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三井住友海上、中国ノ生保市場に参入、」

2018年05月23日 09時27分50秒 | thinklive

三井住友海上火災保険は中国の生命保険市場に参入する。700億円強を投資し、大手国有銀傘下にある生保会社の株式の4割弱を取得する。中国は公的な年金や保険が日本ほど充実していない。米国、日本に次ぐ世界3位の生保市場の伸びは大きい。外資への中国の金融規制は緩和される方針が出ており、保険会社の新規参入が続く可能性がある。

 三井住友海上

 中国政府は17年に、金融業についての外資の参入規制を緩和すると発表した。これまでは50%以内としていた生命保険業への外資の出資上限を、3年後には全額出資まで広げる方針だ。事業環境の好転が予想され、日本の保険会社は中国で事業を展開しやすくなる。

 三井住友海上は中国の国有銀行大手である交通銀行傘下の交銀康連人寿保険公司に出資する。同社にはオーストラリアのコモンウェルス銀行の生保子会社が37.5%を出資しており、この出資分の株式を取得することで合意した。近く中国の金融当局に認可申請する。62.5%を出資する交通銀行との合弁会社になる。

 交銀人寿は00年の設立。17年12月期の保険料収入は約131億元(約2200億円)で、前年に比べて4割増えた。外資が出資する生保では中国で4位にあたる。

 親会社の交通銀行は中国に約3500の支店を持つ。中国では銀行窓口による保険販売が伸び、全体の4割超を占める。交銀人寿は富裕層向けの貯蓄型商品が中心だったが、交通銀の窓口を通じ、中間層向けに掛け捨て型の終身保険なども増やしてきた。三井住友海上も交通銀の支店網を生かせば、個人向けの生保販売を拡大できる。

 スイス再保険によると中国の生保市場は約29兆円と米国、日本に次ぐ規模だ。所得の向上などに伴い、今後も市場拡大が見込まれる。中国は20年までに公的医療保険による皆保険制度の導入をめざしているが、社会保障費の国家負担は増加。任意保険の普及も欠かせない。

 ただ、中国での金融事業にはリスクもある。外資規制は緩和の方向だが、政府の方針次第で実現時期が変わることもあり得る。特に規制業種である金融業は、関係当局の動きに左右されやすい。

 保険業界では仏アクサや英プルーデンシャルなど欧米大手が中国に進出。日本勢では03年に日本生命保険、05年に住友生命保険が進出した。だが、外資系の市場シェアは6%程度にとどまる。三井住友海上や東京海上ホールディングスも過去に進出したが、経営戦略を巡って現地のパートナーと考え方が合わず、提携を解消したことがある。

 日本の保険市場は人口減が響き、大きな伸びが見込みにくい。このため三井住友海上はアジアなど海外で事業拡大を進めている。主力の損害保険に加え、リスク分散の狙いも含めて生保にも力を入れている。今回の出資で中国市場に再参入し、アジア系生保への出資はマレーシアやインドネシアなどに続き6カ国、7社目となる。


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