ドンとマインド

バンド THIS IS JAPANの歌と運動、杉森ジャックのブログ。

vol.37 "ケープ・フィアー" 【カルト&オルタナティブ第17回】

2017-02-17 18:00:09 | 映画
こんばんは。
カルト&オルタナティブということで、刺さる人には刺さるエッジーな作品を紹介しています。
スコセッシ監督"沈黙"公開記念ということで、3週連続でスコセッシ映画を紹介!!
今週はスコセッシ映画の中でも屈指の珍妙作。
"ケープ・フィアー"です。
あらすじ…

マックス・ケイディが刑務所から出たその日、空には不吉な暗雲が立ち込めた。そして彼の心の中にも、同じようなどす黒い思いが満ちていた。

14年前、マックスは16歳の少女に暴行を働いた罪で逮捕され、法廷で裁かれた。強姦ではなく暴行に対する判決が下った。犯した罪に比べ軽微に済んだとも言えたが、彼は実刑が確定したことに不服を感じていた。そこでマックスは刑期を勤めながら、読み書きを習い、法律を学び、自らを弁護する手続きをとって社会復帰を試みてきた。しかしそれらが無駄に終わり、なお続く屈辱的な境遇を呪ったとき、心の中に一人の男への復讐の念が芽生えた。それは裁判のとき、自分を庇わなかった弁護士のサム・ボーデンである。

公選弁護人のサムは、マックスよりもむしろ無残に傷つけられた少女の方に思い入れ、依頼人の罪が重くなるように立ち回った。少女が性的に素行不良だったという証言も、少女の不利になると考え握りつぶした。マックスはそれを知り、許されざる裏切りと考えた。サムに対する復讐の念は、いつしか身体中に彫りこまれた刺青の文字そのままに、彼の心にも深く、強く刻み込まれた宿願となった。

刑期を終え、ついに自由を手に入れたマックス。彼は平和に暮らすサムとその家族の前に姿を現し、さっそく行動を開始する。とどまることなくエスカレートしていく陰湿な嫌がらせに恐怖を感じたサムは家族を守ろうと奔走するが、マックスの力を押しとどめることはできず、やがてその恐ろしい本性に打ちのめされていく。

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例によってロバートデニーロ×マーティンスコセッシの黄金コンビです。今作の1番の見どころは圧倒的悪を演じるロバートデニーロ!!キャリア史上1番ワルい役を演じてます。
役作りもいつにもまして気合い充分!!この作り込まれた肉体に無数のタトゥーってだけでカリスマ性の塊です。
バキ感…

そしてデニーロにつきまとわれる家族達がなかなかのクズでよろしい。これぞ病めるアメリカの平和な家庭!三者三様の苛立ち!
おかげでデニーロが圧倒的悪を演じているにもかかわらず、全然家族達が可哀想になりません!双方にほぼ感情移入できないため、もう勝手にして!という気持ち。
左からヒステリック、不倫、おませさんです。

そんな善良なる家族に対し、こんな隣人は嫌だ!とばかりに地味な嫌がらせを続けるデニーロ。
収監中に勉強したおかげでいつも法律にギリギリ触れないところを突いてくる。しかもマッチョ記念すべき彼らとの出会いの場面は映画館。
映画館で葉巻をふかし大笑いしている彼は哲学書まで読み込んでいるインテリです。かなわねぇ〜


双方の対決がドンドンヒートアップしていくと共に、映画自体も負けじとB級風をふかしまくる!
最後の方のデニーロなんてあんたそこまでやらなくても…と言いたくなるようなシーンの応酬。
いろんな意味でこんなデニーロは嫌だ!決定版といえる作品です。がんばりすぎぃ〜



さりげなくスピルバーグも絡んでいる本作。燦燦たるキャリアの真っ只中にいた名コンビが生み出した、変なところに力が入っちゃった珍作。
映画史上最強のストーカーに酔いしれろ!700点オルタナティブだ!!!!

