全英連参加者のブログ

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NAUSICAÄ

2020-07-02 04:00:00 | 全英連参加者 2020

Nausicaä poster visual 6月26日からスタジオジブリの旧作4本(『風の谷のナウシカ』、『もののけ姫』、『千と千尋の神隠し』、『ゲド戦記』)が、全国372館で上映開始。
 ・・・まったく知りませんでした。僕のエンタメ情報収集能力は弱い。

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 「風の谷のナウシカ」という作品を、現在・この時代に鑑賞する意味、価値はあるか。この問いはすぐに答えることができる。
 ・・・あると思う。
 この作品は宮崎アニメの数ある作品の中で初期のもの。まさに「クラシック」である。

 劇場初公開は1984年3月11日という記録がある。僕は本作を劇場で見ていない。でも、記憶違いがなければだが、最初の勤務校の芸術鑑賞会(体育館上映会)で見ている。もちろんTVでも何度も見ている。当然ストーリーも入っている。それでも劇場で見る価値があると考えた。
 26日の金曜日、午後から病院で定期検診。帰路寄り道をしてMOVIX亀有で鑑賞してきた。18時50分からの最終回である。

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 ストーリーがわかっている作品をあらためて見る
 OPに続くナウシカが王蟲(おうむ)の抜け殻を見つけるところ、そして暴走した王蟲をナウシカが鎮めるところ。劇場のスクリーンで初めて見た。王蟲の大きさ、存在感に圧倒された。初公開時このシーンを劇場で見た観客はどう感じただろう。そんなことを考えた。これは森で飛び回る巨大虫たちについても同じである。

 宮崎アニメのザ・ヒロイン、原点はナウシカかクラリスか
 公開順としてはクラリス(「ルパン三世カリオストロの城」ヒロイン)が先になる。
 ナウシカは風の谷の族長の娘で、住民から深く敬愛されている。立ち振る舞い、優しさから、「姫さま、姫ねえさま(ひめさま、ひめねえさま)」と呼ばれる。強くてやさしい、しかしある心の闇(トラウマ)と共に生きる。ナウシカの登場場面を見ながら、あることに気がついた。

 記憶していたシーンが相当多い
 旧作をTVや劇場で鑑賞する。シーンごとに、「こんな感じだった」、「見た見た」と思うことがある。ナウシカを見て改めて感じたことは、そのようなシーンが非常に多いこと。言い方を変えれば、おおよそ2時間の作品上映中、かなりストーリー、画像にdéjà vuを感じたのだ。
 そのことがイヤなわけではない。僕は相当本作が好きなようだ。

 ギミックのデザイン
 ナウシカの駆るメーヴェ。メ-ヴェは架空の飛行用装置である。メーヴェ(Möwe)はドイツ語で「カモメ」である。
 ’20年に見ても素晴らしいデザイン。メ-ヴェを元に実際に飛行する機械を作製した人までいる。ラジコンレベルならば、メ-ヴェもフラップター(「天空の城ラピュタ」に登場する飛行用装置」)も、飛行可能なものがある。色々な意味ですごい影響力である。

 巨神兵(きょしんへい)
 クライマックスで風の谷に押し寄せる王蟲をなぎ払う兵器。巨神兵は2回プロトンビームを発射しながら、肉体が腐り、崩れ落ちる。最終・絶対兵器のはずが、王蟲の前には、それすらもろくも消え去る。
 このシーン、エヴァの庵野秀明さんが、原画の担当ということはよく知られている。繰り返しになるが、制作・公開は40年近く前である。巨神兵、ビームを見るたびに、僕はエヴァを思い出す。特定のどれとは言えないが、使徒に見える。
 想像を超える庵野監督のこだわりを感じる。

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 鑑賞する意味
 同じ作品でも見る時代、自分の心情によって違う景色に見える。アキラ(AKIRA)を見たときも感じたことだが、ものがたり世界の人々の腐海への対応を見ると、人間の自然に対する立ち位置が見える。人が腐海を焼き払おうとすることも、それを非難することも、どちらもnatural(あたりまえ)のふるまいに見える。「腐海を焼くな(=自然を守れ)」は、まさに言うは易く...なのだ。
 ・・・大人ならばわかる。

 暴走する王蟲による破壊と滅亡を運命と受け入れるか、その運命に力で立ち向かうか。ものがたりを通して描かれているのは、一人一人の人間が運命とされることにどのように向かい合い、時にはやむなくそれを受け入れるかの様子だろう。そこに描かれる人のふるまい(抗い方)は、自分本位と言われても、人は自分勝手、自分大事ということを示している。まさに誰にでもある、普通の感情だと思う。

 人が王蟲の暴走を呼び、ナウシカは命がけで風の谷の滅亡を防いだ。しかしそれは腐海に対する勝利ではない。腐海へのふるまい、結果的に人間一人一人のふるまいを思い出させる行為である。メッセージは「自然に対するふるまいを悔い改めろ」というような構えたものではない。人も自然の一部分、自然の支配者ではないことを忘れるな。自然へのかかわり方を間違えると王蟲を呼ぶぞ。そんな感じがした。

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【追記】

 エンドロールで声優さんたちの名前を見た。

 納谷悟朗さん
 ・ユパ:ナウシカの父,ジルの旧友でナウシカの師
 永井一郎さん
 ・ミト:ナウシカの忠臣
 家弓家正さん
 ・クロトワ:トルメキア・クシャナ配下の軍参謀

 懐かしい声。お三方とも鬼籍に入られた。

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