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最後の頼みの綱は・・・

2012年07月11日 | TICO ザンビア
ザンビア事務所の瀬戸口です。

ザンビアで駐在していて健康が心配でないですか?と聞かれることがあります。
もちろん体調管理も仕事のうちですから、
まずは体調を崩さないように日々気をつけることが大前提ですが、
そうはいっても病気になるときはなります
大事でなければ薬で済ませるか、現地のプライベートクリニックにかかかるか、
ザンビアの医療レベルで難しい場合は南アフリカに緊急搬送ということになります。

じゃあ、ザンビアの人たちはどうでしょう。

私たちのプロジェクトで建設したヘルスポストはザンビア医療行政の末端を担います。
外来診療と出産を扱い、医療スタッフ(看護師)は1名のみ。
その次はヘルスセンターと呼ばれ、規模はさまざまですが医療スタッフは3名~。入院・手術が可能。
そこから第1次病院(郡レベル)、第2次病院(州レベル)と高次医療になり、
公的医療のトップ(第3次病院)はザンビア大学付属病院です。
ザンビア全土で3名しかいないと言われる放射線技師がここにはおり、
政府系病院では唯一CTスキャンを装備しています。首都のルサカにあるのですが、
首都でさえ医療機関が足りておらず、低次の医療機関で診察されるべき症状の患者まで
この大学病院につめかけるため、本来の機能が果たせていないと指摘されています。

前置きが長くなりましたが、まあとにかく
こちらで「大学病院に入院」というのは全国トップの公的病院に入院するということです。

現在進行中のコミュニティスクール支援の建設資材手配で、いつもお世話になっているモーノさんというおじさんがいます。

ある日、彼からとても弱々しい声で電話がかかってきました。
腹部がはれて痛みがあり、血尿が出ているため大学病院まで来た、検査入院することになったということ。
彼の家は、前出のコミュニティスクールヘルスポストの間にある地域にあり、首都から100キロ離れた村の小さなマーケット。

まずその距離を、そんな状態で移動しなければならないことに胸が痛みましたが、
移動手段が確保でき、入院できるお金があるのは恵まれた方かもしれません。

その後、退院して元気になったと聞いて安心していたのですが、
話を聞いていると、検査入院したものの、原因が特定できず、
(スキャンをとったデータを病院側が紛失して再検査したというおまけつき・・)
十分な治療をされなかったため、結局、近所の伝統治療師にかかり、薬草治療を施した、というのです。
そして薬草治療がよく効いてすっかりよくなったと言うのです。(あくまで本人談です。)

なんだかとてもやるせない気持ちになりました

保健医療プロジェクトに携わっている以上、
効果の実証されたいわゆる西洋医学を施す医療機関にかかるよう薦めるのが基本的なスタンスです。
もちろん伝統医療を全て否定するわけではないのですが、
裏づけがない治療法は時に有害となることがあったり、医療機関での適切な処置が遅れる(伝統医療で効果が得られなくて初めて医療機関に行く場合があるため)という弊害があります。

でも、「医療機関」が患者の期待に応えるサービスが提供できない限り、
人々は馴染みのある伝統医療を(効果が実証されていようがいまいが)頼るわけです。
当然のことですよね。

そんなモーノおじさんは、いまも定期的にフォローアップ診断のためルサカに来ています。

もちろんこのケースを一般化することはできませんし、
本当に原因の特定が難しい病気なのかもしれませんが、
この国の人が十分な医療サービスを受けられる日はいつになるのだろうかと、
少し悲観的になってしまった出来事でした・・・。

文責:ザンビア事務所(瀬戸口)


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