そして何より驚いているのが家政婦と姑達が帰るまで夫に連絡しようと
思いつかなかった事だ
夫には随分叱られた
「何で金を渡す前に俺に電話よこさなかったんだ。主人に聞かなきゃ分からないって言って追い返せば良かったじゃないか」
確かにそうだ。
舅が来た時はいち早く夫に連絡した
なのに今回は全く夫の事が頭に浮かばなかった
この事態を1人で解決しなければとそう思っていたのだ
なぜだ?もう私の中の夫は完全に消えてしまったのだろうか
私は普段から自分の心の中を覗いたりしないように生きている
自分の内なる声に耳を澄ませばいろんな怒りが噴出してしまうからだ
だからあの時も完全に心の中の感情は何もなかった
姑とはもう会うことはないだろうと思っていた
会うときはもう私の事も区別などつかないほど衰え
全てが終わろうとしているときなのだと覚悟していた
姑が出て行ってから何度も自問自答した
なぜ帰ってしまったのか
あれ程身を削りつくし姑が暮らしやすいように、時に話し相手になり
寂しそうにすれば遊べそうなおもちゃを買い
怪我をして立てなくなればオムツを取替え、姑の排泄物にまみれながらも
なるべく笑顔を絶やさず必死に介護した
それが別れの言葉もなく、帰ってからも電話1本、手紙一通も来ないまま
その無力感を姑は想い寄せてくれた事があったのだろうか
姑が帰り息子が「お婆ちゃんが殺されるんじゃないか」と心配して泣き
「俺が意地悪したからいやになっちゃたんだ」と自分を責めて泣いた事を
少しも考えもしなかったと言うのか・・・
いきなり家に入ってきて娘を見るなり
「あーちゃん。私を忘れたのかい?」とまるで昨日も会ったかの様に話しかけ
娘とママゴトを始めた姑・・・
子供の頃祖母が良く私に言った言葉を思い出す
「人に何かする時は見返りを求めちゃ駄目だ
あんなにしたのに。こんなにしたのにと恨むくらいなら何もしない方が良いんだ
人にかかわり過ぎてはいけない」
その通りだ。
あんなに介護したのにこんなにしたのにと思うくらいなら
何もしなければ良かったのだ
でもそう思うにはあまりに姑の仕打ちは惨すぎる
せめて一言でもいいから言いたかった
「なぜ帰ったんですか?私たちがどんな思いをしたか分かりますか?」と・・・
お金を受け取って逃げるように帰っていった姑
夫はその事を「自分がされた事を俺たちにしてるんだろう」と言った
舅の両親が姑が若い頃給料日を狙って遊びに来てはお金を無心して帰って
行ったとよく愚痴を聞かされた
姑達も舅の両親とは絶縁状態となって私が結婚してからも
数えるほどしかあった事がない
ひいお婆ちゃんが入院しても見舞いに行くこともなかった
姑も自分がされた事と同じ事を息子夫婦にしていると気がついているのだろうか
それはあまりに悲しい話だ
私が夫に知らせなかったのはそんな姿の姑を夫に見せたくなかったのだろうか
条件反射のように玄関で靴を履こうとする姑に椅子を運んでいった私
憎くて憎くて溜まらなかった。
でも杖を持つのに手を貸し、出て行くドアを押さえて通りやすいようにした
そんな自分が滑稽で堪らない
誰かを憎みきる事は出来ないのだろうか
自分の理性が邪魔をしいつも通り過ぎた後でその怒りに身を焦がす私
その時に怒りをぶつけられたならどんなに楽だろう
少しでも自分の気持ちを解放できたならこれ程毒々しい感情に
身を沈めなくてもいいのに
夢の中で幾ら怒りをぶつけてもそれは現実ではないのだ
また繰り返される夢たち
その夢に平然と娘と遊び戯れる姑の姿が加わった
私はいつになったらこの苦しみから解放されるのだろう
思いつかなかった事だ
夫には随分叱られた
「何で金を渡す前に俺に電話よこさなかったんだ。主人に聞かなきゃ分からないって言って追い返せば良かったじゃないか」
確かにそうだ。
舅が来た時はいち早く夫に連絡した
なのに今回は全く夫の事が頭に浮かばなかった
この事態を1人で解決しなければとそう思っていたのだ
なぜだ?もう私の中の夫は完全に消えてしまったのだろうか
私は普段から自分の心の中を覗いたりしないように生きている
自分の内なる声に耳を澄ませばいろんな怒りが噴出してしまうからだ
だからあの時も完全に心の中の感情は何もなかった
姑とはもう会うことはないだろうと思っていた
会うときはもう私の事も区別などつかないほど衰え
全てが終わろうとしているときなのだと覚悟していた
姑が出て行ってから何度も自問自答した
なぜ帰ってしまったのか
あれ程身を削りつくし姑が暮らしやすいように、時に話し相手になり
寂しそうにすれば遊べそうなおもちゃを買い
怪我をして立てなくなればオムツを取替え、姑の排泄物にまみれながらも
なるべく笑顔を絶やさず必死に介護した
それが別れの言葉もなく、帰ってからも電話1本、手紙一通も来ないまま
その無力感を姑は想い寄せてくれた事があったのだろうか
姑が帰り息子が「お婆ちゃんが殺されるんじゃないか」と心配して泣き
「俺が意地悪したからいやになっちゃたんだ」と自分を責めて泣いた事を
少しも考えもしなかったと言うのか・・・
いきなり家に入ってきて娘を見るなり
「あーちゃん。私を忘れたのかい?」とまるで昨日も会ったかの様に話しかけ
娘とママゴトを始めた姑・・・
子供の頃祖母が良く私に言った言葉を思い出す
「人に何かする時は見返りを求めちゃ駄目だ
あんなにしたのに。こんなにしたのにと恨むくらいなら何もしない方が良いんだ
人にかかわり過ぎてはいけない」
その通りだ。
あんなに介護したのにこんなにしたのにと思うくらいなら
何もしなければ良かったのだ
でもそう思うにはあまりに姑の仕打ちは惨すぎる
せめて一言でもいいから言いたかった
「なぜ帰ったんですか?私たちがどんな思いをしたか分かりますか?」と・・・
お金を受け取って逃げるように帰っていった姑
夫はその事を「自分がされた事を俺たちにしてるんだろう」と言った
舅の両親が姑が若い頃給料日を狙って遊びに来てはお金を無心して帰って
行ったとよく愚痴を聞かされた
姑達も舅の両親とは絶縁状態となって私が結婚してからも
数えるほどしかあった事がない
ひいお婆ちゃんが入院しても見舞いに行くこともなかった
姑も自分がされた事と同じ事を息子夫婦にしていると気がついているのだろうか
それはあまりに悲しい話だ
私が夫に知らせなかったのはそんな姿の姑を夫に見せたくなかったのだろうか
条件反射のように玄関で靴を履こうとする姑に椅子を運んでいった私
憎くて憎くて溜まらなかった。
でも杖を持つのに手を貸し、出て行くドアを押さえて通りやすいようにした
そんな自分が滑稽で堪らない
誰かを憎みきる事は出来ないのだろうか
自分の理性が邪魔をしいつも通り過ぎた後でその怒りに身を焦がす私
その時に怒りをぶつけられたならどんなに楽だろう
少しでも自分の気持ちを解放できたならこれ程毒々しい感情に
身を沈めなくてもいいのに
夢の中で幾ら怒りをぶつけてもそれは現実ではないのだ
また繰り返される夢たち
その夢に平然と娘と遊び戯れる姑の姿が加わった
私はいつになったらこの苦しみから解放されるのだろう