トンネルの向こう側

暗いトンネルを彷徨い続けた結婚生活に終止符を打って8年。自由人兄ちゃんと天真爛漫あーちゃんとの暮らしを綴る日記

4人暮らし

2008-06-16 19:20:40 | 子供
半年振りの面会を終えて子供達が帰ってきた。

あーちゃんはいつものように大泣きしていた。
お兄ちゃんは部屋に閉じこもってしまった。

お風呂からあがってもお兄ちゃんが出てこないので部屋を覗くと
子猫のように布団にうずくまっていた。

『どうした?』と声をかけると
『ウワーン』と赤ん坊のように泣き出した。

『半年振りだったもんね』と言ってゆっくり背中をなでた。

あーちゃんももらい泣きでまたまた家の中は泣き声でいっぱいになった。

なかなか泣き止まないお兄ちゃんの背中を撫でながら、今読んでいる本の一説を思い出していた。

両親が離婚した女の子は家族4人で行ったデパートの屋上の遊園地に近づくことができない。
4人でお弁当を食べたパラソルの下のテーブルも辛くて見ることが出来ない。

すると友達がその遊園地に女の子を連れて行き、懐かしいメリーゴーランドの柵と
パラソルのテーブルに包帯を巻いた。
それを見た女の子は『私は傷ついて血が流れていたんだ。包帯を巻いて手当てしてもらって傷が治った気がする』と元気を取り戻す。

その一説を思い出して『お兄ちゃんの忘れられない包帯を巻く場所は何処だろうか』と考えていた。
何処も思いつかなかった。

ふと我にかえるとお兄ちゃんはもうフンフンと鼻をすすって大分落ち着いたようだった。
しかし私の顔を見て『また4人で暮らしたい』と言って
こみ上げたように大粒の涙が出始めた。

私はぼんやりその顔を見ていて、聞いてみたくなった。
『ねえ。お兄ちゃん、そんなにあの4人暮らしは楽しかったかい?
もう一度戻りたいほど楽しかったのかい?』

『お兄ちゃんはお父さんの顔色を見て、話をする時赤ちゃん言葉でしか話せなくなってたじゃない。お兄ちゃんがなにげなく言った言葉に『バカにしてる!』って怒鳴られてどんな風に言ったら怒られないのかのかわからないって泣いてたじゃない。

4人でどこかへ出かけてもお父さんはいつも携帯電話をいじったり、タバコを吸いにどこかへいなくなっちゃって、いつだって帰る時間までお母さんとあーちゃんと3人で行動だったし。

仕事辞めてフランチャイズを始めてからは、悲惨だったじゃない。
フランチャイズ、って言う割には全然頑張らなくなっちゃって、
毎日携帯とにらめっこ。

新聞配達を始めた時なんて朝の4時に出るからって9時に布団に入って
ちょっとでも騒げば『うるせー!』って怒鳴られて。。
お母さん全然楽しくなかった。

本当にあの頃が楽しかった?
また戻りたいほど楽しかった?

今のお父さんだから会いたくて、寂しいんだよ
たまにしか会えないんだからお父さんだって頑張るさ。

また一緒に暮らしたら同じだと思う。

お兄ちゃんは涙の乾いた大きな目でじっと私を見ていた。

お兄ちゃんは気持ちを分かってくれない私に絶望しただろうか?


でも、私は聞いてみたかった。

本当にあの4人暮らしがお兄ちゃんにとって幸せだったのかって。。。
もう一度戻りたいほど楽しかったのかって。。。
包帯を巻ける場所はあるのかいって。。。