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映画「大いなる陰謀」

2008-04-24 00:41:55 | 映画感想
映画が始まる前の映画会社のロゴ。
まずは20世紀FOXのジャンジャジャジャーンから始まり、
MGM(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)
UA(ユナイテッド・アーチスツ)。
今回初めて、UAのロゴが変わっているのに気がついた。

この関連については、別に書いてみたい。

***

メリル・ストリープ、トム・クルーズ、ロバート・レッドフォード。
ロバート・レッドフォード監督作品である。

***

時は現代のアメリカ。
3つの物語が同時進行する形で物語が進んでいく。

ひとつは、上院議員ジャスパー・アービング(トム・クルーズ)と
ベテラン・ジャーナリスト、ジャニーン・ロス(メリル・ストリープ)。

もう一つは、大学教授スチーブン・マーレー(ロバート・レッドフォード)と
彼のクラスの学生トッド・ヘイエス(アンドリュー・ガーフィールド)。

そして、新兵のアーネスト・ロドリゲス(マイケル・ペーニャ)と
アーリアン・フィンチ(デレク・ルーク)。

ここでまずこの三者の関係を書いておく。

アービング議員は、今まさに開始されたアフガニスタンでの
新しい進攻作戦を立案し、ホワイトハウス入りを狙う野心家。
そして、ジャニーン・ロスにその情報をリークして
有利な報道をしてもらおうと思っている。

アーネストとアーリアンは親友同士で、ともに志願兵として陸軍に入り、
まさにその作戦でアフガンへ進行している。
2人は、元々マーレー教授の教え子で教授の反対を押し切って
陸軍にはいってしまった。

そして、トッドは今マーレー教授の教え子で
このところ学問にやる気を失い、授業は欠席成績も落ちている。

***

マーレー教授に朝早くから呼び出されたトッド。
教授はトッドが授業に出なくなった理由を問いただすが、
ドッドはなかなか本音を言わない。

アービング議員は古くからの知り合いであるジャーナリストの
ジャニーン・ロスを彼のオフィスに呼び、
アフガニスタンでの新しい作戦をリークする。

その作戦とは、雪が解ける前に、高台に少数精鋭の部隊を配置、
敵を迎え撃つというもの。

そのため、現地では部隊をヘリで展開することになり、
アーネストとアーリアンもその中にいた。
しかし、目的地近くでヘリは射撃を受け何人かが死亡、
アーネストとアーリアンは転落、高台に取り残される。
軍事衛星で現場の様子を確認する司令部では、
2人が生存していること、敵軍勢が迫りつつあるとを知り、
航空機による爆撃とヘリによる救出作戦を試みる。

一方、高圧的で別の選択肢はないと言い切るアービングに対し、
ベトナムでの失敗と同じだと言うロス。
議論はなかなかかみ合わない。

議論がかみ合わないという点では、マーレー教授とトッドもおなじ。
トッドの鋭い意見にかつてのアーネストとアーリアンを見るマーレー教授と、
彼らに続いて自分を軍隊に送り込む気かと言うトッド。

実は教授はベトナム戦争に参戦、退役後は反戦運動にも参加していた。
アーネスト(メキシカン)とアーリアン(アフリカ系)は、
兵役による学費免除を目指しており、
教授の引き留めにもかかわらず、軍に志願したのだった。

このときの説得で、第1次大戦でのドイツ軍将校が
前線のイギリス軍兵士を称賛し、(彼らは勇敢だったが)
「これほど愚鈍な羊に率いられたライオンを見たことがない」と
言ったことを引用する。

優秀で大学院への進学を期待されていたアーネストとアーリアンは、
教授の反対を押し切り、志願兵となり、
優秀だったトッドはやる気をなくし、政治と国家に対して失望し、
ただ傍観しようとしている。

そして、イラク戦争は間違いだったと認めながら、
勝利のためにはなんでもやるし、新しい作戦が必要だと言い張り、
マスコミも国民を煽った点では同罪で、
今度の作戦を好意的に報道するしかないというアービング。

野心的な政治家であるアービングが信用できず、
視聴率とジャーナリストとしての正義感の狭間で揺れるロス。

作戦が失敗し生命の危険にさらされる前線の兵士と、
後方で犠牲をものともせず作戦をひねり出す議員、
それにどう対応しようかと悩むジャーナリストと失望感から傍観を決め込む若者。
果たして、何のために戦うのか、そして何のために死ぬのか。

***

社会派のドラマである。

当時の政権党である共和党に対する辛辣な批判になっているのではないか。
マスコミに対しても批判的立場をとっているが、その内面は苦悩であり、
悪夢の再現にならないかと言う国民の感情を代弁しているようにも取れる。

