して。途中で切れたらそれでいいから」

受話器からの君の声を聞きながら　僕はいろいろ想像してみる

街並み　周りの人たち　

公衆電話で話している君の姿

「また今度かけるから」

そういって電話は切れた

さっきまですぐ傍にいた君がまた遠くなってしまう

次はちゃんと話せるようにするよ

2分でも電話をくれた　君の気持ちが嬉しかったって

扉の前で

ある雨の強い日、玄関のチャイムが鳴った

ドアを開けると、頭から足先までずぶ濡れの男が立っていた

小さな旅行鞄と小脇に抱えた植木鉢

普段の僕ならそんなこと思いもしないのに

関わりを持ちたくなったのは何故なのだろう

その男には釣り合わない、植木鉢のせいだろうか

あの日、最初に話しかけたのは確かに僕の方だった

明かり

君が住んでいた部屋

そこに明かりが点くのを

僕はずっと待っていた

一年近く真っ暗でも

変わらず眺めたその部屋に

ひさしぶりに明かりが点いた

まるで君がいるみたいに

君が帰ってきたみたいに

同じ明かりが点いたんだ

たとえそれが君じゃなくても

救われた気分になるのは

なぜなのだろう

こころから

きみが空に浮かんでるのを　昨日初めて気が付いた

今まで　こんなことなかったのに

寒くなればきみを探して　いつも話し掛けていたのに

ぼくがあくせく走り回って　毎日過ごしていても

きみは変わらず　見守っていてくれたんだ

ありがとう　ありがとう

欠かさずしてきたことも　忘れがちになってるぼくだけど

面と向かって　気持ちを伝えられないぼくだけど

きみのことが大切で　一生想ってるのは本当

ありがとう　ありがとう

ずっとずっと　大好きだよ