また来週。

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vol.36"ミーン・ストリート"【カルト&オルタナティブ第16回】

2017-02-10 18:00:42 | 映画
こんばんは。
今劇場ではマーティン・スコセッシ監督の最新作
"沈黙"が公開中!!ということで、マーティンスコセッシ監督の初期代表作を今週は紹介します。
先週と同じくロバート・デニーロとタッグを組んだ傑作、"ミーン・ストリート"です。
あらすじ…三流ヤクザのチャーリー(ハーベイ・カイテル)は、組織や仲間に対する忠義にいまひとつ自信がなく、自分の生き方に矛盾を感じていた。そんなチャーリーの親友ジョニー・ボーイ(ロバート・デニーロ)は、気分によって仕事をし、わずかな給料も酒や博打や女に使い果たし、借金に首が回らない状態になっていたが、チャーリーだけが彼をかばい続け、2人は徐々に追い詰められていく

タクシードライバーより前に作られた、スコセッシ監督の原点ともいえる作品。
音楽の使い方、生々しいカメラワーク、そしてデニーロの作り上げる唯一無二のキャラクター。その後大名作を連発する方程式がここですでに確立されています。
とにかくこの作品はデニーロがスーパーカッコイイデス。役名はジョニーボーイ。チャランポランでノーフューチャー。金は返さない、人をおちょくる、意味もなくエンパイアステートビルに銃をぶっ放します。まるでシドヴィシャスっす
ローリングストーンズのジャンピンジャックフラッシュをBGMに登場するあたり、監督もロックスター的なキャラクターを狙っていたのかもしれません。

そんな彼に振り回されるお人好しな相棒も素敵。名優であり盟友でもあるハーヴェイ・カイテルです。いい感じの渋み。ドライになりきれない揺れる若者像。2人は"タクシードライバー"でも共演。この時の2人もまたカッコいい。彼はハットにロン毛です。

スコセッシ監督には、ドンパチや暴力描写を期待するのですが、本作はそこは少しだけ控えめ。変わりに若者たちの青春の終わりをリアルに切り取ってます。ぶっとんだデニーロ、大人になっていくカイテル。2人のコントラストをイカした音楽と映像でダラダラと回し、若者の行き場のない焦燥をぶつけます。タランティーノ好きにもオススメな映像の空気感。照明暗いしカメラ人に当たってる気がする、初期衝動!!

ちょっとダラダラしすぎな感はあるものの、ハマる人は確実にハマる。退廃の美学が炸裂するエンディングもさすが。オルタナティブ映画のバイブル的一作!
タクシードライバーはもちろん、最新作「沈黙」と合わせてみても良いかも。

名優2人の青い時代の炎!スコセッシの原点をぜひ。800点オルタナティブ!!!!

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next THIS IS JAPAN…

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vo.35"キング・オブ・コメディ"【カルト&オルタナティブ第15回】

2017-02-03 18:00:17 | 映画
こんばんは。1月のディスジャパライブラッシュも明け、今週は久しぶりに映画館に行きました。ドント・ブリーズ、まさしく望んでいた通りの快作だったのでホラー好きの未見の方ぜひ。


カルト&オルタナティブ第15回。
今週はロバート・デニーロ×マーティン・スコセッシの大傑作"キング・オブ・コメディ"です。デニーロ×スコセッシといえば映画界の名コンビで、多数の名作を残してます。"ミーン・ストリート"、"タクシードライバー"、"レイジング・ブル"…孤独な男の葛藤が炸裂する名作多数。
自分はタクシードライバーが映画にのめり込むきっかけになった作品で最高にシビれたわけですが、その相似性からタクシードライバーの双子と言われることも多い本作。デニーロの怪演が炸裂します。あらすじ…
コメディアンを目指すルパート・パプキンは、有名コメディアン、ジェリー・ラングフォードを熱狂的ファンの群れから救い出し、強引にコネをつける。「今度事務所に自演テープを持って来い」と言われて、有頂天。もうスターになった気になり、昔から好きだった黒人女性リタにも接近するが……。


前半は主人公パプキンのとにかくイタいシーンの応酬。有名人と友達だぞ!俺もスターになるぞ!って自慢しまくるものの、周りの人には仲良くないのが見透かされ、赤っ恥をかき続ける。そんなシーンの連続に思春期の悪夢が蘇ります!
しかし彼はそんじょそこらのやつとはレベルが違うことが徐々にわかります。事務所にアポなしで上がり込む!別荘に無断でのりこむ!妄想も加速し続け、自分とジェリーで番組をやることになっています。
妄想があたかも現実のように描かれる演出も主人公のサイコ具合が感じられて良い。実家の母に怒られて妄想が中断する演出にニヤニヤ。名シーン。壁に向かって1人ジョークを披露する主人公。

