9回表。落合監督と主審が何か話している。森繁和ピッチングコーチがマウンドへ。そして、その手には白球が握られていた。
思わず、僕は悲鳴を上げた。
ドラゴンズの山井投手は、8回を投げきって無安打、無四球。打者24人に対して、パーフェクトピッチングだった。
その山井を、落合監督は交代させた。
日本シリーズ初の完全試合が、山井によって達成される可能性がなくなった瞬間だった。
これを落合の暴挙と言わずして、何と言おうか!
ナゴヤドームが、ひとときながら妙に静かになっていた。
お客さんも、不思議な心境だったに違いない。
100年を超えるMLBの歴史でも、ワールドシリーズでの完全試合は1回しかない。ヤンキースのドン・ラーセンによって達成されたものである(最後の打者は見逃し三振だったという)。もし山井が達成していたら、永久にその名は語り継がれたことであろう。
なぜ投手交代を!
1対0という投手戦。緊張感満点だった。
山井が9回表を抑えきる確率は、かなり高かったのではないだろうか。
1点差で後を託された岩瀬のプレッシャーも、大変なものだったに違いない。
幸いにして、岩瀬も大投手であった。3人を抑えきって、2投手によるリレーながら、完全試合で日本シリーズを制することができた。結果オーライというなら、全くそのとおり。
しかし、釈然としないなあ。
願わくは、私がふだん主張する「現場の判断が一番正しい」という状態であったことを祈りたい。
山井が緊張に耐えられなくて降板を懇願したとか、指の爪が割れて限界に近かった、とか。
ともあれ、朝日新聞の西村欣也さんの明日のコメントが楽しみである。
日本シリーズ第5戦 中日 1-0 北海道日本ハム
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