「何のために戦い、何のために死ぬのか?」はチラシのコピーであるが、
これが主題とすれば、それは十分に伝わった。

*追記*

いろいろ書いていてはたと思いついたのだが、

政治家もジャーナリストも教育者も、戦争は辟易しているし、
止めたい、止めさせたい、加担したくないとは思っている。

心底ではわかっているけど嵌り込んで抜け出せない、
傷つきながらもそこから抜け出すことはできるのか、
抜け出した先にあるのは、希望か闇か、
雪山の2人がそれを象徴しているように思えてきた。

***

原題は「Lions for Lambs」=羊のためのライオン。

劇中でロバート・レッドフォードが引用する
ドイツ軍が勇敢なイギリス兵を讃える言葉は、
古くから言われている言葉の揶揄。

1匹の羊に率いられた100匹のライオンは、
1匹のライオンに率いられた100匹の羊に劣る。

(あるいは、1匹のライオンに率いられた100匹の羊は、
 1匹の羊に率いられた100匹のライオンより恐ろしい、
 あるいは、ライオン率いる羊の軍は、羊の率いるライオンの軍に打ち勝つ)

別な言い方をすると「馬鹿な指揮官、敵より怖い」と言うそうです。

「羊の浅知恵、ライオンを殺す」ってなところでしょう。

「大いなる陰謀」はちょっと合点がいきませんが、
「羊とライオン」「獅子と羊」でもピンときません。

もう少しいい邦題はなかったでしょうか。

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そうなんですよね (miyu)
2008-04-24 06:26:27
直訳や意訳でもタイトルにはしづらいですよね。
だけど、もうちょっとちゃんと考えて欲しかったと
思いましたね~。
原題の意味 (PU-KO)
2008-04-25 11:31:45
映画の説明の中では、しっかり理解出来ませんでしたが、こちらで意味を教えていただいて嬉しいです。

「馬鹿な指揮官、敵より怖い」ですか。なるほど~。
政治家はもとより、世論もまた馬鹿な指揮官になり得るかもしれません。

考えさせられる映画でした。

こちらからもTBさせてくださいね。


PU-KOさんへ (KGR)
2008-04-25 11:42:13
>世論もまた馬鹿な指揮官になり得るかもしれません
あり得ますね。

映画ではそのお先棒を担がされることに悩むのが、
メリル・ストリープと言うところでしょう。

現実の国際情勢を見ても、
すぐ近くの某国の若者の動きなどは、
その例かもしれません。
マスコミ (kossy)
2008-04-30 23:13:48
マスコミの問題点もさりげなく突いているところが良かったですよね。
政権党が巧みに誘導して情報操作するなんてのは、ここのところずっとそうだし・・・ブログもそのうち利用される、というか、利用されてるのかもしれませんね~
kossyさんへ (KGR)
2008-05-01 10:17:54
コメントありがとうございます。

>ブログもそのうち利用される、というか、
>利用されてるのかもしれませんね~

お隣の国を見ているとそう思いますね。
政府がマッチポンプになっているとしか思えません。


 (chikat)
2008-05-03 00:27:04
こんばんは
>「馬鹿な指揮官、敵より怖い」
すごい比喩ですね。
言い当てててドキッとします。
映画として面白い作品とは思いませんでしたが、監督の言いたいこととその意味を含んだ会話は退屈ながら興味深かったです。
でも、あまり映画らしくない作品だったので昔のような作風に戻ってほしいと思いました。
レッドフォード、おじいさんになっちゃって悲しいです。
自分も年取っているんですよね~。
スティングおもいだしました。
素敵でしたねえ!!
レッドフォード (KGR)
2008-05-03 00:52:15
「二重誘拐(Clearing)」でもしわくちゃでした。

年を取っても変わらない方もおられますが、
特に若いころきれいだった人は、
年相応になったとしても物悲しい気がします。

こちらはしょっちゅう見ているわけではないので、
変貌ぶりを強調して感じるのかも知れませんね。

政権批判 (ひらりん)
2008-05-04 02:37:08
ひらりんも、アホアホ・ブッシュの共和党政権に批判的な作品に見えました。
戦場で射殺されちゃった二人・・・
捕虜になるより、勇敢に立ち向かった兵士(ライオン)・・・
として、描きたかったからではないでしょうか。
ひらりんさんへ (KGR)
2008-05-04 09:15:24
>捕虜になるより、勇敢に立ち向かった

なるほど。
確かにあの方が、羊との対比がよく出ますね。
邦題 (ノルウェーまだ~む)
2008-05-12 23:29:24
こんばんわ~
邦題には、本当に魅力がなかったですよね。
しかし、じゃあどんな題名がいいかというと、確かに思いつかないし…
この映画を観た感想と同じように、すっきりとコレ!という答えが浮かばないのは、現実問題解決作にコレというものをハッキリ示せないからなのでしょうか?

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