トンネルの向こう側

暗いトンネルを彷徨い続けた結婚生活に終止符を打って8年。自由人兄ちゃんと天真爛漫あーちゃんとの暮らしを綴る日記

受け入れる心

2008-03-26 19:31:23 | 
高校生の甥っ子が家族と話さなくなって3ヶ月。
両親とも兄弟とも誰とも口を利かない。

ご飯も家族と食べたくない時はコンビ二弁当を買ってきて部屋で食べ
家で食べる時は食卓で無言でごはんがでるのを待っている。

部屋の机の上に学校の集金袋の手紙があれば黙ってお金を入れておく。
次の日には机の上にないから持って行ったんだな思う。

ある出来事がきっかけでこうなってしまったのだけれど
まさかその事をこんなに長く怒り続けるとは誰も予想していなかった。

もう私も何年も会っていない。

姉はもう無理に甥っ子の口を開かせる事を止めたのだと言った。

『学校に毎日通っていて、家に帰ってくる。
私はごはんを作り、いつでも食べられるように、
寝られるように家を整えてあげる。

最低限家で生活できるようにだけしてあげる事が私の出来ることだ。』

『それは、甥っ子が話をしない事を受け入れたって事?
封筒に黙ってお金を入れておいたり、黙って座っていたらごはんを出したり。
話さなくても良い生活を受け入れたって事?』

『うん。。。受け入れきれていないけれどそうなるかな。
たまに返事くらいしたらって言うけど。。
あの子前は寝坊したら私に車で送れって怒っていたけれど
今は黙って走って駅に向かっていく。
あの子は今親から離れる準備をしているのだと思う。』

『しかし、その生活はメチャメチャ苦しいね 』と言ったら
姉は無言で涙を拭った。

息子の口を開かせる為に取っ組み合いの喧嘩をしたり
とことん話し合ってみたり、黙っている限りごはんもお金も渡さなかったり
色々方法はあるのだろう。

でも姉は話をしない息子を受け入れる事を選んだのだ。
話さないあなたで良いよと。

何を話しかけても無言。
帰ってくるのかもわからない毎日。
帰ってくれば安堵し、『迎に来て』の短いメールに一喜一憂する日々。

良いたい事を全て飲み込んで息子の無言を受け入れる。

辛いなぁ。辛い。

受け入れるとはなんと過酷で苦しいものだろう。
受け入れる事は手放す事と良く似ているなと感じたのだった。







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12 コメント

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Unknown (イクチャン)
2008-03-26 22:43:55
お姉さんは、相当の覚悟ができたんでしょうね。
いつか、きっと、必ず・・・戻れる。
あたしは そう思います。
 

  「頑張って!」
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Unknown (qtcrq102)
2008-03-27 01:42:03
男の子はそのような時期があった方が良いと
思いますよ。ちゃんと学校に行っているのだし
引きこもりになっているわけではないし...。
親を否定する時期、その時にお姉さんが甥子
さんに、無償の愛を与え続けているのも凄く
感じますし...とても辛いのに...。

今は辛い時期とは思いますが
きっと戻ってきます。
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親になったとき (ねね)
2008-03-27 12:34:30
気付くんだと思う。~親の小さな欠点が許せなくて~いわさきちひろの言葉で泣けたときあったなぁってふと思い出した。子供の頃は「小さな」なんて思えないんだもんね
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お辛いですね・・・ (acmirai)
2008-03-27 20:42:48
 お姉さん、お辛いですね・・でも、ちっこさんが聞いてあげることできっと救われていますよ。

 甥御さん、理由もきっかけもわからないので無責任には言えませんが、
 自分の思いを言葉にできないもどかしさもあるのだと思います。
 私は、次男が自分の言葉で自分の思いを伝えてくれるのを待てませんでした。
 彼を追い詰めてしまった・・今でも、申し訳なく思っています。

 甥御さんが学校にきちんと通っていると言うことは、帰る家があるということを理解しているからだと思います。
 受け入れてくれる家族がいるとわかっているんだと思います。
 矛盾しているけど・・・。

 お姉さんを支えてあげてくださいね。
 
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昔の自分が重なります (mt_taro)
2008-03-27 22:30:10
僕の場合は母ではなく父親に対してですが。
それは中学の後半の頃から。
母とはそれなりに話はしていたのですが、父とはもうほとんど口をききませんでした。

きっかけがあったわけではありません。
母のいろんな苦労を見て、その母への高圧的な父の態度にじわじわと嫌悪感をもちだし、多分それが反抗期と重なって、父親を避けるという態度に出るようになったのでしょう、自分は。

そんな自分の感情を抑えられなかっただけなんだけど、やっぱりその家には居続けられず、待ち望んだ大学進学を期に家を出て、もうその故郷すら捨てて今の地で生活基盤をつくりました。

いま思い出しても、僕の高校生の頃の家での態度は、親にしたら悲しいし、でもなすすべもない、まさに受け入れるほか何の選択肢もない状態だったと思います。

その当時も実は自覚していたんです。
僕の態度が親を悲しませていると。
でもそれ以外のふるまいはできませんでした。

僕はいま息子と娘、ふたりの親です。
自分の過去から、自分の子ども達がそんな風になる可能性は多大にあると、実は覚悟しています。
想像すると悲しくなるのですが、そうなったらそうなったで多分僕も受け入れて、それでも子ども達の成長を陰で見守るという選択肢をとるような気がしています。
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Unknown (mm)
2008-03-28 21:18:45
昔何かで読んで妙に感心しました、「成長の途中に まゆに入る時期」があるって。
自分と、妹は まゆの時期があったけど、それがなかったきょうだいもいて、親ともいつも、仲良くて…でも、なかったきょうだいは30超えた今、いろんな問題を抱えてるというか…大人になりきれてないなあというか…一度、親から少しはなれて客観的になれる時期って必要と 私は思います…

だいじょうぶ、だいじょうぶ。
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イクちゃんさんへ (ちっこ)
2008-03-29 10:10:14
そうですね。

覚悟が出来たんですね。
中学校までずっと親に反抗することなく
過ごした甥っ子だったので、姉も現実を受け止めるまでとても苦しんだと思います。

親離れ、子離れの時がきたんですね。
子育てって難しいですね。

ありがとうございます。
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qtcrq102さんへ (ちっこ)
2008-03-29 10:19:29
そうですよね。

甥っ子は怒りを心に貯めてしまう子なんだと思います。
本人自身も怒りを整理する時間が必要なんだと
姉は思ったようです。

無償の愛って求めるほうも
求められるほうも苦しいですね。
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ねねさんへ (ちっこ)
2008-03-29 10:22:54
きっかけはあった。
あれが原因だった。ってみんな分かっているけれど
もう、その事を話し合っても甥っ子にとっては
もっと違う形で心に傷を負ってしまったんでしょう。

甥っ子からは『誰も信じない』そんな声が聞こえてくる気がします。

姉が全てを受け止める。弁解しないと覚悟を決めた気持ちがいつか甥っ子の固い心を溶かしてくれると良いなと思っています。

いつもありがとう
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acmiraiさんへ (ちっこ)
2008-03-29 10:29:45
>帰る家があるということを理解しているからだと思います。

acmiraiさんがお子さんを手放し見守ろうと決意したように姉も決意したんだと思います。

姉を見ていてacmiraiさんもとても辛かったんだろうなって感じます。
いまのacmiraiさんのように長いトンネルを抜けて
姉にも自分の人生を生きて欲しいと思います。

いつもありがとうございます。



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