佐々木が自分で決めるとき

　牛島監督は、彼に敬意を表しているのだろう。

　９回表、均衡を破る１点を金城・佐伯が叩き出す。その後も攻撃は続いたのだが、惜しくも追加点を取れず。３点差あれば安心できそうだが、１点差だとどうするのか。
　「加藤続投でもいいんじゃないの？」
　「クルーンに連投してもらう手もあるんじゃないの？」
　そう思ったのは私だけだろうか。しかし指揮官は彼をマウンドに送った。

　結果は、恐れていた通りとなった。

　監督は試合後、今後もリリーフ方針は変えないと語ったとのこと。
　その言葉は、嘘ではないだろうが、
「クローザーにその意志がある限りは…」
と暗示しているとしか思えない。
　中日戦も、今日も、チームみんなで一丸となって点をもぎ取り、「形」を作って彼に託した。
　そして彼は、ぶちこわしてしまった。
　彼の悔しさは察するが、冷静にどう思っているのだろうか。

　私は、自室に彼のポスターを貼り、「２２」のレプリカユニフォームを吊している。心底彼を応援している。その私が、１点差の９回裏、彼が登板しないことを願ってしまったのだ。
　ハマスタで似たような戦況になって、９回表に彼の名がアナウンスされたら、レフトの客席、そしてライトの客席は、どういう反応をするだろうか。ああ、想像したくない。

　結局、彼には２つの道しか残されていないのだ。
　私のようなバカがあれこれ言うのを実力で振り払って、昔のようにニコニコと楽しげに「仕事」をこなしてゆくのか。
　それとも、自ら退くか。

　彼ほどの選手に、やめろとか二軍に行って来いとか言える人はいない。
　監督も言えない。コーチも言えない。
　だから、彼自身が決断するのを待っている。残酷だけれど。
　自分のことは、自分自身が一番分かっているはずだから。

　まあ、メンタルな要因もあるだろうし、横須賀で納得行くまで調整してきてはどうか。
　そして、
　もう一花、今年何とか咲かせてもらえないだろうか。

　阪神　２－１　横浜