スポーツつれづれ観戦日記
野球、アメリカンフットボール、サッカー・・・・・実際に見て感動したことを中心に綴ってゆきます。
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 やや旧聞に属すが、世界柔道2日目に金メダルを取った、泉浩選手。
 お父さんが青森・大間でマグロ漁をやっているのが有名で、アテネでは決勝で負けて銀だった、あの大柄の選手。

 優勝を決めてのインタビュー。うれしそう。
 アナウンサーがマイクを向けて、お決まりの、「この喜びを一番誰に伝えたいか」云々の質問。

 泉曰く、「自分の体のケアに尽くしてくれた、トレーナーに感謝したい。奥さんの出産が近いというのに、無理をしてカイロに来て、一生懸命やってくれた。本当に感謝している。」

 あまりにも率直な言葉に、驚いた。
 まさに「プロ」のセリフだ。


 こういう質問の場合、定番の答えとしては「お母さん」「家族」。
 彼に限っていえば、「ふるさとで応援してくれているオヤジ」というのが、シナリオどおりかな。
 TV的に喜ばれそうなのは、「ファンの方々」「励ましてくれた日本の皆さん」なんていうコメントかな。

 それが、まったく予想外の「自分のトレーナー」。
 アナウンサーも、ちょっと当惑しているようだった。


 もっとも、3つ前の試合で、右腕を決められて体重を預けられ、おおごとになってしまった。「反則勝ち」という裁定で準決勝に進んだのだが、あのときの、痛みに耐える泉の表情は、尋常ではなかった。
 これじゃあ、勝ったといっても、次の試合は棄権だな。
 そう思った。

 しかし彼は、畳に上がってきた。
 見事に勝ち進み、優勝を遂げた。
 その陰にはきっと、彼の右腕をいたわり、必死でマッサージを続けてくれた、トレーナーがいたのだろう。
 泉は、その人のことが忘れられなかった。
 「今勝てた」のは、トレーナーのおかげだったと、心の底から思ったのだろう。
 そしてその思いが、さえぎるものなく、インタビューで出た。


 アテネで負けたときの、「本当に困った」という、落ち着きのない表情。
 それに比べて、本当に彼の笑顔はすがすがしく、魅力的だった。
 見ているこちらまで、何だか「肩の荷が下りた」ような気がした。


 世界柔道2005 オフィシャルページ

 

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