と主人公のヤバさばかりを説明しましたが、虚構と現実の境界が薄れていく主人公が後半、事件を起こし事態が急転します。
主人公が社会とコネクトしていく過程が描かれ、そこで初めて汲み取れる主人公の背景。
気付くとサイコパスだと思っていた主人公に少しだけ感情移入しているかもしれません。

実家在住妄想癖アリの勘違い男が、情熱と行動力だけを武器に革命を起こす…
まったくもってコメディではないですが、何かを志す人全員に見て欲しい名作です。ルサンチマンの苦悩が爆発!
解釈も多数あるので、見た人は一緒に語りましょう。900点!

また来週。


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vol.34"バトル・オブ・シリコンバレー"【カルト&オルタナティブ第14回】

2017-01-27 18:00:57 | 映画
こんばんは。
観たいけど観れてない新作群…ネオン・デーモン、ドント・ブリーズ、この世界の片隅に…などなど。終わる前に行きたいです。

今週はこちら。
"バトル・オブ・シリコンバレー"です。パソコン界の巨人2人についての実話を基にしたフィクション。windowsのビル・ゲイツとmacのスティーブ・ジョブズのお話。

世の中には1人よりも2人の方がより個性が際立って面白い…ということが時々ある。ロックにおいてもストーンズとビートルズ、オアシスとブラー、リバティーンズのピートとカールetc…。漫画だとバクマンの2人が近年印象に残ってます。


この映画の見所は、誰もが知っているパソコン界のビッグ2人を、見事に真逆の人物として描いているところ。


スティーブ・ジョブズ。
彼はスーパーイケメンでナルシスティックでぶっ壊れた天才肌の才人としてスクリーンに君臨します。若い頃はヤクをやったり学生運動に参加したり自分探しの旅に出たり…経営者になってからはカリスマ性を武器に、自分の作ったパソコンを「芸術品」として見事にブランディングしていきます。頭が良くドライでありエゴイスト、だけどあなたが好きですスティーブ・ジョブズ!!!となります。


かたやビル・ゲイツ。
彼は全世界のヲタ代表と言わんばかりに、そのナード性を惜しみなく垂れ流していきます。シャツのシミがひどい…と言われシャツを交換した後です。ヲタク仲間と活動を続け、並々ならぬ情熱を武器にジョブズに負けず頑張ります!
ジョブズと違い、一般人寄りに描かれていますが、プライドを捨てた男の意地、窮鼠猫を噛むと言わんばかりに商才を発揮していきます。
俺たちのゲイツ!!!!


前半は2人がそれぞれ仲間達と会社を立ち上げるまで。人となりが丁寧に描かれます。
そして後半。全てが真逆である2人の人生が徐々にクロスしていきます。
マッキントッシュを完成させ見せびらかしているジョブズと絶対に追いつきたいゲイツです。

この2人の物語としても見応え十分ですが、我々が日常生活でみているパソコンやがどうやって生まれたのか、ってのもわかって面白いです。
(世界仰天ニュースやアンビリーバボーみたいな、出来の良い再現VTRを見てる時の充実感)
余計な説明も少なく、タイトに丁寧に作られていて観やすいです。
若干テレビ的というか映画らしくなさすぎる感はありますが、好みの範囲。映画っぽいのがみたければソーシャルネットワークとかもありますし。時期も同じくらいです。

IT界のビッグスター2人の伝説がスクリーンに!あなたはジョブズ派?ゲイツ派?
イケメンvsヲタク(どっちもヲタク)の天下分け目の対決にしびれる90分。
700点!

ちなみにジョブズ本物、ちゃんとイケメンでした。
こちらはゲイツ本物。ちゃんと

また来週。

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THIS IS JAPAN MV from "DISTORTION"

"GALAXY"
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vol.33 "26世紀青年" 【カルト&オルタナティブ第13回】

2017-01-20 18:00:08 | 映画
こんばんは。
2017年、早くも1ヶ月が過ぎようとしている。
THIS IS JAPANは大阪・京都ライブを終え、今週は下北から水戸へライブしに行きます。ドライブスキル!

