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平成24年度から一本化された埼玉県公立高等学校学力検査。今年も管理職にお願いして、英語実音テスト問題の音源CDを借り受け、GWに分析してみた。 今回の分析ポイントは、前年度問題形式との比較。変更の有無、wpm*の確認を実施した。 |
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3月4日(月)14時20分、英語学力検査の開始チャイムが鳴る。その数秒後「放送を聞いて答える問題」が始まる。この問題が終わらなければ、他の問題に手をつけることは、実質的に不可能なのは、昨年までと全く同じである。
平成25年度入試も、試験は全部で7問、求められる解答数が11である。
問題1から問題3
会話を聞き、質問に対する答えとして最も適切なものを選ぶ問題である。四者択一、ヒントの図表がついている。
問題4と問題5
それぞれ「ある場面」を説明する英文を聞き、質問に対する答えとして最も適切なものを選ぶ問題である。四者択一で、英文の答えが出ている。
問題6
MasatoとJaneの会話を聞いて、三つの質問(日本語で掲出されている)に日本語で記述する問題である。3問中1問は数字(日数)を答えるもの。
問題7
ケニア共和国出身のALT、Mr. Mainaのスピーチを聞き、その内容に対する質問を聞き取る。その答えとして最も適切なものを選ぶ問題である。四者択一問題で、英文の答えが出ている。
基本的な構成は、昨年までと全く変更がない。
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使用音源
平成25年度 英語録音CD1枚
計時使用機材
WMP12と一般的なCDプレーヤーを使った。
計時はWMPによる。ストップウオッチも使用。
・・・昨年と同じである。
分析手順
①原始的だけど、語数とセンテンスの数をカウント。
・昨年から1回の実施になった入試。状況はどうなったか。
②何度も聞き直し、wpmを計測する。
③問題~問題の間のポーズを計測する。
④はじめから、「以上で問題は終わりです」までの、実時間を計測する。
⑤去年と対比を行う。
①から④は手作業(耳作業)である。
・・・ここも昨年と同じである。
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以下、音源CD構成と計時データ
トラック1 音量調整のための放送
試験当日朝に試聴のために用いる。
(試験とは関係ない。)
トラック2 無音
トラック1をかけたままにしていると、しから(注意さ)れる。
(間違えて、問題を誤放送させない配慮。)
トラック構成も昨年度と同じである。
トラック3(0:28)
0:00- 「放送を聞いて答える問題」のアナウンス。
トラック4(1:26) 問題1
0:00- 問題1から問題3の解答方法の説明
0:24 問題1放送 1回目
0:45 問題1放送 1回目終了
0:47-51 問題1 Question1回目
0:55 問題1放送 2回目
1:16 問題1放送 2回目終了
1:18-22 問題1 Question2回目
問題1は、AとBの会話である。A→Bが2回。TomとMayumiの会話。21秒で話者2、総語数56語である。昨年は13秒で話者2、総語数36語だったから、長くなり、語数大幅増である。
このペースで会話が続いたとすると、21秒は1分の35.0%なので、56を0.35で割る。
160wpmとする。(166)
カッコ内は、H.24データである。以下同じ。
トラック5(0:51) 問題2
0:01 問題2放送 1回目
0:17 問題2放送 1回目終了
0:19-22 問題2 Question1回目
0:26 問題2放送 2回目
0:42 問題2放送 2回目終了
0:44-47 問題2 Question2回目
問題2も、AとBの会話である。A→Bが2回。TomokoとBillの会話である。Billの誕生日について解答するもの。16秒で話者2、総語数36語。昨年は20秒で話者2、総語数45語だったから、語数はやや減。
このペースで会話が続いたとすると、16秒は1分の26.6%なので、36を0.26で割る。
138wpm(135)
語数は減っても、速度はやや増である。
トラック6(0:42) 問題3
0:01 問題3放送 1回目
0:12 問題3放送 1回目終了
0:15-18 問題3 Question1回目
0:22 問題3放送 2回目
0:33 問題3放送 2回目終了
0:35-38 問題3 Question2回目
問題3も、AとBの会話。A→Bの回数も同じ。Kazuyaと誰かの会話。列車に乗り遅れている。時刻表を見て、どの駅にいるか選ぶ問題。11秒で話者2、総語数26語。昨年は16秒で話者2、総語数39語。これも語数は減であるる。
このペースで会話が続いたとすると、11秒は1分の18.3%なので、26を0.18で割る。
144wpm(146)
ここは語数は減、スピードは大差なしである。
トラック7(1:13) 問題4
0:01 問題4と問題5の解答方法の説明
0:21 説明終了
0:25 問題4放送 1回目
0:38 問題4放送 1回目終了
0:41-43 問題4 Question1回目
0:49 問題4放送 2回目
1:02 問題4放送 2回目終了
1:05-07 問題1 Question2回目
この問題は「ある場面」についての説明文を聞き、それについて解答を求めるものである。13秒で話者1、総語数40語、センテンス数4。昨年は8秒で話者1、総語数21語、センテンス数4は変わらないが、語数は倍増である。
