最強最悪のボスに仕えることが生きがいのミニオンたちが、なぜ悪党になることを夢見るひとりの少年、グルーをボスに選んだのかが描かれる。
1970年代。最も尊敬する超極悪組織ヴィシャス・シックスが伝説の悪党であるワイルド・ナックルズをリーダーから追放したため、新しいメンバーになるために面接へとやってきた12歳の少年グルー。しかし、根っからの悪党気質のグルーはヴィシャス・シックスを出し抜き、彼らの宿敵となってしまう。そんなグルーからボスの素質を感じ取ったミニオンたちは、何者かに連れ去られたグルーを救うため、鍼灸師でカンフーの達人であるマスター・チャウの教えのもと、カンフーをマスターすることになる。
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’20年7月公開予定が2年遅れたことになる。
待っていた。笑える作品を...
本作は、
❶『怪盗グルーの月泥棒3D』(’10年)
❷『怪盗グルーのミニオン危機一発』(’13年)
❸『怪盗グルーのミニオン大脱走 』(’17年)
『怪盗グルー』のスピンオフでプリクエルが、’15年の❹『ミニオンズ』であり、本作はその続編になる。❹と❸の間である。
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現地化はどこまで必要か
まず、気になった点から書くことにする。作中ところどころ日本語が出てくる。’15年の『ミニオンズ』で、だれか忘れたけどミニオンの一人が『ヤキトリィ~』と叫ぶのが話題にも笑いにもなった。ミニオン語(で、いいのかな)の音声・台詞は、面白さが感じられて、僕はいいと思う。これは本作も同じである。でも文字は違う気がする。
映像で、どう考えてもオリジナルではアルファベット・英語表記のところに、日本語表記が出てくる。僕は好きになれない。よかれと考えてのこと。それは理解できる。でも、ちょっと興ざめだ。ミニオン語は、英語で聞いたとしても、ギリギリ通じるか通じないかのところだろう。そこがおもしろいのだ。日本語で書かれてしまうと、そこの部分だけが現実世界になる。そんな気がする。
ものがたりは...
映画のTaglineに書かれている通りだ。少年グルーが ”プロ” の悪党になる端緒、そのものがたり。大笑いではなく、にやりとさせられたり、ちょっとほろっとする作品だ。全体的に前作の雰囲気を引き継いでいる。終映後、僕はグルーよりもミニオンたちをもっと見たかったことに気がついた。僕は「ミニオン好き」だったのだ。
ミニオンたちがカンフーを教えてもらうマスター・チャウのCVは、渡辺直美さんである。外見が渡辺さんの「当て描き」にしか見えない。
OST
オリジナルをそのまま利用したものも、カバー*によるものもあるが、とても印象的。
Goodbye to Love(Carpenters*)
You’re No Good(Linda Ronstadt)
リンダ・ロンシュタット... ものがたりの中で名前を見て、僕は息をのんだ。
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夏休みの1日、ぼんやりにんまりするにはいい作品だと思う。