今週はこれぞ珍作。「26世紀青年」このジャケットに不安しかない上に、日本でのキャッチコピーは「20世紀少年×WALL・E÷2=26世紀青年」とさらに不安を煽る。タイトルにはもはや清々しさすら感じる投げやり具合。
ドロ舟にのった気持ちであらすじを確認!

2005年、アメリカ陸軍は極秘裏に人間の冬眠実験を開始する。実験体に選ばれたのは平均的な能力を持った軍人ジョー・バウアーズと売春婦のリタ。1年間の計画だったが、極秘実験の責任者が麻薬不法所持と売春あっせん容疑で逮捕されたため忘れ去られ、二人は500年後の未来に目覚めることになった。500年の間、賢い者が子作りを控える一方で知能の低い人間が野放図に子供を作り続けた結果、平均IQが低下し堕落した社会となっていた。ゴミがひたすら積み上げられ、砂嵐が吹き荒れ、農作物は育たず、水の代わりにスポーツドリンクが供給されていた。元の時代に戻るためにタイムマシンを探すジョーは、周囲から馬鹿にされたり刑務所に収監されたりしながらも、この世界の生きている人間の中で一番のインテリであったため、内務長官に任命され、農作物の復活と砂嵐を止めさせられる羽目になる。

これはドストライクなあらすじだ…
冬眠した結果、自分が一番頭が良いという世界で目覚め、そのインテリジェンス(本来は並くらい)を活用し、ヒーローへとのし上がる!ワクワク!

しかし、その世界は予想以上にidiot!!!!!だれも掃除しないから世界中ゴミ屋敷。博物館ではチャップリンとヒットラーが誤って展示されている。中でもヤバイのがテレビ番組のOW!MY BALLS!。ひたすらに男の大事なアレを蹴り上げるだけの番組が大人気です。ただ蹴り上げられて、オーマイボール!と叫ぶだけのジーザスな番組。

出てくるキャラももちろん負けていません。
この世界ではポルノスターが大統領だ!衣装も髪型も装備もすごい。圧倒的なカリスマを感じさせます。オスの匂いだ…!

もうこの時点で大満足でしたが、中身もなかなか面白かったです。
出てくるやつが全員バカという設定を生かし、主人公がいともかんたんにウルトラC級のミッションをクリアしていきます。
たとえば、前回紹介した"パピヨン"が嘘のように、主人公が簡単に脱獄します。
「今日出所なんだ、出口はどこかな?」
「誰だお前!…そうなのか、こっちだよ」
こんな感じだったか。
そんなバカのヒットパレードといえる本作ですが、現代のいろんな引っかかりをデフォルメして描いてるニュアンスもあり、その一つ一つに主人公がツッコミを入れてくストーリー展開はなかなかに風刺が効いてます。
いやでも風刺とかじゃなくてただバカなことをやりたいだけかな?どっちなのかな?ん?
そんな本気なんだか冗談なんだかわからないのが愛らしいという奇特な映画。
ス◯バが風俗店になっててツボに入りまくった
ちなみに原題は"IDIOCRACY"。まるで劇中の人々がつけたようなヤレヤレな邦題に反してクールなタイトル。バカによる民主主義、なるほど。

真面目とおふざけの狭間をラリーする、底知れないバカルト映画。
個人的には大好きなので、この類が好きな人はぜひ!800点IDIOT!!!!!

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THIS IS JAPAN next live…


■1/21(土)@下北沢BASEMENTBAR

キムラフミカ企画 “箱の中の猫 vol.5”

w/ ナードマグネット / 明日、照らす / THE MASHIKO

開場/開演:18:00/18:30
前売/当日:共2500+1drink
(THIS IS JAPANは18:30~)



■1/22(日)@水戸ソニック

“Beat Burn ch73×ハラフロムヘル1st album「みのほど」レコ発

w/ハラフロムヘル / しまだあすか(band set)/Ytterbium Fuckin’ Brothers / Slimcat

開場/開演:17:30/18:00
前売/当日:¥2,300/¥2,800
※高校生以下2名以上の予約で無料(別途D代)


ご予約はhttp://thisisjapan.netよりどうぞ。