このペースで発話が続いたとすると、13秒は1分の21.6%なので、40を0.21で割る。
190wpm(157)
かなりアップ。
トラック8(0:45) 問題5
0:01 問題5放送 1回目
0:12 問題5放送 1回目終了
0:15-19 問題5 Question1回目
0:23 問題5放送 2回目
0:34 問題5放送 2回目終了
0:36-39 問題2 Question2回目
問題5も問題4と同じパターン。11秒で話者1、総語数28語、センテンス数4。昨年は14秒で話者1、総語数37語、センテンス数4。語数は減っている。
仮にこのペースで発話が続いたとすると、11秒は1分の18.3%なので、28を0.18で割る。
155wpm(158)
トラック9(3:19) 問題6
0:01 問題6の解答方法の説明
0:13 説明終了
0:16 問題6放送 1回目
1:37 問題6放送 1回目終了
1:45 問題6放送 2回目
3:07 問題6放送 2回目終了
問題6は、最初の方にも書いたとおり、MasatoとJaneの会話である。81秒。総語数218語、センテンス数35。会話のやりとりが22回である。Masato→Janeが11回ある。昨年は73秒。総語数187語、センテンス数22。会話のやりとりが11回だった。語数、ターン数とも大幅増、時間も長い問題になった。
このペースで会話が続いたとすると、81秒は1分の135%なので、218を1.35で割る。
161wpm(154)
なお、トラックの長さは3:19だが、録音は3:08で終わっている。最後の問題までの間10秒ちょっと空白になる。
トラック10(4:44) 問題7
0:01 問題7の解答方法の説明
0:23 説明終了
0:25 問題7放送 1回目
1:51 問題7放送 1回目終了
1:53-1:57 Question 1
2:05-2:09 Question 2
2:17-2:23 Question 3
2:31 問題7放送 2回目
3:55 問題7放送 2回目終了
3:57-4:03 Question 1
4:11-4:15 Question 2
4:23-4:30 Question 3
問題7は、ケニアから来たALTのMr. Mainaが外国語を学ぶ意義についてスピーチをしている。そのスピーチを聞き、内容について答える問題である。86秒で話者1、総語数204語、センテンス数21。昨年は79秒で話者1、総語数212語、センテンス数18だった。大きな変更はない。
このペースで会話が続いたとすると、86秒は1分の143%なので、204を1.43で割る。
142wpm(161)
ここは時間を長くとっているので、wpmの数値は下がっている。
なお、問題7(トラック10)の4:37のところで、「放送を聞いて答える問題」の終了が告げられる。午後2時20分の英語試験開始のチャイムから、ここまでが13分20秒である。残り試験時間が37分程度。
リスニングテストの配点は100点満点中28点である。試験時間に占める割合は、26.6%なのだから、割りがいいと言えばいい。ただ、前記したとおり、リスニングテストは、放送が終わらないかぎり、実質的に他の問題には手が出せない。勉強ができる生徒にしてみると、他の問題を解く時間を奪われることになるとも考えられる、時間と配点の関係は、評価が難しい。毎年同じことを書いているが、自分でも判断できないのだ。
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wpm再掲
問題1 160(166)▼
カッコ内は、H.24データである。以下同じ。
問題2 138(135)△
問題3 144(146)▼
問題4 190(157)△
問題5 155(158)▼
問題6 161(154)△
問題7 142(161)▼
問題1~問題3、問題5はびっくりするような差ではない。
問題4はかなりスピードアップ。聞き取るべき文章は短いが、語数を詰め込んだ感じ。
問題6はややスピードアップ。話者2だが、ターンが多く、聞き取る(追いつく)ことが難しい。日本語で記述させる問題。かなりタスクとしては難しいと思う。
問題7はややスロー気味。長い文章だが、答えのヒントになる英文は問題用紙に出ているので、それを見ながら聞くことができるならば、点数はとれるかもしれない。肝心なことは、ここまで緊張を保てるかである。
なお、平成26年度入試は、改定された中学校の学習指導要領で学ぶ生徒が3年生になり、初めて実施される入試である。どうなるか注目したい。
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音声問題の音声データは、埼玉県総合教育センターウェブサイトで公開されている。(新しいウインドで開きます。)
http://www.center.spec.ed.jp/
(メニューの「入試情報・説明会案内」から)
・平成22年度~平成25年度のリスニング(音声問題)を公開中である。
・英語以外も公開中。
今年も分析をするために、東京新聞ウェブサイトの『首都圏公立高校入試特集ページ』を参考にした。問題を見るのならば、このサイトを利用するといい。関東地方の公立高校入試問題を、PDFでアップロードしてくれている非常によくできたサイトである。特記する。
アドレスはこちら。(新しいウインドで開きます。)
http://www.tokyo-np.co.jp/k-shiken/index.html
昨年のエントリはこちらです。
2012.03.28
「平成24年度埼玉県高校入試・英語リスニングテスト分析」
*このエントリにおけるwpmの出し方(考え方)については、以下を参照されたい。
2010.03.11
「wpm」